『もしも未来を見れるなら』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『もしも未来を見れるなら』
転びたくなかった。
失敗したくなかった。
成功したい。
立ち上がって、走り出したい。
でもそれは、失敗を糧にした経験だから。
僕は『今』を生きるんだ───────
【もしも未来を見れるなら】
こう見えてその時その時の己の選択に責任持って生きてるつもりだから、自分の未来にはあまり興味ないんだ。
仮に未来を垣間見た結果望んだ未来じゃなかったとして、それを回避する為に敢えて別の道を選び直したならそれはもう僕の人生ではなくなる気がするよ。
未来なんて見れなくていい。
この先ハッピーでもドン底でも、それが自分で悩み苦しんで出した答えなら、僕はきっと後悔しないだろう。
君はちゃんと幸せだろうか
笑顔でいられているのだろうか
誰も傷ついていないだろうか
*もしも未来を見れるなら
#005『小さなバタフライ』
現代/SF・微ホラー
もしも未来を見れるなら。選ばなかった選択肢、それでも選んだ選択肢、どっちも山ほどあるに決まってる。
たとえば中二の新学期。目が悪いんで変わってくれと頼まれて譲った席は、学年一かわいい女子の隣だった。
たとえば文化祭の出し物。一票差で決まった演劇で馬の後ろ足役をやることになり、本番ですっ転んでいい笑い者になった。
たとえば高校の部活動。ダチに合わせて入った野球部の顧問がゴリゴリのパワハラ野郎で、殴られてできた額の傷はいまだに目立つ。
大学じゃパチスロにハマって、バイト代はほぼ注ぎ込んじまった。奨学金にまで手をつけた奴のことをさんざんバカにしていたが、一念発起、起業して速攻で返済をすませたと聞いた時は、そういうルートもあったのかと……いやダメだな、俺には多分無理なやつだ。
三桁の会社に未来をお祈りされた一方、やっと決まった勤め先は大手製造業の下請けだったが、給与未払いを起こしかけて逃げ出さざるを得なかった。つなぎのバイト先でばったり再会した同級生と付き合い、再就職が決まってから結婚したんで、ここらのルートは問題ないな。
「ちょっとママ! パパの靴下と一緒に洗うのやめてよ!」
洗濯を手伝っていた娘が何やら叫んでいる。なんつー言い草だ。
「友達が水虫とかうつっちゃって大変だったんだから。そんなのなったら、もうパパなんか絶交だし」
……どうやら危機一髪だった。家族旅行で温泉に行った時、スリッパを履き間違えられてうつされたやつだ。原因がすぐ特定できたから修正が効いた。選択し直す事柄はなるべくささやかにしておく必要があるのだ。
たとえば中二の新学期。席替えを渋ったら何やら変な噂が立ち、クラス替えまでずっと居心地が悪かった。
たとえば出し物がお化け屋敷になった時。暗闇で仕掛けに足を引っかけ、全治三ヶ月の怪我を負った。
たとえば高校の部活動。帰宅部を選んだらいわゆる不良グループに絡まれるようになって、まともに通学できなくなった。
未来はいつでも不確定だ。修正しても誰にも気づかれることはないが、修正した結果があらかじめ分かっているわけでもない。
ブラジルで蝶が羽ばたいたらテキサスで竜巻が起こる? そんな変化は望んじゃいない。
望んじゃいないが、退職を一ヶ月前倒しにした結果再会した同級生はDV野郎との結婚はしないですみ、娘はおれの娘になった。たまたまうまくいっただけで、あの時の変化はデカすぎた。
だから最近、俺は視界の蝶を無視している。
