お月見なんてしたことなかったから、彼女がさっきまでいたベランダのススキとスーパーのみたらし団子を見て、本当に今でもする人間いるんだなあって思った。大事にしている習慣ってのは家庭で違うのだろう。彼女は年越しそばを食べたことがないと言っていた。彼女とベランダの椅子に腰掛け、俺お月見なんて初めてだなあ、と話すととても驚かれた。彼女はよく、縁側で家族と団子を食いながら月を見たそうだ。それってなんだか、平安時代の人間みたいだ。平安時代に月見があったのか知らないけど。でもなんとなく、平安時代って月のイメージ。旧暦とかかぐや姫が生まれた時代だし。平安時代の人たちって、月を大事にしてたんじゃないかな。ふと横を見ると、月光に照らされた彼女の顔。かぐや姫ほど美人じゃないが、自慢の彼女だった。生活能力があって、仕事もできて、程よく可愛くて、それに満月のように美しい乳房がある。
団子を食べた後は、ふたつの満月を愛した。ススキが耳元でサラサラなった。
11/10/2023, 12:07:53 PM