『ひなまつり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
嫉妬とか
ほざけが
己がいちばんかっこうがいい
他と比べるなんて
たわけが
理解されずとも
虐げられようとも
己がいちばん好きである
ひなまつり
何の思い入れも、思い出もない
私の父親も母親も結婚してからの家族よりも、結婚前の実両親や実兄弟との家族のが大切
なので
こいつらが作った家族と言うものは世間体のためだけに作った、自分たちは一般的ですと言いたいがためだけの見せしめのグループである
でも私にはこのクソ親との関係が初めての家族なわけで
母方の祖父母からすれば初孫の私
雛人形も母方の祖父母からプレゼントしてもらった
ある程度の年になれば母親が雛人形なんて飾ってくれる事なんてなかった
なんならひな祭りなんてスルー
最近のお代理様とお雛様だけみたいのじゃなく、七段くらいある立派なやつだ
なので私は小学生くらいから自分で飾った
おじいちゃん、おばあちゃんが決して裕福じゃないのは子どもながらに分かってたから
今年も飾ったよ!
おじいちゃん、おばあちゃんありがとう!と言うために、自分で飾った
決して安くない物だろうと感じていたし、
無理をして買ってくれたんじゃないのかな?
その思いを無駄にしてはいけないをじゃないか言う、勝手な私の思いで飾っていた
今思うと子どもらしくない考えよね
ちなみに自分の記憶を元に飾ろうと頑張ったけど、限界があった
でも‼︎
説明書なるものがあり、絵が書いてあったから時間はかかったけど子どもでもなんとか飾れた
すぐ崩れたりしたけど、年々丈夫に飾れるようになった
子どもの時でさえこんなだから、未だに何でも自分でしてしまう
誰かに頼るとか本当にした事ない
配線とか家具とか全部自分でやって来た
分からない、できない事が分かったり、できたりする事が自分にとっての知識になると思うと嬉しくて仕方ないタイプなんだと思う
自分でやってこそ、あーだこーだ言いたいタイプ
年とって、
海外に住む姪っ子たちには直接ひな祭りを教える事ができないから、ひなあられと袴送って祝い方を教えるタイプ
日本のイベントを子どもに教えるタイプになった
自分自身のひなまつりの思い出なんてない
親がやんないから、雛人形飾らなきゃなーくらいなもん
あかりをつけましょぼんぼりに…
声の方を見れば、そこには保育園があった。
柵の外からでも見える大きなひな人形。シートを引いてその上に座り、ひなあられやひしもちを食べる園児たち。
まさきちゃん、はしっちゃだめなんだよー!
男の子なのにちゃん付けなのかと思ったが、この国でそんな思想は許されない。
ジェンダーレスを訴えるものの思いが、目線となって突き刺さるから。いつの間にか法が加わり、男女という漢字が消された。
自由を求めるあまり、昔よりもずっとずっと不自由になってしまった。男女の心の性が逆転してしまった。
いつかこのスカートを脱げたなら。
自分の骨が目立つ手でまとわりつく布を撫でてそう思った。
ひな祭り。
女の子の日だからいつも写真を撮る。
そんな事も出来ないくらい、大きくなった。
いつからか飾り付けもしなくなり
特別な日だという認識すらできなくなった
早く大人になりたいと思えども
こうして薄れていく感情を思えば
まだ子供でありたいとも思う
なあんかひなまつりって
急速に気分が落下していくのです
私にとっておひなさまって
この季節デパートや施設に飾られているのを
遠巻きに眺めるくらいのもので
実際ひな人形を飾る家庭ってどのくらいあるのかしら
とはいえ我が家にも昔は
祖母が姉の為に買ったひな人形があったそうで
今より白い壁の前に飾られたひな壇と
ちょっとおすましな姉との写真が残っている
しかし役目を終えた後はさして大切にもされず
どういう訳か私が物心ついたころには
湿気で爆発したざんばら髪の
おひなさまの首だけが
納戸に転がっていた
当時通っていた保育所では
保育士さんたちの真心こもった顔はめパネルで
子供たちはみんなおひなさまさまとおだいりさま
綺麗なピンクの装飾が似合う
可愛い女の子たちが眩しくて羨ましかった
ざんばら髪で死んだ魚の目をしたおひなさま
一緒に写っているこれは誰くんだ?
