『セーター』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「セーター」
今日は寒くなるから着ていこうかな
でも電車の中は暑くなるかもしれないな
とりあえずハイネックのはやめておこうか
このくらいならコートはいらないかな
でも風通しがいいから風が吹くと寒いな
最近。毎朝。私のつぶやき。
中学生の頃
冬休みの自由研究で手編みのセーターを作ってきた子がいた
商品かと思うくらい上手な作品だった
お菓子作りや、花を育てるのが趣味だった
小さい頃に絵本で見た少女みたいだった
風の噂で彼女は看護師をしながら
大家族で楽しく暮らしているそうだ
きっと可憐な少女のまま大人になって
ふんわりとしたお母さんになっているのだろう
〚セーター〛
暖かい、彼の温もり。
冬の服には、いつも彼がついてる。
冬だけじゃないよ。
僕も彼の服を暖かくしてる。
セーター
冬の初め、空気がぐっと冷え込んだ朝のことだった。大学三年生の佐藤亮太は、部屋の隅に丸まっていた古いセーターを手に取った。柔らかなグレーの編み目は少しほつれかけているが、その分、暖かさが増しているように思える。高校時代、母が編んでくれたものだ。
「これ、まだ着るのか?」
ルームメイトの拓也がベッドの上から声をかけてきた。彼は身長が高く、モデルのようなスタイルで、いつも流行の服を身にまとっている。対照的に、亮太は流行に疎く、服も何年も前のものを平気で着ていた。
「うん、これが一番暖かいからさ」
亮太は微笑んで答えた。
拓也は肩をすくめると、「お前らしいな」と言い残してバイトに出かけて行った。
その日の午後、大学の図書館でレポートの調べ物をしていると、同じゼミの夏目紗季が声をかけてきた。彼女はいつも明るくて、周りの人を自然と引きつける魅力がある。
「佐藤くん、そのセーターかわいいね。手編み?」
亮太は少し驚き、そして照れくさそうにうなずいた。
「母が編んでくれたんだ。もう5年以上前だけど」
「へえ、すごくいい感じ。今時、そういうのって逆におしゃれだよ」
紗季の言葉に、亮太は少しだけ胸が温かくなった。自分では気にしていなかったけれど、このセーターには自分らしさが詰まっているのかもしれない、と思えた。
数日後、紗季がゼミの打ち合わせの後で亮太に近づいてきた。
「私もセーター編むの好きなんだ。昔から趣味でね。でも、最近忙しくて全然やってないの」
「そっか。でも、紗季さんが編むなら、きっとすごく上手なんだろうな」
「そうかな? じゃあ、今度一緒に編んでみる? 教えてあげるよ」
亮太は少し戸惑ったが、紗季のキラキラした目に引き込まれ、「ぜひ」と答えていた。
それからの数週間、二人は授業の合間にカフェや公園で編み物をするようになった。紗季は自分のセーターを作りながら、亮太にも初心者向けのマフラーを編む方法を教えてくれた。
ある日の夕方、編み物の練習が終わると、紗季がぽつりと言った。
「こうやって誰かと一緒に過ごすの、久しぶりかも」
「そうなの?」
「うん。私、ずっと一人で頑張らなきゃって思ってたから。でも、佐藤くんみたいに、自分のペースで大事なものを持ち続けるのも素敵だなって思うようになったんだ」
その言葉に、亮太は少しだけ恥ずかしくなりながらも、「ありがとう」と返した。
冬が深まる頃、亮太はようやく完成させたマフラーを手に、紗季に渡した。
「これ、まだ下手だけど」
紗季は嬉しそうに受け取り、首に巻いてみた。
「ううん、すごくいいよ。亮太くんらしい、優しい感じがする」
その瞬間、亮太は思った。このセーターが紡いだ出会いは、きっと特別なものだと。
冷たい風が吹く街で、二人は一緒に歩き出した。暖かいセーターに包まれた心は、冬の空の下で少しずつ、新しい形に編まれていくのだった。
『冬の一日』
