『ススキ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ススキ 途中
コロナも今より敏感に扱われていた時期に、私は当時付き合っていた彼氏と箱根に行った。平日だったことも相まって、観光地といっても人は少なく、乗ったバスには私たち以外誰もいない、珍しい光景だった。
無計画な人間同士の付き合いだったので、特に調べもせず箱根観光に至った。
ススキ嫌いなの
花粉アレルギーだから
ススキが風に揺れているのを見ると
足早に立ち去ります
情緒もくそもない話
せかいのまぶたがとじてゆき
のこされた符号は星になる
頭の中にならぶのは
きらめく砂になった
巨人達の墓石
輪廻と回帰
胎児にわたし
空と海の割れ目に
落っこちたほんとうを
あつめては積上げる
全部終わった時に何も残らないように
望みつづけよう
始まりにたどり着いたアデロバシレウス
祈りで
願いで
わたしも
あなたも
消し去れるかな
消し去りたいな
嗚呼、
感覚が溶ける冷たさ、光を
魂を削る声にならぬ叫び
瞳を突き破るトルコ石
鬱蒼とした森の奥、ススキの原に囲われた。古い長屋がありました。月の宿と言われるその家は、屋根の茅は剥げていて、壁には蜘蛛の巣が張っています。襖は黄ばんで、一部は破け、夜風がビュービュー入ってきます。
噂では、妖怪たちが棲家にしてるとか、山姥がいるとかありますが、あの長屋がどうして宿屋と呼ばれているのかは、誰も知りませんでした。
長月の頃。ある旅人が長屋の近くを通りかかりました。時は夜更け、彼は途方に暮れていました。
道半ばで迷ってしまい、どこからどうきたかもわからなくなり、暗くなって、明かりもない。そういうわけで、とうとう諦め、岩の上に転がっていたのでした。
空に一点の満月が、雲にぼんやり隠されて、
僅かに森を照らしています。
旅人に奇妙な考えが浮かびました。
「そうだ、月見をしよう。こんなにも月が美しいのだ」
月はぼんやり、団子もない。あるのはススキくらいでしょう。月見というには、あまりに貧相ではありませんか。
へらへらと笑みをこぼしながら、旅人はススキを探そうと、原っぱの方へ駆け出しました。
ススキの原は、茎を左右になびかせて、
白い頭を振っています。まるで踊りか、海の波。そこにすかさず旅人が、半狂乱に飛び込んで、ススキはすっかり折れてしまいました。
旅人もあざだらけ、痛い痛いと言いながら、ススキの頭を取りました。
「よし、これで月見もできるだろう」
戻ろうとした旅人は、奇妙な音を耳にします。
ドンドンドン、響いてくるのは、太鼓の音。
リンリンリン、混ざってくるのは鐘の音。
長屋から聞こえる祭囃子の音。
「もしかして、人がいるんじゃないか」
月見の予定はどこへやら、祭囃子に誘われて、旅人は長屋に入ります。
中は、蜘蛛の巣だらけのシミだらけ、床はミシミシ軋みます。その音をかき消すほどの祭囃子は、ぼんやりとした灯りの一室から聞こえました。
意を決して、旅人が中に入ります。
そこには、動物たちがおりました。
牛に馬、兎に狐、みんな赤あざだらけです。
その上、手足を糸に縛られて、操り人形のように太鼓や鐘を鳴らしては、皆々踊っておりました。
天井には、それを面白そうに見つめる白い蜘蛛が、くるくる回っています。
蜘蛛は旅人を見つけると、お腹から糸を飛ばして、旅人がに襲い掛かりました。
旅人は、慌てて逃げようとしますが、足が動きません。床には糸の絨毯が敷かれていて、既に旅人の足をくっつけていたのでした。
そのまま手足を縛られて、観念した旅人は、宴に太鼓を同じように叩くのでした。
夜明け、雀が鳴き出す頃。
一夜の幻は立ち消えて、長屋はすっかり静かになっていました。いつのまに寝ていた旅人も、日に目覚め、伸びをしました。
旅人が外にでると、ススキの原に道ができていました。穂先の種がポツポツ落ちて、倒れた草木でできた道。
「なんだか疲れも取れて、全身に活力が漲るようだ。きっと神様が助けてくださったのだ」
道ゆく彼の姿を見て、長屋にすくった白い身体の持ち主は、沢山の目を細め、にっこりと笑うのでした。
『ススキ』
冷たい季節になって勘付いていたけど、
なんか違うね、最近私は無垢じゃない。
なにか起きやすい季節だって、ほんとはそこにいるかもだって。
全部だいたい予想ついてるのに、わざと知らんぷりしてた。
今日も急に来たじゃない?急に脅かす君、私になにか言いたいんでしょ?