はれの日の思い出に少しの申し訳なさが
この季節の空気を今も苦くしている
ひなまつり
夢見のあの子
桃の花
現の澱み
雛は流れて
【ひなまつり】
「はい、これお土産。」
謙也くんは私の右手をスッと取ると、可愛らしい小さな包みをポンとそのてのひらに置いた。
「っありがとう!!」
謙也くんなら絶対に買ってきてくれるとは思っていたけど、いざ貰う時には少しびっくりしてやや大袈裟な反応をしてしまった。
謙也くんは、この数日前に修学旅行から帰ってきた。
同じ学校の同じ学年に在籍する私はというと、出発前日に高熱を出して泣く泣く修学旅行を諦めたのだった。
謙也くんは当然のように、彼女である私に、旅行先のテーマパークの人気キャラクターのマスコットをプレゼントしてくれた。
やや大ぶりで、人形といっても過言ではない。
修学旅行のあった秋限定のもの…ではなく、オールシーズン使えるような、かといって定番すぎるデザインではない衣装を着たマスコット。
謙也くんに貰ったものをずっと鞄に着けていたい私の気持ちを、彼はちゃんとわかってる。
絶対大切にするんだ。
そう思ってたのに。
約5ヶ月後の今日。
私はマスコットを手放してしまった。
今日は顧問が休みのため部活が急遽なくなり、謙也くんと2人でカラオケに行くことになったのだ。
カラオケに行くのは実に3週間ぶりで、テストも終わって、春の陽気が顔を出していて。とにかく、私は浮かれていた。
ブンブンとスクールバッグを振り回して、大袈裟にスキップしたり、無駄にジャンプしたり。
「危ないやろ、そんなことしてたら転けて川に落ちるよ。前見て歩いて。」
謙也くんの狭めの眉間に少し皺が寄る。
「だって嬉しいんだもん、カラオケだよ。久しぶりの!」
そう言ってスクールバッグを持つ手を後ろから前に150度ほどブゥンと振り回した。
遠心力で、パッとバッグが手を離れた。
「あ」
バッグは、私たちの立っている橋の欄干に賑やかな音を立てて弾けるように地面に落ちた。
「ほらあ言わんこっちゃない。」
私はすぐに駆け寄って、衝撃でジッパーの広がったバッグからはみ出ている教科書をもとに戻そうとする。
謙也くんもため息をつきながら、それを手伝ってくれる。
あれ、なんか違和感。
「デイジーちゃんがいない…。」
彼がくれたマスコット、デイジーちゃん。彼女はオレンジの鮮やかな衣装を着ていたので、ネイビーのバッグによく映えた。
いなくなったのはすぐ分かった。
バッと立ち上がって欄干から川を覗き込むと、笹舟のようにサラサラと、オレンジの塊が遠ざかっていった。
「もう…元気出しなって。」
私は申し訳なさと悔しさと悲しさで言葉を発せなくなっていた。
「うぅ…。」
うめき声に似たものだけが意識しないままに放出される。
「なんかあれ、流し雛みたいだったな。」
「…なにそれ。」
「知らん?流し雛って、雛人形のもとになったヤツ。女の子の厄とか災難を移して川に流すの。身代わりになってくれるんだって。」
「へー…。男の子なのに、よく知ってるね。」
「まあね。ねえちゃんがいるからかな。あと婆さんがそういうのにうるさかった。」
何とか私のテンションを取り戻そうと、声をかけてくれる。優しい謙也くん。
「…でも、本当にそうなってくれたらいいな…。」
謙也くんは独り言みたいにボソッと呟いた。
「え?」
「あ、いや、なんか、修学旅行も熱出していけなかったし、この前も部活で怪我してたやん?あと、宿題忘れたりテスト範囲書き忘れたり。この前なんか事故りかけてたし。良くないこと続いてるからさ。デイジーちゃんが引き受けてくれたらいいのにな。」
私の不注意のせいで、彼が買ってきてくれたお土産を失ったのに、怒りもせずに、こんなことを言う謙也くんを、ぼうっと口を開けたまま見つめてしまった。
私の幸せを、どうやら心の底から願ってくれているみたいだ。
少し濁った穏やかな川の流れを下っていく、デイジーちゃん。
何となくだけど、この光景、死ぬ前にもう一度思い出すかもしれない。いや、思い出したい。
