『カーテン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
カーテン
朝日がのぞき込む、スキマ風
私は、この朝日と、ともに 起きあがる。
たびたび、スキマ風から見える朝日が、
今日格別に、綺麗なものに見えた。
ゆっくりと起きあがるツナミのように
カーテン
冴えた瞳が深い夜の色をした部屋を映している。
小暑の匂いが鼻腔をくすぐる。
汗ばんでしっとりした腕で、
眠れない憎たらしさと明日への恐怖を覆う。
夏が来たんだ。そう私に伝えたいかのように、
夜と同じ色をしたカーテンはひらひらと
部屋を舞った。それはもう気軽に、優雅に。
私もカーテンになれたら楽しいのかな。
なんて馬鹿らしいことを考えて、
少し泣いてしまった。
カーテン
たった1枚の布だけど、これで私の城が完成した
中で何が起きるか誰も知らない
外で何が起きるか私は知らなくてすむ
ちょっとだけ隙間を開けてみる
───分厚いカーテンの奥。
妖精もユニコーンも確かに存在していた。
閉め出したのは、いつからか。
【カーテン】
「みーつけたっ」
幼い頃、君はかくれんぼをするとき、決まってカーテンの裏に隠れていた。
「どうしていつもおなじところにかくれるの」
「えへへ」
と無邪気に笑い合った君は、今もカーテンの向こう側にいる。
【カーテンの向こう側】
「みーつけた」
と言って、あの頃みたいにカーテンをめくることができたら。伸ばした手は、透明な壁に阻まれる。
君の顔を見るにはカーテンが邪魔で、カーテンをどけるには窓ガラスが邪魔だ。
「ごめんね、今は、誰にも会いたくないの」
彼女が世界全部を拒絶するには、薄い布切れ一枚で十分だった。
こつこつと窓を叩く。カーテンは揺れもしない。君の気持ちは尊重したい。でもやっぱり、僕は君の顔が見たい。やつれていないかな。怪我してないかな。泣いていないかな。
「ねえ……」
君が世界からのシェルターにこんな薄い布切れを選んだのは、僕に見つけてほしいからじゃないの? 僕の自惚れだったのかな。風一つで舞い上がりそうなカーテンが、僕と君を永遠に隔てる。君の影がカーテンに映るほど近くにいるのに。
「……泣かないでよ」
ふわり。重機でも動かなそうだった障壁を、君は片手で払い除けた。室内の明かりが目に飛び込んできて、君が世界を照らす神様に見えた。
――思い出した。子供の頃、君がいつもカーテンの裏側に隠れてた理由。君を見つけられないと、僕が不安で泣いてしまうからだ。だから、僕が手を伸ばせば見つけられる場所に隠れていてくれたんだ。
君と僕を隔てる壁が柔らかいのは、全部僕のためだったのだ。
「みーつけたっ」
カーテンの向こうから、晴れ間が見える。
そよ風がカーテンを揺らす。
その向こうに、会いたかった君がいる。
おぼろげな記憶を頼りに、ここまで来た。
本当だろうか。
風に揺れるカーテンはボロボロだ。
その病室も荒れ果て、病院自体が廃虚と化している。
こんなところに君が?
僕の憧れだった君がいるというのか。
僕はゆっくりと、揺れるカーテンの端をつかんで、そっと横にスライドさせた。
白いベッドに、横たわる君。
確かに君だった。
だけどそれは、緻密に描かれた、絵だった。
部屋の片隅に大きなキャンバスが置かれ、そこに、天使のように眠る君の姿が描かれていた。
これは、僕が描いたもの。
かつて、この病院に僕が入院していた頃に。
愛しかった君を想い、毎晩のようにベッドに腰掛け、筆を執り続けた。
いつか退院して、君にまた出会うことを夢見て。
願いは叶わず、こんなに時は過ぎた。
そして僕は、この絵の存在すら忘れていた。
退院して、君ではない誰かと家庭を持ち、僕の空想でしかなかった君にサヨナラを告げて。
いくつも失いまた一人になり、君を探してここまで来た。
おぼろげな記憶を頼りに。
薄汚れたベッドに座り、目覚めることのない君を見つめる。
もう、一緒になることを願うこともない。
ただ、この場所で君と過ごした日々を思い出したかっただけ。
病に苦しんでいた僕の心の糧となり、僕の行く末を導いてくれた君のことを。
白いカーテンの向こうから、君の声が聞こえる。
「さあ、そろそろいきましょうか」
僕は、ベッドから立ち上がり、キャンバスを抱えてカーテンを開ける。
「見つけたよ。君の絵」
「持って行くの?」
「うん。本当は、ここに入院していた頃に、そのつもりだったんだけど」
