紺屋小町

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電話を待っていた。
わたしからはかけることのできない電話。

待っている時間が楽しかった。
そろそろかかってくるかも知れないと思って
トイレにもお風呂にも電話を持っていった。

でも

待っていることがだんだん苦しくなっていた。

わたしは自分を忙しくした。
あなたの電話を待っている余裕もないほど。


気がつけばわたしの気持ちはあなたから離れていた。


なかなか言い出せずに、電話に出ない日が続いた。
こちらが出ないと分かると急に着信が増えた。
そういうのもイライラした。


きのう、ようやく終わりを告げた。
うっかり目を合わせたら、気持ちが揺らぎそうで
ずっと景色を見ていた。


さようなら。

はなればなれになったら
わたしたちはしあわせになれる。




11/16/2022, 10:16:57 PM