『はなればなれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
離れていても、簡単には会えなくなっても変わらないものがある。
遠くに行ってしまったあの人を思う時、きっと気持ちはその人のそばにいる。
顔も見れないけれど、声も聞けないけれど、気持ちに距離はないから想うだけでその人のそばにいられる。
ある時、ふと何故だか心が落ち着く時は、多分あの人が僕を思ってくれているんだろう。
*はなればなれ
出会いがなければ別れもない。
はなればなれになることもない。
手を伸ばしても届かない距離になったらね
それはもう近くても遠くても離れ離れなんだよ
『離れ離れ』
「ひろくん、体験入学何時に行くー?」
おかっぱ姿の女の子は、隣の席の男の子·ひろくんに声をかける。
小学六年生、中学校も公立が一つしかない田舎の小学生である。
「いや、俺は……」
ひろくんの歯切れが悪い。
「おーい、お前知らないのかよ」
二人の間を後ろの席の子が割って入る。
「ひろは都会の私立に通うんだぞ」
おかっぱ姿の女の子は、信じられない、といったように固まった。
「ひろの家は兄弟みんな私立に行ってるじゃん、ひろもそうなんだよ」
「そっ、か……」
「ひろもひろだぜ、初カノに教えないなんて~」
女の子もひろくんも、何も言わず、情報提供をした後ろの席の子は離れて行った。
「でも、中学校が違っても、休みの日とかあえるよね?」
「うん、多分」
初めての恋にして、初めての試練。
はなればなれになっても、幼い小さな恋は続くのであった。
【はなればなれ】
大丈夫
いつかまた
きっと会えるから
いや
絶対に
会いに行くから
だから泣かないで
もう泣き顔は見飽きたよ
笑顔を見せて
優しく笑う声を
聞かせてほしい
はなればなれ
はなればなれにならないように、しっかり手を繋いで、離れてもまた戻ってきて
楓の木に寄り掛かっているとき、落ち葉がスマホの上に着地した。
その葉っぱにQRコードがあったので、読み取ってみると、
「はなればなれ」
と一言表示された。
もう一枚、QRコードの貼られた落ち葉があるかもしれない。はなればなれのもう一枚が。
🍀はなればなれ
嫌すぎる。
物理的なはなればなれなんて。
心は繋がってるって言っても
会えなきゃ意味ないでしょ?
会えることで様々なことが漲るのに。
会いたいよ。
頻繁に会えなくていいから、
少しの時間でもいいから
会いたいよ。
いつもの様に、いつもの場所で。
いつもの時間に、いつもの車で。
いつものコースで、いつもの店に。
いつもの食事と、いつものデザート。
いつものバーで、いつものドリンク。
いつもの部屋で、いつものキス。
いつもの様にお互いを求め、身体を重ねる。
どれだけ「いつも」を重ねても、
2人の心ははなればなれ。
どれだけ「いつも」を重ねたら、
貴女は私のものになるのでしょう。
〜はなればなれ〜
電話を待っていた。
わたしからはかけることのできない電話。
待っている時間が楽しかった。
そろそろかかってくるかも知れないと思って
トイレにもお風呂にも電話を持っていった。
でも
待っていることがだんだん苦しくなっていた。
わたしは自分を忙しくした。
あなたの電話を待っている余裕もないほど。
気がつけばわたしの気持ちはあなたから離れていた。
なかなか言い出せずに、電話に出ない日が続いた。
こちらが出ないと分かると急に着信が増えた。
そういうのもイライラした。
きのう、ようやく終わりを告げた。
うっかり目を合わせたら、気持ちが揺らぎそうで
ずっと景色を見ていた。
さようなら。
はなればなれになったら
わたしたちはしあわせになれる。
「はなればなれ」
嫌な響き
でもその先には
ちがう光がある
『10代の永遠』
「この先、ずっと離れ離れになるなら
