『セーター』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
──心まで冷え切ってしまうから。
爪先が冷たくて目が覚めた。起き抜けの回らない頭で足元を見れば、毛布が掛かっていない。隣で眠っている寒がりな同居人に持って行かれてしまったらしい。
「……今日は眠れたのか」
隣の茶色い頭を撫でる。起きる様子はない。
昨日の夜はなんの前触れもなくおかしなことを言い出すから驚いた。仕事が溜まって精神的に消耗していたのには気づいていたが、まさかあそこまで追い詰められることがあろうとは。
(セーター)
後日加筆します
わたしには、おばあちゃんが編んでくれたセーターがある。もう小さくて着られなくなってしまった、お気に入りの。
そのセーターを着ているときは、なんだか護り神がいてくれるような無敵感があって、小学生の時のドッジボール大会とか、習い事の発表会とか、何かと気合いを入れるときに着てた。もちろん何もなくても着てた。あったかくて、ずっと大切なわたしのお気に入りだった。
サイズが合わなくなってから、そのセーターは箪笥の奥にいた。記憶の箪笥の中でも奥にしまわれていたのが引っ張りだされたのは、わたしがひとり暮らしを始める引越し準備をしていたとき。
セーターと一緒に引っ張りだされたあったかい記憶。それを大事に、わたしは日々を暮らしている。
おばあちゃん、お元気ですか。
わたしは最近編みものを始めてみました。
こ、こんな難しいことをやっていたの……?おばあちゃんすご…と思いながらいろんなものを編みすすめています。何だかんだたのしいです。
小さいころ編んでくれたセーター。とってもお気に入りでした。それを着ていたら何でもできるようなあったかさがあったのだけど、それは心を込めて編んでくれたおばあちゃんの温もりだったんだね。
最近手袋を編んでみたのだけど、仕上がりはでこぼこ。でも、出来上がったものを友人に見せたら「ぜひほしい」と。後日、その手袋をつけた写真が「とってもあったかいよ!✌︎」という一言を添えて送られてきて、心がほわっとあたたまりました。
編みものっていいね。
あたたかい贈り物をありがとう。
寒い日が続きますので、お身体お気をつけて。
またお手紙書きます。
そろそろセーターを着る季節である… 素材や色 柄などいろいろあるが冬らしい温かみのあるセーターが着たくなってくる ただ最近は服の種類が増えて 気温も昔ほど寒い時期が長くないからセーターよりカーディガンの方が使いやすくなった… お店には素敵なセーターがたくさん並んでるんだけどな~
ポポヤ
セーターはあんまり着てなかった
小さい頃は、あの柔らかい、幸せそうな感じが苦手でした。モコモコになるのも嫌だし、チクチクするのも嫌でした。
当時は、感情的なものをなくしたかったし、幸せやゆとりとは無縁の人生だと思っていました。
それが、だんだん歳をとるうちに、見たくない自分の不完全さと不甲斐なさを、見ざるを得なくなってきました。
そして、周囲が見えるようになり、実は身近にもっと大変で頑張っている人達がたくさんいたことに気づいてきました。
なので、自分ができることは何かを考えるようになったのと同時に、こだわりは大したことないなと思えるようになってきました。
そして、少しは柔らかい感じや幸せな感じだけでも、少しは受け入れるのも悪くないかなと思って、たまに着れるようになりました。チクチクはやっぱり苦手だけど、カラフルな色やかわいいデザインはいいなと思えるようになりました。なんだかゆるくなりました。
セーター
手編みのセーターは
とっても素敵と思うけれど
毛糸によっては重くて
それから洗濯も手間がかかる
そして今は軽くて温かな
化学繊維の製品がたくさんある
そんなことから
セーターそのものに
手を出さなくなって
気がつけば着ることもなく
いく年月
しかしもったいないとは思うのです
家族に編める人がいるので
毛糸ってそれなりに高いけれども
ここは思いきって
編んで貰いたいとお願いするつもり
セーターの良さを再認識せねば
ひとつ、またひとつ。
ひとつ、またひとつ。
ひとつ、をずっと積み重ねて、小さな目が無数に編み込まれていった先に、それは完成する。
時間と、手間と、思いをかけて、編みあげ、形づくられていく。
なんだか愛みたいだ、と思った。
〉セーター
「セーター」
今日は寒くなるから着ていこうかな
