『エイプリルフール』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
エイプリルフール
「嘘つき」
責めるようにそう言えば、あなたは困ったような顔をした。
ずっと私はあなたと付き合っていたと思っていたのに。
好きと言った言葉も愛してるの言葉も、一年に一度今日しか聞けない。そのくせ今年は、別れてくれ、なんて言うんだから。
わかってたよ、君が私のこと本当は嫌いだって言うことも。本当は付き合ってなんかいなかったことも、ずっと私だけ勘違いして踊らされていたんだ。
もっと早くに気づけばよかった。今日がエイプリルフールなんて、少し考えたらわかるのに。
だから、あなたの言葉に素直に頷いた。
「バイバイ」
そう言って別れを告げる。でも、気づいていなかった。それが嘘だってことも。
さあ、諸君
大っぴらに嘘をつこう
大手を振って馬鹿になろう
この日につく嘘が
いっとう楽しいのだ
「ちょっとしたお遊び」の
あからさまな嘘が
朗らかに騙される人々が
なに、こんな日じゃなくても
この世界は嘘に塗れている
気づかないほど乱暴で
暗黙のうちに流される
陰鬱な人間の性
それが社会の形
さあさ、今日ぐらい
たったひとことの
明るい嘘をつこうじゃないか
道化師たちよ
お前たちにも心から笑う権利はあるさ
4月1日は嘘をついても良い日。
嘘をついていいのは午前中までで、午後からはネタバラシタイムだよ。
小さい頃からみんな通った道。テレビとかでもよくこの題材を取り上げている。
でも、本当のことを嘘だと決めつける人もいる。なにもかも、この日だからだ。
「え? ともかちゃん今日誕生日なの?」
「うそ~!? エイプリルフールだから嘘ついてるんでしょ」
毎年、このやりとりをする。
嘘じゃないんだ。本当なのよ。終いには、私も誕生日~、と煽ってくる人さえもいる。
誕生日順に並ぶと、私は一番最後。その年の一番最後は4月1日生まれなのだ。
4月生まれの同学年とまるっと一年違うわけで、小さい時は体型差もすごかったが、
「ガチの誕生日なんだからプレゼントちょうだいよ」
と、態度はすごく大きく育ちました。
嘘をついてもいいのが、4月1日のエイプリルフールだけど、私の誕生日もその日だから、覚えててよね?
【エイプリルフール】
『エイプリルフール』
これは嘘、あれも嘘、これは本当……かもしれない。
春休みの図書館で、私は調べものに没頭している。
「全部嘘に決まってるじゃん」そう言って笑う同級生たちは、あかんべーして追い払った。
探しているのは、未確認生命体の情報だ。見てみたい。一種類くらいは実在してもいいのではないかと私は思う。
ツチノコでもネッシーでも、ケセランなんとかでもいい。宇宙人だったら大当たり。
分厚い郷土史の資料やら縮刷版の新聞から、怪しげなタイトルの怪奇本までを塔のように積み上げて、それらしい記述を一心不乱にメモしていく。
なんでこんなことをしているかって、そりゃあ青春のど真ん中をロマンに捧げたいからだ。埋蔵金探しと迷ったのはナイショである。
「ねぇ、宇宙人探してるの?」
突然上から降ってきた声に、本の塔に囲まれて机に噛り付いていた私はギョッとして顔を上げる。
にこやかな笑みを浮かべた同年代くらいの少年が、私の手元を覗き込んでいた。私はその容姿に意識を奪われ、言葉を詰まらせる。今まで見たどんな人間よりも美しかったのだ。
「僕が宇宙人だよ」
告げられた二言目に私は堪らず「え!」と大きな声を上げた。
当然のように周囲の視線を集めた私は、積み上げられた本の壁の裏に隠れるように身を縮める。
こんなの考えるまでもなく嘘に決まっているのに。輝くように美しい人間を前にして、正常な思考を失っていたようだ。
「ごめん、信じた?嘘だよ。今日ってエイプリルフールなんでしょう?」
ポカンとした私は毒気を抜かれ、笑いながら「知らない人に突然噓八百をぶちまけるのがエイプリルフールだとは思わなかった」と率直に告げた。
すると彼はこの世のものとは思えないほど美しい顔で「それは知らなかったよ」と明らかに落胆する。
その時、宝石のように美しい瞳を、半透明の膜のようなものが一瞬覆ったように見えた。そう、カエルの瞬膜のような。
いや、潤んだ瞳に光が反射しただけだ、気のせいだろう――。そう思ったのだ、その時は。
探し物がもう見つかっている事に私が気が付くまで、あと数ヶ月。
4月1日、エイプリルフール。
これを聞いて大半の人は
嘘をついてもいい日だな、と思うだろう。
もちろん私もそう思っていた。
正確には、2年前までその考えしかなかった、だ。
今はそれに加えてもうひとつ、
4月1日と聞いて思いつくものがある。
そう、教職員の異動が新聞に載る日。
去年よりももっと先生のことが大好きな今年は、
3週間以上まえから
この日が楽しみでもあり、怖くもあった。
早く知って来年からも一緒に入れたらという希望と、
もし先生が異動してしまっていたら
どうしようという不安。
朝目覚ましが鳴る直前に目が覚め、
急いで新聞を確認しにいく。
見間違えたらいけないと3周は目を通した。
何度見てもそこには先生の名前はなかった。
先生は4月からも学校にいるのだ!!!
うれしくてうれしくて、どうしようもなくて。
ただただ、あたたかな気持ちだった。
嘘だと思う?
