『ススキ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
最近は、見なくなったかな。
ちょっとだけ、寂しい気もする、かな。
人にとっては、取るに足らないものなのかもしれない。
かく言う自分だってそうだった。
けれどなんてことないこの”ススキ”が。
意味のあるものになるんだから、不思議なものだね。
ススキ
ススキ畑で夜空に輝く月を見上げて
君を思う。
君が好き…。
ススキ畑が風に揺れて切なくなるよ。
団子を作って、ススキをとって、うさぎがいる月を見る。
【ス】 好きだよ
【ス】 素敵な
【キ】君
夕焼けに染まる一面のススキの中を、手をつないでどこまでも駆けて行きたい
入道雲に映える 鮮やかな緑の曲線
切れ味するどい鋸の その葉を齧る
トノサマバッタにショウリョウバッタ
葉蔭で狙うオオカマキリ
虫とり網を掲げ 駆け回る子どもたち
陽射しを受けて 風に鳴る葉
いま 冴えざえとした月あかりの中
過ぎた夏を思い 穂をゆらす
「ススキ」
#245
『ススキ』2023.11.10
春に七草があるように、秋にも七草がある。
奈良時代の歌人、山上臣憶良が万葉集に『秋の野の花を詠みし歌二首』として、次の二つの歌を詠んだ。
『秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花』
『萩の花尾花葛花嬰麦の花姫部志また藤袴朝貌の花』
この朝貌であるが、桔梗だったり牽牛子や木槿と諸説ある。
などと言うことを、元高校教師をしていた彼がなんの脈絡もなくそんな話をしてきた。
さらに続けて、五七七五七七となっていることから、こういった歌を旋頭歌と言うのだとも教えてくれた。
それがどうしたのかと聞くと彼は、呑気に秋だねと宣った。
彼の唐突な授業は今に始まったことではない。自分たちの間に会話がなくなると、思い出したかのように授業を始めるのだ。
「ススキと言えば、まさしく秋って感じだもんな」
心優しい我らが最年長はそんな彼の授業を聞いて、うんうんと頷いている。高身長の彼は興味なさそうにスマートフォンを弄っているし、金髪の彼は目を閉じている。もちろん、自分もあまり興味はない。
「七草ってことは食えるのか?」
「秋の七草は観賞用らしいよ」
食べられない、と分かって余計に興味がそがれた。
秋の月夜に映えるススキも素晴らしいが、やはり腹が膨れねば意味がない。
芸術より読書より、食欲の秋こそ至高なのである。
季節感満載のイベントのすすめ。
お盆に田舎へお墓参り
キュウリの馬にナスの牛。
スイカ割りや手持ち花火。
ハロウィンのおばけやかぼちゃ。
たくさんの駄菓子。
赤と緑に配色された街中の人が楽しみな
クリスマス。
大きなツリー小さなツリー。
お正月、豆まき、ひな祭り、お花見…
毎年やって来るイベントだけど
大事なんです。
「この年齢のひな祭りは一度しか無い」
と思いキチンと大事に迎えてください。
思いっきり人の心に残るような演出をして下さい。誰かを喜ばすの好きでしょ!
そんな毎年の十五夜なのですが、
ススキを用意するのが都会ではなんと難儀なことでしょう。子どもの頃はどこにでもあった様に思うのですが…。
一番そばの家族を笑顔にしましょう。
ーーーススキーーー
ススキのエピソード思いつかなかった。。。
強いて言うならアレルギーです
ススキを見れるのもそろそろ終わりか。
雪降り始めてるところもあるし…
最近ススキあまり見てないなあ
学校の他にはあまり出かけないな。
だから見てないのか、ススキ。
通学路にないし。
通学路にススキ咲いてたら
今ごろ見れたのかな〜
興味あまりないけど見れるなら見たかったかも。
「ススキ」
夢で見たことがある。
黄金のススキの原で走り回る少年を。
歩道橋を渡り、石垣に囲われた黄金のススキの原を走り回り最後に花火を見た。
そんな夢。傍に少女もいた。夢の中ながら片思いだった。それを見たのは小学生の頃か。
それから俺はおっさんになってしまった。恋愛はしたがそのススキの子に勝てる恋愛をしたことがない。
恋愛とは何か。思い出の何かなのか。未だ性の営みを感じたことがない。
ススキは何を象徴してたのか? 俺の心の原風景の一つだ。
虫の鳴き声がぴたりと止んだ。
薄蒼い空ははるか高く風の音を運ぶ。
「お帰りなさい!」