でも電車の中は暑くなるかもしれないな
とりあえずハイネックのはやめておこうか
このくらいならコートはいらないかな
でも風通しがいいから風が吹くと寒いな
最近。毎朝。私のつぶやき。
どうしようもなく独りになりたい夜と
独りが寂しくて仕方ない夜がある
そんな時に聴くサカナクション
たまんなくないですか
#セーター(お題無視)
中学生の頃
冬休みの自由研究で手編みのセーターを作ってきた子がいた
商品かと思うくらい上手な作品だった
お菓子作りや、花を育てるのが趣味だった
小さい頃に絵本で見た少女みたいだった
風の噂で彼女は看護師をしながら
大家族で楽しく暮らしているそうだ
きっと可憐な少女のまま大人になって
ふんわりとしたお母さんになっているのだろう
〚セーター〛
暖かい、彼の温もり。
冬の服には、いつも彼がついてる。
冬だけじゃないよ。
僕も彼の服を暖かくしてる。
あのとき、私にむけたあの言葉
答えられなかった
それが悔やみきれなくて
いつもいつもあの問の答えを私の全てに混ぜるのに
もうきづいてもらえないのか
もう私を忘れてしまったのか
あのとき、あの瞬間の貴方が全て
焼き付けられている
ーセーター
セーター
冬の初め、空気がぐっと冷え込んだ朝のことだった。大学三年生の佐藤亮太は、部屋の隅に丸まっていた古いセーターを手に取った。柔らかなグレーの編み目は少しほつれかけているが、その分、暖かさが増しているように思える。高校時代、母が編んでくれたものだ。
「これ、まだ着るのか?」
ルームメイトの拓也がベッドの上から声をかけてきた。彼は身長が高く、モデルのようなスタイルで、いつも流行の服を身にまとっている。対照的に、亮太は流行に疎く、服も何年も前のものを平気で着ていた。
「うん、これが一番暖かいからさ」
亮太は微笑んで答えた。
拓也は肩をすくめると、「お前らしいな」と言い残してバイトに出かけて行った。
その日の午後、大学の図書館でレポートの調べ物をしていると、同じゼミの夏目紗季が声をかけてきた。彼女はいつも明るくて、周りの人を自然と引きつける魅力がある。
「佐藤くん、そのセーターかわいいね。手編み?」
亮太は少し驚き、そして照れくさそうにうなずいた。
「母が編んでくれたんだ。もう5年以上前だけど」
「へえ、すごくいい感じ。今時、そういうのって逆におしゃれだよ」
紗季の言葉に、亮太は少しだけ胸が温かくなった。自分では気にしていなかったけれど、このセーターには自分らしさが詰まっているのかもしれない、と思えた。
数日後、紗季がゼミの打ち合わせの後で亮太に近づいてきた。
「私もセーター編むの好きなんだ。昔から趣味でね。でも、最近忙しくて全然やってないの」
「そっか。でも、紗季さんが編むなら、きっとすごく上手なんだろうな」
「そうかな? じゃあ、今度一緒に編んでみる? 教えてあげるよ」
亮太は少し戸惑ったが、紗季のキラキラした目に引き込まれ、「ぜひ」と答えていた。
それからの数週間、二人は授業の合間にカフェや公園で編み物をするようになった。紗季は自分のセーターを作りながら、亮太にも初心者向けのマフラーを編む方法を教えてくれた。
ある日の夕方、編み物の練習が終わると、紗季がぽつりと言った。
「こうやって誰かと一緒に過ごすの、久しぶりかも」
「そうなの?」
「うん。私、ずっと一人で頑張らなきゃって思ってたから。でも、佐藤くんみたいに、自分のペースで大事なものを持ち続けるのも素敵だなって思うようになったんだ」
その言葉に、亮太は少しだけ恥ずかしくなりながらも、「ありがとう」と返した。
冬が深まる頃、亮太はようやく完成させたマフラーを手に、紗季に渡した。
「これ、まだ下手だけど」
紗季は嬉しそうに受け取り、首に巻いてみた。
「ううん、すごくいいよ。亮太くんらしい、優しい感じがする」
その瞬間、亮太は思った。このセーターが紡いだ出会いは、きっと特別なものだと。
冷たい風が吹く街で、二人は一緒に歩き出した。暖かいセーターに包まれた心は、冬の空の下で少しずつ、新しい形に編まれていくのだった。
『冬の一日』
冬の一日は 深呼吸がよく似合う 白い息がたちこめる朝のトイレと眩い朝日 昼光に照らされて散歩する
気分が良いのでモスグリーンのセーターを買う 日が暮れるのが早いので 足早になる帰り道 寝る前に読む本はもう決めた 気がつけば ポケットに小さな幸福 そんな日々を重ねていきたい
セーター
甘い誘惑
ホッとココア
ほっこり
