『セーター』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
セーターに
纏わる話しなんて
何もない
セーターに
特別な思い入れも
思い出も
何もない
強いて言うなら
黒のハイネックのセーターが
よく似合っていた
あのひとのことぐらいしか
思いつかない
だからね
まだ駄目なのよ
いまだに
わたしの頭の中は
あのひとに占領されているから
セーターでも
何でも
あのひとに結び付いてしまう…
# セーター (330)
寒い。
寒過ぎる。
ほんとは
家に籠もって
服を着込んで
毛布に包まっていたい。
でも
あなたとの
デートだから。
可愛い
ニットと
スカート
コートを着て
足元は
タイツに
ブーツ
カイロは
必需品。
オシャレは我慢
じゃないけれど
どうせなら
可愛いく
いたいじゃん?
#セーター
セーター嫌いな君が
セーターを着てるのを見て、僕は驚いた。
「どうしたの?いつもは着てないじゃん」
「いや、なんとなく着てみようかなーなんて思って
どう似合ってる?」
少し恥ずかしそうに言う君が
可愛くて
「似合いすぎてる」
なんていつも素直に言えない僕も
素直に言葉が出てしまうほど
好きが溢れてしまった。
これからの冬、
彼女のセーター姿がたくさん見れることが、
嬉しくて僕は本当に楽しみになった
─────『セーター』
「とろみって何だよあんかけじゃねえんだからよ、って思ってたけど」
私の腹を撫でながら彼が笑う。
柔らかくしなやかな手触りを堪能するように、大きな手は何度も白い生地の上を行き来する。
「くすぐったいよ」
微かに身を捩ると、もう片方の腕が伸びてきて私を捉えた。
「気持ちいいよな、確かに」
「自分で着ればいいのに」
「うーん、なんか痒くなるからそれはやだ。それに口実だから」
「口実?」
「こうやっていちゃつくための」
腹と背中を撫でていた手が、いつのまにか頬に来ていた。ちゅ、と軽く唇が触れて。
私と彼は笑いながら、ソファに沈んだ。
END
私の朝は忙しい。数年前君がいなくなってからずっと休まず働いている。そんな私にも毎日のルーティンというものがある。今はいない君が唯一残していったこのセーターに行ってきますと挨拶することだ。今はいない君のセーターに「行ってきます。」なんておかしいかな
「行ってきます。」家の中にはドアが閉まる音が響いた。
「セーター」
だんだんと外の空気も寒くなってきた。
そろそろ衣替えをするか。爽やかさを感じる服を仕舞い込み、見た目の通りに包み込んでくれるような暖かな服と、こんにちは。
着々と衣替えが進んでいると、ペタペタと足音をさせて、妹やって来た。私が衣替えをしている側でゴソゴソと何かしているなと思いつつも手を止めずに作業を続ける。すると、
「おねえちゃん!」
幼く愛らしい声で私を呼ぶ。
その声に振り向くと、私の『セーター』に食べられてしまった私の可愛い妹が、袖をたくさん余らせて、すこし誇らしげにイタズラな笑みを浮かべている。
私は少し嫌な顔をしつつも、セーターのモクモク具合と、それに埋まっているかわいい生き物を一緒に抱きしめた。
今年もお世話になります。『セーター』さん。
大事な物だった
弟と妹二人がお小遣いを貯め
僕の誕生日にくれた
大事なセーター
でも、弟達はもういない
此の世に存在しない
セーターを見ると思い出してしまうから
部屋の奥に成る可く奥にしまった
思い出さないように
# 4
寝不足明けのぼんやりした頭で、何も考えずに着てしまったセーターは、時間を追うごとに自己主張を始めた。
まず、背中をつつかれた。
(分かった、分かったから)
座席のシートが背中に当たって、自分の浅はかさを呪う。チクチク攻撃は背中に一面に広がった。スマホを見ようと俯いたら、首と顎をやられた。
(あぁ、もう!)
今すぐ脱ぎたい。途中で代わりのものを買って着替えようかとすら思う。
(いや、ダメダメ。もうすぐクリスマス。大出費が控えてる)
「おはよ。あれ珍し。セーター苦手って言ってなかった?」
「うん。寝ぼけてて……」
「ふーん。でも、似合ってる」
ニヤニヤしてるのバレないかな。
単純すぎてイヤんなるけど、そんなこと言ってもらえるなら、チクチクセーターも悪くない。
昔はセーターが苦手だった
なんだかチクチクするし
お洗濯できないから着ていて気を使う
最近はセーターが好きだ
ぬくぬく暖かいし
家庭の洗濯機で洗えるものもある
今日は雪予報
セーターが恋しい季節です
#セーター
#40
セーター
気の合う彼とは微妙な距離感
どちらからとも好きとは口にしない
そのくせ休みの日にはお出かけの誘い
周りからは付き合っていると思われるほどなのに
お互い無意識にこの心地よさ壊したくないと感じているのかもしれない
さあ肌寒くなった今日は何を着ていこう
ざっくり大きめのセーターにミニスカートを合わせ、足元はブーツにしようかな
長い袖から指先をちょっとだけ覗かせて
コートは羽織らずにいこう
あざとさと受け取られるかな?
それとも少し寒そうな私との距離を縮めてくれるかな?