冬の一日は 深呼吸がよく似合う 白い息がたちこめる朝のトイレと眩い朝日 昼光に照らされて散歩する
気分が良いのでモスグリーンのセーターを買う 日が暮れるのが早いので 足早になる帰り道 寝る前に読む本はもう決めた 気がつけば ポケットに小さな幸福 そんな日々を重ねていきたい
セーター
甘い誘惑
ホッとココア
ほっこり
あったかいセーター
に包まれながら
冬の寒さからの
逃避行
セーターは暖かくて好き
自分を包み込んでくれてるみたいで
私もそんな暖かさを身にまとって
素敵な人になりたいな
セーター
もしも私が 毛糸なら
手編みのセーター なりたいな
大好きなひと 抱きしめて
あま~い匂いを 嗅ぎたいの
たとえタンスで 眠っても
真冬に再会 信じてる
虫が私を かじっても
あきらめたくない くじけない
赤い毛糸が 私なら
あなたにとっても 似合うでしょう
穴にフェルトを 縫い付けて
二人で歩くの クリスマス
雪の舞い散る 帰り道
あなたの小指に 私を結ぶ
素人ニッターのぼやきに似た何か。
長めです。1,100字超。
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【セーター】
まだ暑い季節、休み時間に教室で毛糸を編んでいた私を、クラスメイトがからかってきた。あいつらは知らないのだ。セーターというものは多少編み物ができたからってすぐに完成するものじゃない。私の手では一着編むのに最低でも二ヶ月、他にすることがあってうまく進まなければ、下手をするとその倍は時間がかかる。
残暑が厳しいと言っても今はもう九月。クリスマスにプレゼントしようと思うなら、編み始めるのに早すぎる時期じゃない。内心では、もしこれでも間に合わなかったらどうしようかと思っている。薄手のセーターだから、最悪バレンタインでも渡せるかな……
セーターを薄く仕上げるというのは、細い毛糸を使って編むということだ。当然編み針も細くなり、デザインにもよるけど編み目は密になる。ざっくり編むより作業量は増え、進みは遅くなり、必要な時間も増える。
けれど仕方がない。私がこれを渡したい相手は暑がりで厚手のセーターは苦手だと言っていた。真冬にも薄着を好むのなら、セーターを薄くするしかないじゃないか。
マフラーを編むことは最初から諦めていた。長めのマフラーが流行りだからだ。あんな単調な物を長々と編むのは、絶対に飽きる。完成させられる気がしない。手袋は手の大きさや指の長さがわからないと難しいかなと思ったし、帽子は耳に触れるから、よほど手触りの良い毛糸じゃないとチクチクするかもしれない。不快な思いはさせたくなかった。靴下にしなかったのは、私が作った物をよく見える所に身につけて欲しかったからだ。
暖かくて軽くてチクチクせず洗濯も楽……そんな毛糸はなかなか存在しない。あったとしても物凄く高い。手作りすれば安く済むなんて、編み物に関してはあり得ない。セーターもマフラーも買った方が絶対に安いし品質も安定している。それでもどうにか妥協して私に買える中ではベストな毛糸を選んだつもりだ。
ひと目ひと目想いを込めて?
そんなことしていられるわけがない。一体全部で何目あると思うんだ。数えられやしない。計算もしたくないし。
ぼんやりしながら手だけ動かすとか、全然関係ないことを考えるとか、なんならテレビを見ながらとか、そんなふうに編み進めて、どうにか完成するのが手編みの品である。
自分の時給なんて考えてしまったら、とてもじゃないけどセーターなんか編めない。一着いくらになる? 十万か、二十万か? 市販のセーターに手編みなんてほぼないだろうけど、仕事になんかできる気がしない。
採算度外視。原価も馬鹿にできない。これでもし完成度の低い作品になったりしたら目も当てられない。せめて間違えないように編むだけだ。それが難しいのだけれど。
そこまでしてどうして編むのかって?