あったかいセーター
に包まれながら
冬の寒さからの
逃避行
セーターは暖かくて好き
自分を包み込んでくれてるみたいで
私もそんな暖かさを身にまとって
素敵な人になりたいな
セーター
もしも私が 毛糸なら
手編みのセーター なりたいな
大好きなひと 抱きしめて
あま~い匂いを 嗅ぎたいの
たとえタンスで 眠っても
真冬に再会 信じてる
虫が私を かじっても
あきらめたくない くじけない
赤い毛糸が 私なら
あなたにとっても 似合うでしょう
穴にフェルトを 縫い付けて
二人で歩くの クリスマス
雪の舞い散る 帰り道
あなたの小指に 私を結ぶ
素人ニッターのぼやきに似た何か。
長めです。1,100字超。
──────────────────
【セーター】
まだ暑い季節、休み時間に教室で毛糸を編んでいた私を、クラスメイトがからかってきた。あいつらは知らないのだ。セーターというものは多少編み物ができたからってすぐに完成するものじゃない。私の手では一着編むのに最低でも二ヶ月、他にすることがあってうまく進まなければ、下手をするとその倍は時間がかかる。
残暑が厳しいと言っても今はもう九月。クリスマスにプレゼントしようと思うなら、編み始めるのに早すぎる時期じゃない。内心では、もしこれでも間に合わなかったらどうしようかと思っている。薄手のセーターだから、最悪バレンタインでも渡せるかな……
セーターを薄く仕上げるというのは、細い毛糸を使って編むということだ。当然編み針も細くなり、デザインにもよるけど編み目は密になる。ざっくり編むより作業量は増え、進みは遅くなり、必要な時間も増える。
けれど仕方がない。私がこれを渡したい相手は暑がりで厚手のセーターは苦手だと言っていた。真冬にも薄着を好むのなら、セーターを薄くするしかないじゃないか。
マフラーを編むことは最初から諦めていた。長めのマフラーが流行りだからだ。あんな単調な物を長々と編むのは、絶対に飽きる。完成させられる気がしない。手袋は手の大きさや指の長さがわからないと難しいかなと思ったし、帽子は耳に触れるから、よほど手触りの良い毛糸じゃないとチクチクするかもしれない。不快な思いはさせたくなかった。靴下にしなかったのは、私が作った物をよく見える所に身につけて欲しかったからだ。
暖かくて軽くてチクチクせず洗濯も楽……そんな毛糸はなかなか存在しない。あったとしても物凄く高い。手作りすれば安く済むなんて、編み物に関してはあり得ない。セーターもマフラーも買った方が絶対に安いし品質も安定している。それでもどうにか妥協して私に買える中ではベストな毛糸を選んだつもりだ。
ひと目ひと目想いを込めて?
そんなことしていられるわけがない。一体全部で何目あると思うんだ。数えられやしない。計算もしたくないし。
ぼんやりしながら手だけ動かすとか、全然関係ないことを考えるとか、なんならテレビを見ながらとか、そんなふうに編み進めて、どうにか完成するのが手編みの品である。
自分の時給なんて考えてしまったら、とてもじゃないけどセーターなんか編めない。一着いくらになる? 十万か、二十万か? 市販のセーターに手編みなんてほぼないだろうけど、仕事になんかできる気がしない。
採算度外視。原価も馬鹿にできない。これでもし完成度の低い作品になったりしたら目も当てられない。せめて間違えないように編むだけだ。それが難しいのだけれど。
そこまでしてどうして編むのかって?
楽しいからだよ。それに、私が作った物であの人を包み、暖めることができるなんて、物凄く気分が良いじゃないか。
クリスマスには手編みのセーターがほしいな
彼はそう言った
クリスマスに間に合うように
彼女は初めてのセーターを編んだ
喜んで着てくれる
互いにちょっと照れくさい
いろんなことがあったあと
翌年ふたりは別れ
彼は彼女に箱を送る
いったい今ごろ何だろう
箱から出てきたのは
切り刻まれたあのセーター
傷つくことと傷つけること
どちらがどれだけ苦しいのだろ
「セーター」
#496
【セーター】
もこもこに編まれた厚手の服で
外気の寒さから身を守ってるはずなのに
チクチクと肌に刺さる痛みに耐える
まだきみと出会う前の
あの牢獄のように
2024-11-24
セーターの思い出。
小さい頃、セーターのチクチク感とソワソワ感が
不快で着たがらなかった。
親は買ったんだから着ろって怒ってきたっけ。
今ではセーターを着ても平気。
成長を感じるなぁ。