《了》
お題/もしも未来を見れるなら
2023.04.19 こどー
【もしも未来を見れるなら】
テレビの中ではいかにも胡散臭い占い師が、貴方の未来を占いますなんて看板を掲げている。サブスクで配信されていたのを暇つぶしに再生したそれは、随分と昔のマイナーな邦画らしい。先クールに放送していた時代劇エンタメドラマの脚本家が若かりし頃に書いた作品だというから、試しに再生してみたのだけれど、今のところはあまり惹きつけられる要素は感じなかった。
「未来って、そんなに知りたいもの?」
スマホで音ゲーに勤しんでいたはずの君が、気がつけば少しだけ視線を上げていた。意外に思いつつ、軽く肩をすくめてみせる。
「さあ。私に聞かないでよ。むしろ私は過去のほうが見たいタイプの人間だし」
「織田信長の死体の行方が知りたい、だっけ?」
「そうそう。あと徳川家重の女性説の真偽とか」
歴史の謎を実際に確認できるというのなら、世の研究者の皆さまにはぜひともタイムマシンを早急に開発していただきたいものである。
「君は? 知りたい未来とかあるの?」
私と違って君は歴史好きというわけでもないから、過去より未来のほうに興味があるのだろうか。素朴な疑問を口にすれば、君は「ううん」と唸りながら首を捻った。
「特に思いつかないんだよなぁ。未来って、知らないから面白いんじゃない?」
「それは同感。知ってどうするのって感じだよね」
これから先も君と一緒にいるのかなとか、十年くらい経ったら転職とかしているのかなとか、そんなものは自由に想像して胸を躍らせているうちが華というものだろう。事実として未来を知ってしまったら、きっとこの世界はどうしようもなく味気ない。
君は笑いながら「だよね」と相槌を打って、スマホの画面へと目線を戻す。音ゲーを再開しようとしたらしい君が、不意に何かを思いついたように「あ」と小さく呟いた。
「明日の通勤の電車、どのドアから乗れば座れるかは知りたいかも」
なんとも呑気でスケールの小さな『知りたい未来』に、私は思わず吹き出してしまった。ああ、テレビの中の映画より、君の発想のほうがよっぽど面白い!
もしも未来を見れるなら
「大きくなったら何になりたい?」
突然、友人が聞く。昼間の授業で将来の夢について話していたのが原因だろう。
「別に…何も。」
私の将来は決まっている。5年後の火事で全てを失うのだ。私は生まれつき未来が見えるのだ。一度も外れたことはない。
友人は不満そうに顔をふくらませる。
「え〜。それじゃつまんないよ〜」
「じゃあ、未来がどうなるか決まってて、それが絶望しかないと知ってたら、どうする?」
思わず問いかけてしまった。
「その後どうするか考える」
ケロッと言ってのけた。
そういえば私は起こった未来をただ受ける入れるだけで、その後の事は考えたこともなかった。
もしも未来を見れるなら、見る気はあるか?
そんな戯言を、あまりにも場違いな質問を、間髪を容れずに一蹴した。
下らない。実に下らない。未来なんてものは不確定で、今、それを見たとして、一体、何の意味がある? 今日の存在すら危ういこの場所で、昨日の証明すらままならないこの世界で、未だ来ぬ明日に恋焦がれて何を成せるという。
含んだ嘲笑を感じ取ったのか、問いかけの主は表情を歪ませた。
恐怖を知らないのか、愚か者め。
今度こそ、声を上げて嗤った。恐怖を見捨てた愚か者は、お前の方だろう! それすら気づけず、そんな無駄な問いを投げたのか!