世の中、
お金を払ってまでも嘘をついて欲しい人って、
割と多くいるものよ。
#4 「エイプリルフール」
季節は春。
暖かく晴れた気持ちのいい日で、窓の外には桜が舞う。
デートとまではいかないけれど、一緒に散歩でもーーなんて。
休日のスタメンであるスウェットを手放して、ふんわりしたワンピースを着てみる。
薄くメイクをしたあと髪を巻こうとして、そこまで気合を入れるのはなんだか恥ずかしくてやめた。
少し浮ついた気持ちでリビングの扉を開ければ、彼はソファでゲームをしていた。
「ねぇ」
「んー?」
「今日、いい天気だね」
「ああ、そうだね。洗濯しないとなぁ」
そうだけど。そうじゃなくて。
話しかけても、一向に画面から目を離さない彼に苛立ってしまう。別に趣味に口を出したくはないけれど。
「……ゲームじゃなくて、私のこと見てよ」
ぽろり、出すつもりのなかった心の内をこぼしてしまった。え、と呆けたような声を出して、ようやく彼がこちらを見る。
恥ずかしい。柄じゃない。こんなバカみたいな我儘を言うなんて。
ポカンと私を見つめる彼にこっち見んなと思っては、さっきと真逆じゃないかと自分にツッコミを入れて、もう何が何だか分からない。
「それってどういう、」
「バカ、エイプリルフールだよ。本気にしちゃった?」
狼狽を悟られないように笑って見せれば「うそぉ……」と、困惑とも落胆ともつかない彼の声。それを振り切るようにして、リビングから逃げ出した。
自室の扉を閉めて寄りかかり、溜息をひとつ。
「……嘘だよ」
ほんとはいつも思ってる。
ゲームばっかりじゃなくて、たまには私のこと見てよって。
愛してる
そう言われた時、僕はきっとどこかで
これが嘘なんだと気づいてた
それでもその言葉は
僕の思考を奪うくらい鮮明で
僕もって答えてしまった
その瞬間バツの悪そうな顔で
ごめんね、エイプリルフールだからって言い淀む君に
僕は僕のも嘘だよと反射的に言う
安心した君の顔を見て、君に一つだけ伝えたかった
今はもう、午前じゃないよ
《エイプリルフール》
#11
お前が一番大切だよ
それが今までで最高の
エイプリルフール
嘘をつくために嘘をつく
本心はどこへいくのだろう
誰のためではない自分のための嘘
誰もそこへは介入させない
エイプリルフール
幸せな嘘を見た
あったかいご飯を食べた。大好きなハンバーグと、コーンポタージュ。大好きなおかあさんとおとうさんと
一緒に、学校のて楽しかったことを話した。そして、おかあさんとおとうさんに抱きしめられながら眠った。
目が覚めた。痛いほど冷たい床が頬にあたる。グロテスクな痣のついた腹がいたんだ。今日は4月2日。
「嗚呼、昨日は、エイプリルフールか……」
毎年、エイプリルフールの日には、
面白い事が起こる。
嘘は苦手だけど、
ひとを笑顔にさせるような嘘は大好きで、
エイプリルフールの前夜には、サンタクロースを待つ
子どものようになってしまう。
馬鹿正直に
記憶の引き出し
開けて見せた
君は知らない
優しい嘘も
あるんだって事
「エイプリルフール」
「エイプリルフール」
もうこの日に騙すことは無くなった
かな、、、
騙される方が楽しいかも。
エイプリルフール
エイプリルフールと言えば、
何かうそついて親しい人を騙したい。
そんなこと思ってたのは、ずっと昔の話です。
最近は全然してません。
相手がギョッとして、倒れたらいやだから。
うそを楽しめなくなってます。歳のせいですね。
明日は嘘を絶対ついてはいけない日。
かと言って今日面白い嘘も思い当たらない。
せっかくの日が!
嘘という言葉に罪悪感が年々増す。
それは自分なら嫌だと感じるからかも。
良い嘘も悪い嘘も重荷になってる。
歳を重ねると、その痛みがわかるから。
笑顔になる嘘思いつかないなんて
寂しいけど、サンタクロースと同じかな。
明日は努力するのに今日は捨ててしまった。
でも、まあ、良きかな。
「愛してる」
毎年、僕の幼なじみが4月1日にしてくる嘘。
何時も、必ず午前中に届くのに、今年は深夜だった。
「私は貴方を愛しています。これが最後です。」
そう届いたメールを見て、僕は
「そうか。最後か。良かったよ。これで振り回されずに済む。」
と返した。どうせ、彼女の悪質な嘘だ。
次の日、彼女の首吊り死体が見つかった。
、、、今日はエイプリルフールだよ!、、、
貴女がそういって笑うのが可笑しくまた、とても愛おしかった。
、、、今日で終わりだよ、またね。、、、貴女はそう言った。けれど私はエイプリルフールだからと下らない嘘を着いているのだろうと貴女の言葉を深く受け取らなかった。次の日貴女は空へと飛び立った。
、、、エイプリルフールってなんだったんですか、、、私はそう言って泣くのであった。
『 エイプリルフール』
午前中は嘘をついても大丈夫な日。でも私はエイプリルフールが嫌いだ。今日私は君に告白をする。『 あなたのことがずっと好きでした。』
すると君からの返事は『え、 あ!エイプリルフールやろ?!』
私は『 え、あー笑そう言えば今日エイプリルフールですね笑笑』そう答えると『 もー騙されちゃったよ笑笑』と君は笑う。やっと気持ちを伝えられたのに…私は辛かった。やっぱり私はエイプリルフールは嫌いだ…
嘘は敢えてつくようなものでも、ましてや必死に考えてまでつくようなものではない。
仮面夫婦の私たちにとっては、毎日が嘘でできている。