腰辺りまで伸びた金の海を掻いて、黒髪の娘が旅の一団に駆け寄っていく。
そのまま特別背の高い男に飛びつくと、周囲は喝采を浴びせ掛けた。
「後でな」
「いやです。もっとお顔を見せて」
そのままぐっと顔を寄せると、娘は今度は首にしがみつく。
「家でやれ」
年嵩の男が虫を払うように言い捨てると周りも苦笑する。男も周りに合わせてへらりと笑おうとした。
娘が頬にキスをしたのでぴたりと固まる。
涙を零したのは男のほうが先だった。
誰に祈るでもなく、首を垂れる尾花。
蟋蟀の大合唱。
半分だけ欠けた月。
吐いた息が形として見える、肌寒い秋の夜。
ススキを思い出すと
色とりどりの情景が浮かぶ
冬に連なる寂しい季節
だなんてことはない
なんて鮮やかな季節
[ススキ]
「ススキだ」
「ん…あーあれね」
彼が沈黙のあと放った言葉はそれだった。
「花言葉の中に〝悔いのない青春〟ってあるらしい」
「ほえーよく知ってたね」
「うん。そういうの調べるタイプだからさ」
まただ。沈黙が私たちを包む。
「ス…スキだよ」
「え?さっきも聞いたよ」
「ススキって言ってない」
「ん?」
「スキ、って言った」
「あーあー悔いのない青春過ごしてえなあーー瑠菜の返事次第では俺悔いのない青春過ごせるけどなーー」
ダメだ。これだからスキなんだよ。
さわさわと音立てるのは
その穂か 僕の胸か
同じ光を見ながら言った
『きれいだね』
あなたには届かなくて
月灯りに揺れる影だけが
小さく頷いた
【ススキ】
ススキ
ススキは悪霊や災いから守る。魔除けのススキとも言われている。ススキの花言葉は、「活力」「生命力」「精力」「なびく心」「憂い」「心が通じる」「悔いのない青春」「隠退(いんたい)」などたくさんある。
ススキ-(11/10)
あの子は泣いていた
ススキは夕日に照らされ、辺り一面黄金色に包まれている
その中を、涙でしゃくりあげながら歩いている
向こうから、ススキをかき分けこちらにやってくる貴方はだぁれ?
顔が見えない
怖い
彼女の持っていた宝物を、その人は奪う
やめて
それをどうするの
私の、大切な大切な存在なの
--そこで目が覚める
頬には一筋の涙
あの子はあの後どうなったんだろうか
打ち寄せる尾花の波に風を聞く
/お題「ススキ」より
吉野の一面のススキ野を見たことがある?
夕暮れに染まる金の波。揺れる穂波の優しい表情(かお)。
いにしえの皇族たちも吉野の地を愛したという。
広い広い海原にひとりきりで佇む。
風が隙間を通り抜け、頬を掠めて、身体を押す。そこでは悩みも怒りも悲しみも、一切の感情を無くしてしまう。広大な自然の中で人とはかくも小さいものだ。
様々な事変を起こしたその皇子は、多くの改新を為したその皇子は、あらゆる政敵を誅殺したその皇子は、この美しい吉野の地を訪れたと伝い聞く。
今はもう史書でしか語られないその方の心は、この一面のススキ野に埋まっているのかもしれない。
この美しい光景を愛した方ならば、たとえどんな語りを継がれても、真実はここにあるのだろう。
見ることも、知ることも、本当のことはもう誰にもわからない。遥か千年以上も前のことだから。
けれど私が想うかの方は、きっと歴史に語り継がれるような人物ではなく、この吉野のススキのようになにかもを包み込むような温かな方であったのだと―――私は思う。
【ススキ】
お月見なんてしたことなかったから、彼女がさっきまでいたベランダのススキとスーパーのみたらし団子を見て、本当に今でもする人間いるんだなあって思った。大事にしている習慣ってのは家庭で違うのだろう。彼女は年越しそばを食べたことがないと言っていた。彼女とベランダの椅子に腰掛け、俺お月見なんて初めてだなあ、と話すととても驚かれた。彼女はよく、縁側で家族と団子を食いながら月を見たそうだ。それってなんだか、平安時代の人間みたいだ。平安時代に月見があったのか知らないけど。でもなんとなく、平安時代って月のイメージ。旧暦とかかぐや姫が生まれた時代だし。平安時代の人たちって、月を大事にしてたんじゃないかな。ふと横を見ると、月光に照らされた彼女の顔。かぐや姫ほど美人じゃないが、自慢の彼女だった。生活能力があって、仕事もできて、程よく可愛くて、それに満月のように美しい乳房がある。
団子を食べた後は、ふたつの満月を愛した。ススキが耳元でサラサラなった。