楽しいからだよ。それに、私が作った物であの人を包み、暖めることができるなんて、物凄く気分が良いじゃないか。
クリスマスには手編みのセーターがほしいな
彼はそう言った
クリスマスに間に合うように
彼女は初めてのセーターを編んだ
喜んで着てくれる
互いにちょっと照れくさい
いろんなことがあったあと
翌年ふたりは別れ
彼は彼女に箱を送る
いったい今ごろ何だろう
箱から出てきたのは
切り刻まれたあのセーター
傷つくことと傷つけること
どちらがどれだけ苦しいのだろ
「セーター」
#496
【セーター】
もこもこに編まれた厚手の服で
外気の寒さから身を守ってるはずなのに
チクチクと肌に刺さる痛みに耐える
まだきみと出会う前の
あの牢獄のように
2024-11-24
セーターの思い出。
小さい頃、セーターのチクチク感とソワソワ感が
不快で着たがらなかった。
親は買ったんだから着ろって怒ってきたっけ。
今ではセーターを着ても平気。
成長を感じるなぁ。
恥ずかしながら
ものぐさ者です。
世界はぼんやりしています
人の名前をおぼえるのは
苦手です
洗濯物は昼から干します
掃除はとりあえず大丈夫です
昨日はご飯に味噌汁焼き魚
きっと今日もおんなじです
明日は雨でも構いません
そろそろ寒くなるようです
そんな話を聞きました
今日は寒くて大変でした
みんなセーターを着ていました
そろそろ僕も
セーターを着ます
毛玉ができたとブツブツ言いながら
毎年着てくれるわたしからのクリスマスプレゼント
「セーター」
人の手で織られた手編みのセーターは、おとぎ話にも出てこないゆめまぼろしの衣装なのでしょう。私は、生まれてから一度も見たことも着たこともありません。
私が唯一見た手編みのものは、深夜の天井から降りてきた蜘蛛の糸です。
アラクネが織ったと言われる海の神の波飛沫湧き上がる凛々しい姿よりも、数多のたましいを吸い尽くした銀色に輝く一本の糸のほうが大変美しかったです。
(241124 セーター)
雪が舞う季節は母からもらったセーターが暖かい。
『セーター』
セーター
小さい頃はちくちくした布の繊維が嫌であまり好きではなかった。今ではセーターをお洒落として好んで着るようになったけれど、今でもちくちくしたのは嫌だなぁ。
昔着ていたセーターを着てみた
着てみたんだけど小さくてお腹が見えちゃう
着てみて思ったのが成長したな~っていつのまにかこんなに大きくなって、、、、
【セーター】
手編みのセーターなんて渡したら、貴方は重いと感じてしまうかしら?
貴方と付き合い始めて初めての冬。
どうして貴方が私を好きになってくれたのか今になってもまだ解らないままだ。
貴方の周りにはいつもたくさんの人が集まってくる。私は対照的にいつも独り小説を読んでいるような女子生徒でしかなかった。
なのに貴方は気付けば私の傍に居て、一人っきりの私をいつも気に掛けてくれた。
…好きにならない訳がなかった。
だけど。
貴方が私を好きになるのは少し可笑しい。
だって容姿端麗、聖人賢者の貴方の側には私なんかよりずっと可愛くて綺麗な女の子達が我先にと群がって止まない。それなのに。
どうして私を選んだの先生?
「それはね、君が誰よりも綺麗だからだよ」
そう聞けば、先生はまるで内緒話をするように誰も居ない放課後の教室。そっと私に囁くのだ。
先生は青が好きだって言ってた。
だから私は空よりも海よりも夜に近い深い毛糸を選んだ。
「気に入ってくれるかな?」
先生にこれを渡した時を思い浮かべる。
きっと先生はあのエセ臭い笑みを浮かべ私に微笑んで言うだろう。
"ありがとう。とっても嬉しいよ"
「…」
何だか、スッゴく。胸の奥がムカついてきた。
だけど。
「好きになっちゃったんだもん。仕方ないよね?」
自分に言い聞かせるように、編みかけのセーターに微笑んだ。
「よし!ラストスパートだ。頑張るぞ!」
そう、自分を励まし編み物を再開した。今夜も徹夜になるだろう。だけど、大好きなあの人の笑顔を想像すると、いつもよりも編むのが楽しかった。
6
何故このような事になったのか―――
己の手の中にある、冷たく、固くなった"其れ"を握りしめながら俺は膝から床に崩れ落ちた。
手の震えが止まらない。
かつて何よりも柔らかく温かであった"其れ"は、成人男性である俺の身体をも容易に包み込める程の包容力を誇っていた。
それが今やすっかり縮こまり、かつてのふわりとした肌触りはどこへやら、ごわごわとした重い何かへと変貌を遂げている。
俺は何とか立ち上がり、震える手でクローゼットの扉を閉める。
そうして左手に"其れ"を握りしめながら、寝室のドアをゆっくりと開けた―――
リビングでは、死ぬほどしょうもなさそうなバラエティ番組を観ながら乾いた笑いを漏らしている男がごろりと横になっていた。
男はそのまま俺の方へゆっくりと顔を向けると、手に握られている"其れ"を見、「おっ」と声を上げた。
「お前のセーター、洗濯しといたぜ!!!!!」
太陽のような眩しい笑顔。
そこに邪気など存在せぬ。そう、こいつはそういうヤツなのだ。
俺は一度ゆっくりと溜息を吐くと、縮んだカシミヤ100%のセーターを思い切り奴の笑顔に叩きつけた。