「そっか。幸せな時間が増えて良かったね」
「そうだね。もう、思い残すことはないよ」
朽ち果てた病室の片隅でカーテンが揺れていた。
もう、その部屋には誰もいない。
「カーテン」
純白のシルクの滑り台に、赤ん坊が落ちてゆく。
柔らかなシルクの手触りを確かめながら、ふんわりとしたカーテン生地に、包み込まれるかのように赤ん坊は滑り台を下っていく。
行き先は下界だ。
僕は赤ん坊が1人、また1人と旅立つのを見届けると、シルクを整える。放っておくと波打つ広大な布地。整えるのに、結構筋肉を使う。しかし、命を次へと送り届ける重大な任務なのでやりがいがある。
次の赤ん坊が今か今かと期待に満ちた眼差しで、滑り台の列に並んでいる。
「もうすこし待ってね。さぁ、できたよ!いってらっしゃい。」
僕は次の無垢な瞳をした赤ん坊を手招きした。
赤ん坊はシルクの滑り台に勢いよくのった、と同時に僕の足を掴んだ。
「え」
僕は体勢を崩しながら、赤ん坊と一緒にシルクの滑り台に包まれる。
シルク生地は僕と赤ん坊を下へ下へと運んでいく。
「き、緊急事態発生。係員滑り台に落ちました。」
無線で他の係員にそれだけ伝える。
「何をやってるの!今月3回目よ?次落ちたらただじゃすまないよ。」
同僚の呆れ果てた物言いに僕は身震いをした。
「すみません。なんか、赤ちゃんが僕の足を掴んで離さなくて。このままだと最後まで落ちちゃいそうです。どうしましょう。」
「あーもう…いっそ事君も下界楽しんできたら?」
「ええぇ?そんな、見捨てないでくださいよ。」
無線はそこで切れた。
僕は愕然とした。
なんとか赤ん坊の小さな手をズボンの裾から離したいのだが、思いの外強い力でびくともしない。
どうしょう。そんなに僕の事が気に入ったのかな
。なんてね。咄嗟に赤ん坊に僕は言葉を投げかけた。
「お兄さん、君の事忘れないから。いつか君に会いにいくから。だから離して。」
赤ん坊は僕を見て、微笑んだ。
そして確かに頷いた。
パッと手がズボンから離れた。
赤ん坊はそのまま下界へと落ちていった。
僕は間一髪のところで、落ちずに済んだ。
同僚に散々冷やかされながら、その日は仕事を終えた。
「いいの?そんな約束して。人間は案外覚えてるわよ。」
「えぇっ、そうなんですか?困ったなぁ……。」
僕はイチジク果汁入り聖水を飲み干した。
「有給使って、そのうち会いにいきなさい。一目見るだけでもいい。それが筋ってもんでしょ。」
「はい…」
僕は同僚の言葉に首を縦に振った。
あれから下界でどれだけ時間が経ったか僕にはわからなかったが、有給を使って僕は下界に遊びにきた。
人間たちに紛れて、僕も歩く。しかし誰も白いスーツを着る僕には目もくれない。当たり前だ、人間じゃないからな。
なのに、だ。
「あっお兄ちゃん!!!」
後ろから小さな女の子に声をかけられた。
女の子は人間で言えば5歳ぐらいだろうか。
その女の子は僕を見つけるや否や、ズボンの袖をギュッと掴んだ。
こ、この身に覚えのある圧力は。
「君はあの時の…赤ん坊か?」
「また会えて嬉しい!」
女の子は嬉しそうに答えた。
人生のカーテンは幕を開けたばかりだ。
遠くの方で、黒い雲が激しい雨を降らしている。風に煽られ斜めに降り注ぐその様は、風にたなびくカーテンに似ている。
時折ビカリと光る稲妻と、遅れてやってくる轟音を聞きながら、どうかこちらには来ないでください、と祈ってみる。
嫌いなのだ、嵐は。心をざわつかせるから。
私の祈りも虚しく、雨のカーテンはこちらへ近づいてきている。
このあと窓を打つだろう雨の激しさを想像すると、気が滅入ってくる。
同じフロアの同僚たちも、雨の気配に少し浮き足立っているようだ。
私は、帰るまでには止んでくれよ、と祈りながら、ひとまず仕事に集中しようと、デスクへ向き直った。
【カーテン】
軽やかで柔らかく
風に揺られ
部屋の雰囲気と調和しながら
強すぎる日差しや視線を
和らげたり
遮ったり
そういう人になりたいぜ
カーテンって
お部屋の中で占める面積が
広いから
絶対!可愛いのが欲しいよね
今回の引越しで
カーテン!カーテン!
って、めっちゃ探したのに
なかなかいいのに出会えなくて
もう疲れ果てた
そうなると…
結局、今使っているカーテンが
一番可愛いってことになり
今回は
新居も今のカーテン続投と
なりました
これ!