でも、もうやめてほしいのに、終わらない。
まだ始まったばかりの季節…。
揺れる揺れる君の姿見えない見えない君の姿早くここに現れてくれたらいいのに。
秋なんて名前じゃない不気味な名前、それを呼んでまた足を踏み入れる。
今はもう入ってる。
死んでるならそれでもいいし、神様なら文句言いたいし、色々あるけど
やっぱり気になるな。
なんで今日あの時間あの秒に消したの?
もし何か言いたかったなら、その後、姿を現しても良かったじゃん。
怖がりなの?
なんで?
なんで?
なんで?
すすきを手で抜こうとと思ったより抜けなくて
気づいたらてが傷だらけだった
悔しかったが、河川に生えているすすきはきれいだったのでいいやと思った
【ススキ】
「夕暮れのススキ野原にはキツネが飛ぶよ」
知ってるよ
光を受けたススキの穂がキラキラ、キレイだもんね
そんな詩人みたいな表現すると思わなかったからちょっとびっくりして、でも笑っちゃった
一緒に行ったこと、なかったね
今度とっておきの場所、教えてあげる
目が痛くなるような町並みを見下ろす。
今日は彼と秘密のデート、
「誰のことも気にせず歩きたい」
そう言った私をちょっと複雑そうな顔で、街が一望できる穴場まで連れてきてくれた。
「そういえば、前にもあったねこういう事」
「……高校の時に行った河川敷?」
「そう!夕日色に染まったススキとか川の先に見える街並みがすんごく綺麗だった、んでアンタの顔もキラキラしててさ、今でも覚えてる」
「ちゃんと青春してたね」
「あのときはねー、てかアンタこういうとこ見つけんの上手だよね」
「まあね、……あーお酒でも飲みに行く?」
「ハハッアンタ見つかったらヤバイでしょ」
「あー、うん」
「ほんと何処から仕入れてくるんだろうねアンタの情報、GPSでもついてんじゃないの」
「ありうるー」
「大変だねー」
3股、妻子持ちって
お題 ススキ
花瓶に生けてるススキが風に揺れる。中秋の名月。月見団子と一緒に供え、天空の月を愛でる。
秋の雅なひととき。
突然、学校が嫌になっちゃって。
行きたくなくて、でも家に帰れなくて。
ふらふらしてたら近所の人に見つかりそうだったから、少し歩いて河川敷に行ったんだ。
いつも電車を乗ってる時に見える場所で、春には桜がいっぱい咲いてたのを覚えてる。でも今は、秋だからそんなことなくて、ひっそり寂しい景色だった。
散歩してるどっかのお爺さんと水鳥だけだったから安心した。ここなら、こんな時間に中学生が彷徨いてても通報されることもない。
適当な所に座ってみた。今日はちょっと風が強め。目の前をビニール袋が飛ばされてゆく。ぶわっと、吹いた風がいろんなものを飛ばしていった。視界の中にふわふわ揺れてる集団が入る。ススキだ。風に揺られてる穂が、まるで手を振ってるみたいに見えた。なんだか可愛くて、ずっと見てしまった。ずっと、ぼーっと、何時間も。いいんだ、今日は学校に行かないから。
そして気づいたら太陽は傾きかけていた。時間が経つのはあっという間。明日もこんなふうに流れてゆくのかな。何かをしても何もしなくても、みんな平等に時間は流れる。明日学校に行っても行かなくても、同じように過ぎてゆく。
ススキが優雅に揺れてる。それを見てると、そんなに僕の悩みは大したことないのかな。そう思えてくる。
明日は、学校行ってみようかな。あんまり気負い負けしないで、なるべく普通に。その普通が、案外難しいんだけど。
きっと、なんとかなるだろう。大丈夫、きっと。なんとかなる。呪文のように言い聞かせてようやく立ち上がった。秋の河川敷ってなんだか落ち着くな。少し心にゆとりが持てたかも。だから本当に、なんとかなりそうと思えてきた。明日はきっと、大丈夫。
