『ゆずの香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
大好きなゆずの香りの入浴剤
ポカポカな湯船
ゆずの香りでリラックス
ゆずの香りに包まれて
あなたを想う
何年経っても
何十年経っても
ゆずの香りで
あなたを思い出すんだろうな
【ゆずの香り】#46
ぷかぷかと水面に浮かぶ果実を片手間に弄くり回しながら、ぼんやりと目を閉じる。
12月22日、今日は冬至。それから、終業式…所謂、学期の終わりというものである。
特段それらしい友人と呼べる存在がいるわけでも無く、かと言って学校が嫌いになるほど人間関係ひいては勉学などに支障があるとも言えない。そんな私は”終業式”と云う存在にそれ程の感慨を抱くこともなかった。
柚子の香り。
苦くて、あまい、ひとりの香り。
つん、と立ち上ったそれが手で遊ぶ柚子のものだと気付くのにはいつもより随分と時間が経った頃だった。
いつだっただろうか。母さんが言っていたことがふと思い出される。
「風邪をひかないようにね、柚子湯に入りなさいね。冬至は1年でいちばん日が短いけれど、その日から新しく始まっていくということだからね」
そんな話聞いたこともないぞ、と軽く調べてみるが昔からの謂れのようだ。江戸っ子かよという話だ。
くすりと笑いが零れて、それが余計に笑えて、思わずそのまましばらく笑ってしまった。笑っているうちに少し泣けてきて、涙がぽろぽろと湯船に落ちて、水面を揺らしながら柚子の香りと融け合った。
そうか、私は寂しかったのか。
私が寂しがり屋だったのは、もう随分昔の話だと思っていたのに。時の流れは意地悪だ。泣きながら、また笑った。
これから日は長くなっていく。1人の時間が、少しずつ増えていく。
嗚呼、ああ、どうか、どうかはやくおわってください。
年が明けて学校に行ったら、今度はちゃんと話そう。友達と呼んでくれる子はそういないが、最初からそうであるなんて有り得ないから。
1人の夜は、少し、寂しいから。
柚子の、柑橘類のさっぱりとした香りが、つんと少し、鼻にくるから。
PM. ゆずの香り
ただただ窓を眺めているだけなのに、
雲の香り ゆずの香り 雨の香り...
全部が私の中の主人公 。
冬至。
両親がいれば、ちゃんと行事に乗っただろうに。
なにもする気が起きない。ただの寒い日だ。
布団にくるまっていると、来客があった。
一階に降りて、玄関の外を覗く。外には、おまえがいた。
自分用の酒とオレ用の柚子茶を持って。
独りにしないでくれて、ありがとう。
ゆずの香り
今日は冬至だからお風呂にゆずを入れて入る予定だ
雪も降ってきて寒いけれどきっとぽかぽかに温まる
『あ、あの………』
『んー?どうしたの?』
『えっと、なんだか不思議な臭いがして……お母様ま何を何をしているんですか?』
『これ?これはね、ゆずのジャムを作ってるのよ』
『ゆずのジャム?』
『そ。パンに塗って食べるの』
『そうなんですか。美味しいんですか?』
『ええ!とっても!』
ー
「リース?どうしたの?ぼーっとして」
「あ、すみません………」
「それで、この臭いってなんの臭いなの?」
シーマさんにゆずの香りについて聞かれて、つい昔のことを思い出してしまった。
最初は少し独特に感じるゆずの香りに驚いてしまったが、今ではすっかり平気になっていた。
「たぶん、あっちで売っているゆずの香りですね」
「へー」
私とは対照的にシーマは少し臭いに顔をしかめながらお店づくりに売っていたゆずを見た。
「あれっておいしいの?」
昔の私と似たような質問をシーマがしてきてしまうもだからつい顔が緩んでしまう。
「近くにゆずを使ったお菓子が売っているみたいなので、見に行って見ましょう」
ジャム以外のゆず料理は食べた事無いが……
「きっと、とっても美味しいですよ」
なんとなく、そう思った。
ーゆずの香りー
リース・リリィーナ
初雪の 冬至の風呂から 爽やかな