今別れる方が辛くない」
卒業式の前日に年下の彼に振られた
10代にとっての数年は「永遠」に値する
#はなればなれ
お日さまと月のお話
月はお日さまが大好き
昼と夜で離れ離れでも
時々、昼の空で会えて
お日さまの姿が見れて
それだけで心満たされて
ひとりぼっちの夜空でも
優しく輝けるのです
磁石は、引っ付く時は、強引な程引き合い。恋愛は、引っ付いたり、離れたり。
磁石みたいに、強引に張り付きたい時は、男女の心を、深く結び付ける。しかし、片方の人が、後ろ向きになると、離れ離れになる。
星と星とは交わらない
真空を隔てて遠く佇み
あるかなしかの微かな光が
誰かに届けば、まだいいほうだ
誰にも出会わず
絶対的な静寂の中で
誰にも看取られずに燃え尽きていった星々が
今まで幾つあっただろう
宇宙は巨大な孤独の闇だ
その凍えるように寒い 真っ暗な中に
ひとしずくの水のように青く浮かんでいるのが
この地球という星なのだ
ねえ
離れ離れは寂しいかい
けどさ
離れられるのは
一度近づいたからだ
出会わないものは別れられない
苦しまなければ慰めはない
ひとしずくの水の表面に浮いている
ミクロの埃のような私たちだよ
近づいたり離れたり
絶え間なく動き回って
忙しなく動き回って
何を嘆くことがあるんだろう
また会えるとは言わないが
別れなんて、そんなものじゃないのかね
私たちはあの孤独な星々よりも
しあわせなんじゃないのかね
だって
この甘やかな痛みを
さようならを言う悲しみを
この先何度でも知るんだから
『はなればなれ』
あなたを愛していた気持ちは本物だったし
この気持ちは変わらない。と確信していたのに
今ではもう
あなたも私もお互いに興味は無く
心ははなればなれ
お互い結ぶ努力はしないまま
どこにたどり着くのだろう
わたしたち
はなればなれ。
住んでいる場所も
働いている場所も
全然違う。
けれど約束なんてしなくても
年に数回会えるんだ。
#はなればなれ
『はなればなれ』
もともといっしょだったのに
はなればなれになっちゃった
とってもかなしいなぁ
でももうだいじょうぶです
はじめからはなれていたら
これからさきは
はなればなれになることはないから
かなしさなんてかんじません
……だよなぁ?……そうだよなぁ??
…………あってるよなぁ???
はなればなれ
仲の良かった近所のお兄ちゃん
いつも遊んでくれて
色んなことを教えてくれた
勉強も教えてくれる
優しいお兄ちゃん
高校に入ってから
日に日にアザが増え
どうしたのか聞いても
転んだ、部活してたらねー
って笑ってごまかした
そんな日が続き
限界が来たのだろう
顔を見ることもなくなった
家を訪ねても出てこない
LINEしても既読がつかない
そして
お兄ちゃんの母親から
1枚の手紙と共に告げられた
もうここにはいないと…
『はなればなれ』
わたしとあなたは、はなればなれ
あれほど一緒と誓ったのに
わたしと離れる事は無いと言ったのに
君と私は、はなればなれ
あれほど一緒と誓ったのに
君と離れることは無いと言ったのに
あなたはわたしを連れに来て
わたしの手を引き坂を行く
あなたは誓ったはずなのに
私は君を迎えに行った
君の手を引き日の本へ
君を連れて行くと誓ったのに
あなたは誓いを破ってしまった
だから、わたしは帰れない
わたしは醜い女となった
私は誓いを破ってしまった
だから、君を連れてはいけない
私は愚かな男となった
わたしとあなたは、はなればなれ
永遠の闇に遮られ
二度と交わることはない
君と私は、はなればなれ
大きな岩に隔てられ
二度と重なることはない
あなたは生を
君は死を
わたしと私は表裏
わたしとあなたは、はなればなれ
君と私は、はなればなれ
それが普遍の理ならば
どれほどはなれていようとも
いつも隣に有り続けよう