「モンシロチョウ」
私は小さい頃、人とは違う何かと出会った。
そのヒトは名を”ヤミノカミ”と言った。
自分を”神のなり損ないだ”と言った。
そして、名前を聞かれて”美月”と答えた。
その頃は深い意味は分からなかったが、”神”ということから”すごい存在”ということだけを思っていた。
その”神のなり損ない”は、私にこう言った。
「お前はいずれ、人の世で生きられなくなるだろう。
人の世にいずらくなったら、こちらに来るといい。」
それから十数年。
高校生となった私は、生きるのに疲れ果てていた。
小さい頃から否定され続け、理不尽に合い、猫を被らなければ”普通”でいられない。人と仲良くなっても、すぐに相手の”裏の顔”が見えて怖い。
辛くて、苦しくて。
死にたくなってしまった。
人の輪の中にいることに”違和感”と”罪悪感”を感じてしまった。
死のうと思ったけど、死ねなかった。
そして、ある日。
小さい頃に会ったヒトのことを思い出した。
そして、森に行くことにした。
その道中、不思議なモンシロチョウが飛んでいた。
私はそれに惹かれるようにして、後を追った。
その先にいたのは、小さい頃に会ったヒトだった。
「よく来たね、美月。
人の世に疲れてしまったんだね。」
そして、ヤミノカミが私の頭を撫で、抱きしめる。
「もう、頑張らなくていい。
気を使う必要も、我慢する必要も無い。
美月が傷つくこともない。
よく頑張ったね。」
そして、私は泣いた。
その間、ヤミノカミは私を抱きしめ、頭を撫でていてくれた。心から安心し、人の腕の中で泣くのはいつぶりだろう。今まで我慢していたものが全て溢れ出た。
そして、私は寝てしまった。
5/10/2024, 11:48:22 AM