高校生から付き合って添い遂げられるカップルがどれだけいるか分からないけど、私の無事をこんなにも願ってくれる人がいたってことを、死ぬ前にもう一度思い出したい。
たとえ私の機嫌を取り戻すための出まかせでも、この人は悪い出来事をプラスに変えてくれる人だ。
こんなに素敵な人を目の前にして、いつまでもグズっていられないな。
「ひなあられ食べたい!」
「ん、カラオケは?」
「スーパーでひなあられ買ってから行こっ。私、白い柔らかいやつが好きだから、それ以外全部あげるね。」
「えぇ……」
今日はひなまつり。
女の子の無事と健康を祈る日。
8.ひなまつり
―ひなまつり―
子どもの頃、雛人形が怖かった。
出来るだけ近づかないようにしていた。
人形だから当たり前だけど、一点を見つめている姿が怖くて仕方なかった。
平気になったのは高校生くらいの時、もうひな祭りに何かしようという歳でもなかった。
だから、ひな祭りと言われても特に思い出はない。
『ひな祭り』
灯りをつけましょぼんぼりに お花をあげましょ桃の花 五人囃子の笛太鼓 今日は楽しいひな祭り
私にとってはやる必要あるのか謎な行事だし、なんなら雛人形の出し入れで面倒くささしかない。
ひなまつりなんて縁が無かった。保育園の時甘酒の代わりにカルピス飲んだ。その味は忘れた。
テーマ『ひなまつり』
私が前の持ち主に捨てられたのは、三ヶ月くらい前のことだった。
たくさんの人が行き交う街には、きらびやかな光と、鈴の音のBGMが鳴り響いている。アナウンスで何度も流れる『メリークリスマス』という言葉から、今日が特別な日なのだと知っていた。
女の子を模した人形である私は、持ち主の女の子に置いてけぼりにされ、街角で途方に暮れていた。
ショーウインドウに並ぶサンタさんに目を奪われ、まだ幼い彼女は、私の胴体を持つ手をパッと離してしまったのだ。
人形が落ちたことに気づかずに行ってしまった彼らが、そのうち迎えに来てくれるんじゃないかと、私は胸に希望を抱いていた。……しかし女の子の家族は、いつまで経っても私を見つけに来てくれることはなかった。
月日が経ち、私は誰に拾われることもなく冷たいアスファルトに座っていた。
女の子の姿を探すのは、もう諦めた。汚くなった私を一瞥する視線にも慣れてしまって、もう、何もかもがどうでもいい。投げやりになった私の前で、ただ時間だけが淡々と過ぎ去っていく。
それは、雪のふる寒い早朝のことだった。古びてボロボロの服を着たおじいさんが、突然目の前にしゃがんで私を持ち上げた。
おじいさんは、これまで見た誰よりも薄汚れていた。顔は垢に塗れ、歯は黄色く変色している。体からは何ともいえない匂いがしていて、私は思わず顔を背けたくなった。
「おやおや、こんな寒いところに独りぼっちで。……あんた、寂しかったろう」
彼の言葉を聞いて、私はさっきまで自分の頭に浮かんだ考えを恥じた。
どう考えても、寒いのは彼の方だ。破れた靴からは素足が見えているし、服は薄いシャツと上着だけで、マフラーや手袋だってしていない。そんな状態なのに、なんでこの人は人形である私を気遣うのだろう。……別に、人形である私は寒さなんて感じないのに。
おじいさんに拾われた私は、少し離れた場所にある河原へと連れて行かれた。
川のそばにはダンボールで作られた小屋が建っている。川辺にはおじいさんと同い年くらいのおばあさんが座り、使い古した鍋で何かを焚き火にくべていた。
「よぉ、ばあさん。今日は家族が増えたよ」
そう言って、おじいさんはおばあさんの手をとり、彼女の手の中にそっと私を置いた。
両手で包み込むようにしながら、彼女は焚き火の明かりに近づいて私を見る。
「あら……まぁ、なんてかわいいお人形さんなんでしょう!」
薄汚れた私をみて、おばあさんは満面の笑みを浮かべた。おじいさんと同じくらい汚れていた彼女けれど、その表情は前の持ち主だった女の子よりも、ずっとずっと純粋で、かわいらしく思えた。