っていうカーテンに出会えたら
取り替えるわ
あー
早く引越ししたい
異世界カーテン
両親からはカーテンは開けたらだめと言われていたが
両親のルールを破ってあけてみると
そこにあったのは時代が変わる世界が広がっていた
朝になると大半の人は、カーテンを開けるだろう。
でも、そんな簡単なことも億劫になるときがある…
そんなときは、思いっきり自分を甘やかそうと思う。
それはきっと、今日まで自分が一生懸命頑張ってきた証拠だからだ。
はやい梅雨明け
容赦なく照りつける夏の日差し
夏は嫌いじゃないけど
窓から伝わる熱気はちょっと滅入る
レースの遮光 カーテン だけでは防ぎきれず
少しの明かり取りだけ残して二重に カーテン
薄暗い日中の部屋
クーラーの音だけが響く
毎年何かしらの記録更新をする夏が来た
「ところで」
「ところで?」
「今回のお題はなかなか意味深だね」
「そう?」
「カーテンを開けるだと何かを詳らかにする、明るくする。カーテンを閉めるだとこれから夜、見られてはいけないものを隠す。なんてならないかい?」
「あー、ちょっとエッチな感じもある」
「まあ、そこまで言わずにそういった雰囲気を出せるという感じがあるね」
「カーテン越しの人影とか」
「そう。そんな感じで人間関係を比喩的に使えるしね。カーテンコールとかだと舞台らしさというかそのものをイメージさせるけどね」
「あー、なるほど」
「で、意味深と言ったのは」
「意味深だからだ!」
お題『カーテン』
『彩』
君がいなくなった家で
少し広くなったかなー、とか考えながら
朝を迎える
君がいなくなったこの家は想像より遥かに広くて
静まりかえっている
君がいなくなったこの日々に
今日も朝日が光をもたらし色をつけてゆく
カーテンが揺れる
隙間から光が差し込む
ひかりの下で寝る
心地よい暖かさ
カーテン
巻きつくの、
楽しかったよね!
髪の毛が
巻き込まれると
終わるけども(笑)
今は、カーテンのお家は
多くはないのかな?
ブラインドや、
ロールスクリーンとか?
懐かしい…!
風に、白い布がはためく。
薄い影が、カーテンの表皮をなぞるように動く。
そっとキスされたようにいつのまにかできていた、虫刺されのふくらみを、無意識にひっかいた。
カーテンが、誘うように風にはためく。
薄い影が、カーテンのひだに浮き上がるように動く。
カーテンの向こうにいる何者かたちの姿は見えない。
なめらかな曲線の輪郭だけが、まるで誘惑をするかのようにくっきりと、カーテンの表皮を滑っていた。
私はただ、その不思議な影と涼しげにはためくカーテンとを、ただ眺めていた。
私がいる方は、ひどく蒸していた。
中途半端に上がり続けた気温と湿度とが、ねっとりと絡み合い、肌に不快な空気を醸成していた。
影はなめらかに、まるで蒸している不快な肌触りの空気などないかのように、優美に動き、カーテンの中を自由に、するすると這い回っていた。
私はただ、この状況に冷静な分析も客観的な視点も持てずに、得体の知れないその影に目を奪われ続けていた。
その影は、人間の女のようになめらかで美しい曲線を持ちながらも、明らかに五体よりもずっと多い付属品を、巧みに、滑らかに操り続けていた。
その数々の腕に抱きすくめられ、撫でられている、ひかえめでなめらかな少女のような曲線が、体をすくめるようにびくり、と動いた。
なにやら、ふんわりとした香りが鼻腔をくすぐった。
そこで、私は初めて、自分が調査員であったこと、そしてこの影の主である未確認生物と、それの恋人らしい人間と、二人が暮らすという家に調査として踏み込んだことを思い出した。
あの、なめらかに優しく動く、多腕の生物を研究所に“保護”するために、ここにいることを、思い出した。
目の前では、相変わらず影が、なめらかに美しく、睦み合って、カーテンの表皮をなぞっていた。
私は唾をのんで、彼女らが満足するまで待とう、と思ったら。
カーテンを剥ぐことが、私にはどうしてもできなかった。
耳が、聞こえない。
私は眠っていたのだろうか。
ぼんやりと目を開ける。
誰かが呼んでいる気がするが、
気のせいのような気もする。
体を起こす。
誰かに起こしてもらったはずなのに、
私はこの部屋に一人だった。
気分が良くないから換気をしようと思って、
締め切られたカーテンを開ける。
カーテンを開けるとそこには、
壁があった。
窓がないなら仕方がないから、
私はベッドに身を任せることにした。
耳は、多分まだ聞こえていない。
眠りにつく。
目を開ける。
朝ではないような、妙な焦りを感じる。
目の前にはあかい空を隠しているような
暖かいカーテンが見える。
『カーテン』
「書く習慣っていうアプリやってる人おいで!!!!」
っていうオプチャの管理人です!
夢ってさ、何も覚えてないよね。私全然見ないからわかりませんが…
もう眠たい!!寝ようみなさん
「カーテン」
真夏の日にカーテン越しの光を見た事がありますか?
私は、何度も見ています。
実を言うと私は体が弱くて
そんな景色ばかりを見て生きています。
そうすると、
段々とその光がウザったらしくて、憎たらしくて……
“見ていてもしょうがない”
そう思ってしまうのです。
だから、だからカーテンは親が来る時とか以外は
必ず閉めています。
希望の光でもなんでもない
唯一見える光が、
うざったるく感じてしまうのです。
私の中の希望なんて明るくないのに……
太陽の光は、
カーテン越しでも
こんなにも
光り続けるなんて、
おとぎ話のように感じてしまうのです。
令和7年 7.1