せつか

Open App

「とろみって何だよあんかけじゃねえんだからよ、って思ってたけど」
私の腹を撫でながら彼が笑う。
柔らかくしなやかな手触りを堪能するように、大きな手は何度も白い生地の上を行き来する。
「くすぐったいよ」
微かに身を捩ると、もう片方の腕が伸びてきて私を捉えた。
「気持ちいいよな、確かに」
「自分で着ればいいのに」
「うーん、なんか痒くなるからそれはやだ。それに口実だから」
「口実?」
「こうやっていちゃつくための」
腹と背中を撫でていた手が、いつのまにか頬に来ていた。ちゅ、と軽く唇が触れて。
私と彼は笑いながら、ソファに沈んだ。

END

11/25/2023, 12:37:20 AM