もう、私は誰にも必要とされない。そう思っていたのに、また誰かを喜ばせることができて、私は心の底からとても満たされていた。
それからしばらく、私は二人と一緒に生活をした。
立派なお家で暮らしていた頃とは、全くかけ離れた日常だった。それでも私は、おじいさんとおばあさんと過ごす今が、心の底から楽しかった。私はいつでも彼女の近くにいられて、とても大切に扱ってもらえた。
喋れない人形の私を、二人はいつでも優しい瞳で見つめて話しかけてくれる。時々、私はまるで本当に人間になったかのような、そんな不思議な気持ちにさえなった。
春も近いというのに、ここ数日は真冬のような寒さが続いていた。異例の猛吹雪が続き、二人は来る日も来る日も身を寄せ合って耐え忍んだ。とても辛そうにしている彼らを見て、私は人形ながらに胸を痛めた。
ようやく吹雪が収まったある日。朝起きると、私の横で寝ているおばあさんが、胸を押さえて苦しそうにうめいていた。
「おいっ、大丈夫か!?」
おばあさんの側に寄り、おじいさんが緊迫した面持ちで話しかける。
「あなた……ごめんねぇ」
「今……今ッ、誰か助けを呼んでくる!」
そう言って、おじいさんは小屋の外へと飛び出していった。
「あのね……持病なのよ。心臓の病気」
彼女は私のことをそっと胸に抱きながら、か細い声で話し始めた。
「あの人の……旦那の会社が倒産してね。資産も部下の給料に全部回しちゃって。さらには、稼ぎも身寄りもない私なんて置いていけばいいのに、こうやって一緒に暮らして。本当に、優しすぎるんだよあの人は。……だからね、あなた、一緒にいてあげてほしいんだよ。私のかわりに、あの人の側に……いてあげ、て……」
言い終わった途端、おばあさんの体から力が抜ける。
その時だった。突風が吹いて、小屋の屋根が半分外れた。空いた屋根の隙間から、黒い猫がしゅるりと入ってきて私の方を向く。
『お前は、その人間を助けたいのか』
普通、猫は喋らないものだと思っていたので、私はとても驚いた。
尋ねたいことは山ほどあったが、今はそれどころではない。私はコクリと頷き、心のなかで強く念じた。
『彼女を助ける方法があるなら、何でもやるわ』
『何でも……か。よろしい。ならば、お前が彼女に宿る病の依代となれ』
猫は私の着ている洋服の端を咥え、軽い身のこなしで川辺へ出る。そのまま私は、増水した川の流れの中へポイッと放り投げられてしまった。
──さよなら。おばあさん、おじいさん。今までありがとう。
短い間だったけど、楽しかった思いでが脳裏に蘇る。
ぽちゃんと水に落ちる音がして、私は冷たい川の中で深い眠りについた。
今日が炊き出しの日で助かった。
ボランティアの人達に事情を話し、僕は妻の横たわるダンボール小屋へと数人を連れて戻ってきました。
「依子……依子! 大丈夫か!?」
慌てて駆け寄りますと、さっきまであんなに苦しそうにしていた妻の呼吸が、いつも通りの安らかなものに変わっているではありませんか。
そしてふと、一つの違和感に気が付きました。
「依子……お前、あの女の子のお人形。エリちゃんはどうしたんだい」
うーんと言いながら起き上がる妻の周囲には、いくら探してもエリちゃんの姿は見当たりません。
「優一郎さん、あたし、夢を見たのよ。あの子がね、エリちゃんが笑顔で手を振って、『元気でね』って、黒いもやもやと一緒に遠くへ行ってしまう夢。……きっと、私を助けてくれたのよ」
妻の言うことは何とも信じがたいことでした。それでもなんとなく、僕もそんな気持ちがしてきてしまったのです。
「そうか。……依子が言うならきっと、そうなんだねぇ」
妻と二人で手を握りながら、僕たちは心のなかで「ありがとう」と、エリちゃんのあの可愛らしい笑顔を思い浮かべるのでした。
ひなまつり。とくになにもなくおわる。
『名前』がついたひでも、いしきしなければそんなもん。
(ひなまつり)
ひなまつりに生理になったんだが 糞腹痛いし
これが本当の女の子の日だって?