「何かを変えたい」淡い期待を抱いて待ち合わせに急ごう
すきま風下手くそな縫い目に指を入れた
(セーター)
『セーター』
解れかかったセーター。
色あせたセーター。
縮みかけたセーター。
それでもあなたから貰ったセーター。
セーターって暖かいよね。
その暖かさは体温なんだろうけど。
でも、心みたいに暖かくなる。
あの子にさ、誕生日プレゼントにセーターもらったの。
白のセーターだった。
あの子からもらえるなんて思ってなかったから、驚いた。
なんか、着る気になれなかったんだけど、あの子がいなくなってから着るようになった。
ごめんなさいとか、ありがとうとか、何も言えずにさよならしちゃったんだけどね。
あの子さ、私の誕生日には必ずプレゼントとお花を贈ってくれるの。
花言葉とか、調べてなかったんだけどさ、この前調べてみたの。
たらね、今年の花の花言葉、「別れ」だった。
だからさ、気づいてたんだって、わかったの。
気づいてたんなら、私の気持ちにも気づいて欲しかったよ。
そんなこと思いながら、私は今日もセーターを編む。
きっといつか、あの子に想いが伝わると願って。
占いをしに行った
気持ちが少し楽になった
ブレスレットを買った
運が向いてきた気がする
壺を買った
これで幸せ
集会に参加する
「ありがとうございます!明日も素晴らしい日になります!」
落ちていく
25.セーター
頭が顔を出した
もぞもぞ…
パフゥン
遂に登場
あどけない
ほんわかした顔
えへへ
両手が首元を掴み
スリスリしながら
暖かさを実感してる
白色がお似合いだね🤍
暖かさに包まれ
ふふふっ笑みが漏れる
日差しは柔らかく
あなたに注いでいる
優しく見守られてるようだ
編み込みのセーターは交差に糸が絡んでいる。
永遠に取れないそんな糸である。
引っ張れば微妙に伸びるが強い結束力でセーターが壊れるわけじゃない。
きっと人間も縦糸と横糸でずっと絡み合っている。
永遠にね?
私は、セーターが嫌いだった。
あのチクチクとした肌触りが、特に。
それなのに母は、決まってクリスマスの時期になると、カラフルなセーターを私にプレゼントしてきた。
最初のころは、「ありがとう!」なんて言って母親の機嫌をとっていたが、思春期にもなってくると、嫌いなものを自分の感情で押しつけてくるようで苛立ちを隠せなくなってきた。
そしてついに、16才のクリスマスで、母親に怒り散らかしてしまう。母は、
「もうそんな時期になったのね…」
なんて苦笑いしながらこちらを見る。
その様子に余計腹が立って、家を飛び出した。
街は10年ぶりのホワイトクリスマスだということで、人も多かったが、それでもモノクロの景色が淋しく感じた。私だけだろう。
何でクリスマスに喧嘩だなんて。葛藤。
走り続け、近くのショッピングモールまでやって来た。すると、ふと汗だくの体が嫌な肌触りを思い出した。チクチク。
そして、コートのボタンを外し、中を見ると、去年のセーターが出て来た。そのカラフルなセーターは、ベツレヘムの星のようにモノクロの世界に色を与えた。
その瞬間、私は母に抱きしめられている感覚で、涙ぐんでくる。私はすぐ家へ帰った。
その後はたやすいことだった。家に帰り、謝って、セーターの編み方を暖炉の前で教わった。私もまた、子供が出来たらセーターをあげようと思って。
雪は、既にやんでいた。
セーター
最近セーターってあまり着てないな
私の場合、歳を重ねるごとにおしゃれは二の次で
何より暖かさと軽さを求めてしまってる
機能性インナーやフリースなどの重ね着に
おまけにコートはダウン
気づけば価格もお手頃な化繊ばかり
ああ、どうりで静電気バチバチのはずだわ
やばいやばい
すこしは気を使わなくちゃ
軽くて素敵な色のカシミヤのセーター
今年は奮発して買ってみようかな
セーターを着た。……暑い。
わかっている。天気予報を見なかった俺が悪い。
でもまさか、この季節に20℃を超えるなんて誰が思うだろうか?
たしかに朝起きた時、いつもよりなんかあったかいな、とは思った。しかし、いくらなんでも上がり過ぎでは? 一応もうすぐ12月なんだが。
失敗したなぁ。明日は気を付けよう。
……で、なんで今日は寒いの?
まるで夏と冬を反復横跳びしているようだ。
今日こそセーターを着れば良かった。そう頭を抱えても寒さは変わらない。仕方ないからコート買うかぁ。しかし、いきなり変わり過ぎでは?
失敗したなぁ。明日は、明日こそは気を付けよう。
『セーター』
【セーター】
ぎゅうぎゅう詰めの通勤列車を降りた駅で、赤いセーターを見かけた。黒い背広姿ばかりの中ではやけに目立つそれに一瞬、君がいるのかと錯覚する。
(……バカみたいだ)
君がいなくなってもう四年に差し掛かるというのに、いまだに僕は君のことを探しているんだ。その事実に気がついてしまって、胸が痛くなった。
どっちが似合うと思うなんて洋服屋で君が持ってくるのは、いつも派手な色の服ばかりで。どっちも似合うよと返せば頬を膨らませられたものだった。そういう毎日が、どうしようもなく好きだった。
首に巻いた赤いマフラーに顔を埋める。君と共に過ごした最後の誕生日に贈られた、編み込みのマフラーだ。
『お揃いだね』
お気に入りの真っ赤なマフラーで笑った君の声を思い出して、目の奥がじんわりと熱くなった。