ススキの花言葉って、知ってる?「活力」や「生命力」「精力」「なびく心」とか、いろいろあるけど自分の好きな花言葉は「悔いのない青春」だ。青春ってよくわからないけど、今も青春なのかな。そうだとしたら、悔いなく過ごしたいな。
『ススキ』
ススキがこちらに手を振ります
孤独でした
退屈でした
……馬鹿にされ続けた人生でした
愛着のあった人形は
埃を被って落ちています
この手で掴んだ成功も
足枷となって邪魔をします
どうしようもありません
どうしようも無いんです
ずぅっとススキは手を振ります
……決して招いたりはしてくれません
花札を思い出しました。花札の月の下にある芒は山かと思っていたら、ススキだったんですね。グーグルで検索するまで知りませんでした。間違えて覚えていました。
ススキ
初めてススキ野原を見たのは、関西圏のススキの名所、奈良県曽爾村の曽爾高原だった。
一面のススキの海。昼間は銀色の波のように、夕方は夕陽に照らされて金色に揺れている。
背の高さを超えるススキの間の遊歩道を歩いた。まるで迷路みたいだ。
夜になるとほぼ真っ暗で、月の光とライトアップの灯りだけが頼りになる。光にぼんやり浮かび上がるススキの間から何か出てきそうで、その妖しい雰囲気は昔話の中にいるような気分になった。
アクセスは良くないですが、一見の価値ありです。ぐるっと回るとちょっとしたハイキングになるので、歩きやすい靴をおすすめします。
#84
ある直前、わたしの脳裏を横切るのは、
辺り一面に広がるススキ。
濃い橙色の空が、真っ赤な夕日が、
ススキ達を燃やしているように見える。
一つ一つの願い。
今度こそわたしが叶えてみせる。
みんなが幸せになるために。
〜脳裏〜
〜ススキ〜
【ススキ】11月11日
「もう秋が終わるね」
君の背中に抱きつきながら呟いた。冷たいはずの風が、私にはあたらない。彼が全部受け止めてくれているから。君がいない冬なら来て欲しくないな。
君の後ろに乗って見る、風に倒れるススキが忘れられないよ。
#3
ススキが一斉にが揺られてる。
風のせい。
あの真ん中に行ってみたい。
きっと綺麗なはずだから。
だけど、それまでの道が遠い。
いつかは行ってみたい。
笑いながら体に傷をつくって服を汚しながら。
「この風景、見たことがある」
秋の日の夕方、母のお見舞いの帰り道、兄がつぶやいた。
兄の視線の先には、夕焼けと、川と、群生するススキがあった。とても綺麗だった。
80歳になる母は、この夏から、川の近くにある老人ホームにいる。
「見たことがあるって?」と、私。
「いつだったかな?」と、兄はしばらく考えていた。
「確か幼稚園の頃、お母さんと来たんだよね。ススキと夕焼けがとても綺麗で、あれはどこだったのかなって、思い出すたびに考えていたんだ。たぶんここだったんじゃないかな」
初めて聞く話だ。私は前から疑問に思っていたことを訊ねた。
「ここって、実家から遠いよね。お兄ちゃんと私の家からも近くないし。でも、お母さんがここがいいって…。何か理由があるのかなと思ってたんだよね。思い出の場所とか?」
「僕は、何度か来てると思う。小学校に入ってから、来なくなったんだ。ちょうど、香澄が生まれた頃かな」
私と兄は、7歳離れている。なんで母は、ここに来ていたんだろう。そして、なぜこの場所を終の住処に選んだんだろう。それは、兄も知らないようだった。
次に母と会った時に、それとなく聞いてみようか。
今まで、母の若い頃の話なんて、聞こうと思わなかったし、母も話したがらなかった。
母の人生を、急に知りたくなった。
思い出にはないけれど懐かしくて寂しくて
ちょっとだけ優しくなれる
“ススキ”
ススキ
ススキ野原には
いつもなくした何かが落ちている
夢 希望 約束 指輪…
ELLEGARDENの「指輪」という曲は
秋にぴったりな喪失感のある曲
エルレには珍しく日本語詩の曲
聞いてみてね!