歌と香りに 微笑み漏れる
お題【ゆずの香り】短歌
寒さに身を縮めながら帰路を急いでいると、どこかの家のお風呂場から楽しそうに歌う声が聴こえてくる。お風呂の中は暖かくて幸せに満ちていそうだ。柚子湯でもしているのかな。聴かれていないと思って気持ちよさそうに歌っているのがちょっと可笑しくて、つい微笑んでしまう。
放課後、あの子が「出しすぎちゃったから」って分けてくれたゆずの香りのハンドクリーム。ずっと手からほんのりあの子の匂いがして、ちょっとドキドキしたな。
柚子の香り
今日は冬至だ
1年のうちで最も夜が長い日とされる
私の遠い親戚は宮崎にいる
そこの地域は柚子の栽培で有名だ
この時期は、柚子の香りがするとその親戚の顔が浮かんでくる
香水は嫌い
だけど、
キミがつけるシトラスノートは好き
冬至だ。
柚子風呂に入って、ゆずの香りを楽しむ。
憩いのひととき。
柚子湯にぶくぶくと、沈んでいく体。
とぷん。
ああ、いい湯だな。
ばばんばばんばんばん。あー、びばのんの。
身体は跳ねる。
湯の中で、まるで大蛇のようにうねる。
白い皮膚は、白露(バスロマン)を艶やかに弾いて光る。
つーっと沈んでいく身体。
ぶくぶくぶく。
鼻をつまんで息を止めれば、私の身体は、柚のように、ゆったりと回転していく。
ゆずの香りに包まれて、2023年も終わります。
ゆく年くる年、叫ぶ年。
来年は土用の鰻を食べられれば本望です。
チャポン
足の指から肩まで染み渡る温かさ
目を瞑って深呼吸
この瞬間にゆずの香りがふわりと香る
この入浴剤にしてよかった
明日は何の香りの入浴剤にしようかな
〈ゆずの香り〉
甘い匂いが鼻をくすぐる
でも少し、苦く感じるかも
お風呂からゆずの香り。
ネットに入ったゆずが浮かぶ。
湯気の向こうに父親の笑顔。
靄のかかった記憶を回想する。
#71「ゆずの香り」
コポコポコポ…とお湯の湧き出る音が響く
その上に5つほどのゆずがぷかぷかと浮いている
甘酸っぱい、いい香りを放っている
疲れを忘れさせるひと時だ
ゴーン…
除夜の鐘も鳴っている
もう、今年も終わりだ
良いお年を
そして良い新年を迎えられますように
片思いだった
そんなの知ってたけど諦めきれなかった。
あの子の横を歩くと香るゆずの香りが憎くて、
大好きだった。
ー背中ー
一番得意なのは君を見つけること
どんな人混みの中に居ても探し出せる
君を見るたびに世界が止まるし、胸が熱い
君と目が合うと呼吸しているのかも分からなくなる
君はずっと僕の中にいる
どんなに時間が経っても僕の中にいるんだ
離れることなんてできない
だからお願い
早く消えて
僕の中から出てって
あたたかな湯気とともに
甘酸っぱい幸せを吸い込む
陽光を浴びたような
爽立つ温もりがひろがる
/ ゆずの香り
芯まで冷えた体。湯船に浸かると、血の巡りが良くなるのが感じられた。
年末年始と、類を見ない程の寒波が重なり、想像以上の仕事が立て込んでいた。移動都市の性質上、街と街を跨ぐのも簡単ではなく、連絡を取り合いながらなんとか配達を終えた。
「ゆず湯だっけ……すごくいい匂いだし、いつもより温かい、かも?」
「ネイもそう思う?」
「うん……って、ジル、なんでいるの?!」
背後に彼がいた。気持ちよさそうに耳を畳み、私を抱き寄せてくつろいでいる。
「潜伏してたんだ。すごいだろ?」
「すごいけど!びっくりするから本当にやめてね……」
「ごめんごめん。でもほら、今日で仕事納めでしょ?そう思うと興奮しちゃってさ」
心の底から楽しそうに笑っている。だいぶ落ち着いてきたんだな、と私は安心した。
「お疲れ様、よく頑張ったね。上がったらマッサージしてあげるよ」
『労いの湯』
お題
「ゆずの香り」
季節にのってけないこと、わたしの日常には多くてでも思い出したら季節の中にいるんだって思い出させてくれるわたしなんかよりずっと包容力があって無様な権力を捨てた軟らかいいいにおい。