だからこそさ、じゃなきゃ未来なんて掴めやしない。
はなから、「当たり前ながら、見られるもの
ではない」と思っているので、これがこうなら…
と想像することも無い。
その根底には、「不安」があるのだろう。
将来。悩み。身体。この先どうなっていくのか
それが分からないから、仮の話でも楽しく想像
することができないのだ。
どんなに考えても願っても手は届かない。だから
見たいとは思わない。夢が無い、と言われれば
それまで。
それでも強いて言うとするなら、翌日の天気なら
知りたいものだな。
「もしも未来を見れるなら」
もしも未来がみれるなら
私の大切な人達が幸せに暮らしているから
知りたい
もしも未来がみれるなら、自然災害がないか
大切な人達が傷付かないか知りたい
もしも未来がみれるなら戦争がおきないか
知りたい
みんなが幸せに暮らす事は、理想でしかないかも知れない
ただ、少しでも心が豊かな人生を送ってほしい
もしも未来が見れるなら、わたしが笑顔でいるかを確認したい。笑える未来があるのなら、わたしは今を頑張れる気がするから。
『もしも未来を見れるなら』
「そんなもん、万馬券よ万馬券」
とても姉らしい答えに、僕は肩を落とした。
「俗の極み」
「うっさいわね。金があれば大抵の夢は叶うのよ。そういうあんたはどうなのよ」
水を向けられて、言葉に詰まる。
「…………将来当たる会社の株を買っておくとか」
「ほーーーーら! あんただってあたしと変わんないじゃない。世の中金よ金」
「くっ、確実に悪役のセリフなのに否定できない」
けらけらと笑う姉は、僕が持っているポテトチップスの袋からチップスを鷲掴みにしてもっていく。え、それ一口で行くの? あ、敷いたティッシュに避けた。さすがに姉さんでもその量を一口で食べはしないか。
思わず見送ってしまったけれど、僕のお小遣いで買ったポテトチップスは三分の一くらい減っている。
お返しにと姉さんが食べていたクッキーに手を伸ばすと、はたき落とされた。
「姉さん僕の食べてるんだから僕だって食べて良くない!?」
「単価が違うのよ単価が。こっちのチョコなら許す」
差し出されたのは大袋のキャンディタイプのお得用チョコレートだった。
確かにクッキーは缶入りの高そうなのだけど! 一枚くらいいいと思う! 怖いから言わないけど!
僕がチョコレートを口の中に放り込むと、ポテトチップスを食べていた姉が口を開いた。
「……まぁ、さ。百年後とかだと近すぎるけど、何百万年て先の地球がどうなってるかは、ちょっと見てみたいかも」
口の中でチョコレートを転がしながら、僕もまた考える。
僕も姉も、下手したら人類さえも死に絶えて、また新しい種族が文明を作っているかもしれない。或いは、地球自体が滅んでいたりして。
僕たちが、想像は出来てもけしてみることはない未来。
「……確かに面白そうかも。偶にはいいこというね、姉さんも」
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜? お姉様はいつでも良いこと言ってますけどぉ〜〜〜〜〜〜」
「痛い痛い痛い蹴らないでください痛い」
そういう事するから、良いこと言っても印象に残らないんだよ!
2023.04.19
もしも未来を見れるなら
そろそろガタが来たな、と思う日々が増えた。
関節はギシギシと軋むしオイルをさしても直ぐに元通りになってしまう。なにより脳内チップの具合が悪く視界が霞んだり頭にノイズがかかる回数が増えた気がする。
そろそろこのボディともお別れか。いやここで人生を終わりにしてもいいかもしれない。オートマタの自分が人生というのは可笑しいかもしれないが、元々は人間だった分そう思ってしまうのだ。
「あ! 先輩!!」
しんみりと今後のことを考えていればそれを吹き飛ばす大声が飛んでくる。
「居ましたよ! バーテンダー!!」
バーテンダー、とはなんのことだったか。暫くの間、反応できなかったが二、三日前に酔っ払いながら話したことを思い出した。星降る夜に現れるバーテンダー。そのバーテンダーが出す酒はとてつもなく美味しい。
「いやあ、先輩の嘘か酔っ払いの妄想かと思ったんですけど本当に居たんですねえ」
嘘か妄言て酷くないか、とは思うが後輩の言葉は止まらない。まるでいつもと逆のようだ。
「酒もめちゃくちゃ美味しかったです! 多分先輩と飲んだのは違いますけど、星のかけらを使って作ってくれたのは同じでしたよ」