馬鹿馬鹿しい 死ねひなまつり
燃え上がれ ひなまつり
けつ穴にぼんぼりぶっ刺して明かり付けんぞ糞が
くたばれひなまつり死ね死ね死ね死ね死ね
ひなちょこが美味しいからちょっと許してやろうかな
ゆらゆら
ゆらゆら
ぼんぼりの明かりが揺れる
ひなまつり
お内裏様とお雛様がちょこんと並ぶ雛壇を
ウキウキしながら眺めては
なんだか自分まで
可愛らしくて愛らしい
お雛様みたいになった気がして
女の子に生まれて良かったなって
今日がすごく特別に輝いていた
【ひなまつり】
小さい頃は玩具だと思った。
お人形遊びをしようとして怒られたっけ。
それでも懲りずに小物を持ち出しては遊び回って。
それがいつの間にか、玩具ではなくなって。
大切にもしていない。関心さえなくなって。
見かけないな、くらいにしか思わなくなっていた。
久しぶりに見た雛人形。
祭壇もなくて、ぼんぼりも灯ることはなくて、小物も幾つも欠けた雛人形。
持ち主は相変わらず大切にもしていなくて、関心もなくて。
それでも全員が揃って日の目を見た雛人形が、微かに笑っているように見えたのは、気のせいだったのかもしれない。
ひなまつり
受験合格した 勉強し続けて来て良かったな
先生にも受かりました!って言ったらおめでとうございますっ!って言って貰えた
塾でも沢山先生と話せて,辞めちゃう先生には手紙渡すことができた
#ひなまつり
母さんはひなまつりに憧れていた。
女の子のためにひな壇を飾り女の子を祝う、
しかしうちの家庭は全くひなまつりに縁がない
理由は簡単で、男だらけの三兄弟だからだ
母親は家族で集まってひなまつりをやるのが密かな夢で、この時期は少し寂しそうだった
「今日だけでいいから3人とも女の子になってよ母さんのお願い!」
母さんの無茶振りに俺たちは少し呆れたて笑ってた。
あかりをつけましょ ぼんぼりに
おはなをあげましょ もものはな
ごにんばやしの ふえだいこ
きょうは たのしい ひなまつり
きょうは、おねえちゃんがおよめさんになる日。
おひなさまに負けないくらいきれいなおきものをきて
くろいふくをきた人ととおいところへいってしまう。
「おねぇちゃん、きれいだね」
おねえちゃんは泣いていた。
あかちゃんみたいに、かおを真っ赤にして。
「おまえは、好いた人と一緒になるんだよ」
「うん!おねえちゃんみたいにきれいになる!」
いつもはあったかい、おねえちゃんの手がとても、とても冷たかった
「この歳になると、行事に疎くなるね」
弟はそう言って少し笑った
おひなさま、祖母の家の押し入れに仕舞込まれて
もう10年は経つだろうか
人形というのは扱いが難しい
私は彼らの存在を持て余していた
今更出すのも億劫で
かと言って、処分するのは心苦しく
私たちには、結婚して、子どもをつくって
家という重荷を継がせる気も、その必要もない
私たちは自由である
自由であるはずである
ひなまつりもこどもの日も
もう必要がないくらいの大人の楽しみは手に入れた
なのになぜこんなにさまざまなことに悩む
人形の処分とか、何年も先の稼ぎとか
生かすも殺すも私次第
それは、私自身の処遇だって
私は私の手の内に
それがひなまつりを祝わなくていいということ
それが大人になるということ
でもそれがあんまり恐ろしくて
私と人形には未だに判決は下されず
今年も押し入れに閉じ込めておく