頭にノイズがかかる。
自分が飲んだのは、そう、甘露のように甘く美味しい酒だった。
「なんか先輩元気ないですね? 大丈夫ですか?」
後輩が心配そうに覗き込んでくる。
言葉が上手く出ない。まだ、止まってしまう訳にはいかない。
「大丈夫に決まってんだろ! ちょっと具合悪いだけだよ」
「え、じゃあ今日はもう上がった方が良いですよ。そろそろボディにガタが出始めそうって前に言ってましたし」
そんな話をしただろうか、と相変わらず頭のノイズが邪魔で思考が纏まらない。
「そうするかなあ悪いな」
「いえ、たまには先輩を労らないと」
「お前~!」
「わあ、すみません!! でも本当にメンテ行ってくださいね」
心配してるのは本当なのでと殊勝な言葉に思わず笑いそうになる。普段は茶化してくるくせにこういう時は察しが良い。
「じゃあ言葉に甘えるかな、その代わり掃除サボるなよー」
「掃除サボるのは先輩でしょ」
ワハハと笑いあって「じゃあまた明日」と言った所で思考が途切れた。
触れられたほうは、感覚も朧気で記憶に残らないまま、風は常に何かに触れて生きている。
生き物が、季節の変わり目に新しく吹く風をからだで感じたとき、その感情を吸い取って娯楽とし、遠くの町にも分けてやる。
もしも未来を見れるなら
私がだれといて何をしてるのか知りたいな
今の彼氏と結婚して夢を叶えることができてたらいいな
もしも未来を見れるなら
もしも未来を見れるなら、わたしは自分の死に際が見たい。いつ、どこで、どんな風に死ぬのかを知りたい。いつかは死ぬって分かるけどそのいつかが分からないから怖い。明日かも、一ヶ月後かも、もしかしたらあっという間に時間が過ぎちゃって、おばあちゃんになってからなのかも。まあ、あんまり長生きはしたくないかな。誰かの負担にならないうちに死にたい。そう言ってると大抵時間の進みが早く感じるんだけど。
たくさんの人は病院とか施設とか、自分の家で息を引き取る。病気でどこかの臓器がやられちゃったり、事件や事故に巻き込まれたり、寿命だったり、自らを殺めたり。死因も大事だよね。なるべく苦しまないのがいいな。欲を言えば眠っている間にぽっくりいけたらいい。
でも、最期は大切な人と話をするのかも。いや、したいって思うのかな。思い出話に花を咲かせたり、本当はもっとこういうことがしたかったとか、ないものねだりしてこまらせたり。死ぬのが怖いって弱音を吐いたり。本当はもっと生きたいって本音を言ったり。
もしも未来を見れるなら、わたしは死に際が見たい。死ぬときに皆に囲まれて穏やかに死にたい。誰かが言ってた。過去と同じように未来は変えられないって。なら、わたしの願いが叶っているのかを確認するくらい許してほしい。大切な人がわたしをおいて先に逝っていませんように。
もしも未来を見れるなら
私は私がおばあちゃんになった時を
見てみたい
その時の私が幸せそうに笑っていたら
今苦労していることも報われそうだから
#もしも未来を見れるなら
高校三年生の時に、10年後の自分に手紙を書けという授業があった。
何十年後の自分には興味はないけれど、ちょっと近い自分なら、そんなに価値観も違わないだろうから、案外すらすらと書くことができた。
10年後の私は、今の彼氏と仲良く続いていますか?
子どもはできましたか?
仕事はうまくいってますか?
家は買えましたか?
もしも未来を見れるなら、手紙に書かずに自分の目で見たいけれど、現実的ではないので、私は10年後の私に手紙をしたためた。
【もしも未来を見れるなら】
※【10年後の私から届いた手紙】の続編
もしも未来を見れるなら
教えて欲しい
君のとなりで微笑む人は
僕でいますか?
《もしも未来を見れるなら》
#23
最近体調が悪くてあんまり時間ないので短めになるかもです……楽しみにしてくれてる人があんまりいないとは思うんですがもしひとりでもいたらって思ったので書いときます!
もしも未来が見れるなら。。。
そんなこと考えたこともなかったから
一瞬ワクワクドキドキした
でも。。。やっぱり未来は見れなくていい。
今、一生懸命生きてる自分がいるから
もしも未来の自分に声をかけれるなら。。。
私!めっちゃ頑張ってるよ!!かな
今の自分が未来の自分に
きっと繋がっていくと思うから
きっと安心して生きていけますね。見れる未来が少なからずあるのなら。
お題 もしも未来を見れるなら