『ないものねだり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あの葡萄は酸っぱいに違いないと
言えたならどんなに楽だったろう
諦められないわたしは
ないものねだりを続けて
届かない手を伸ばしつづける
何でも持ってる奴っているんだよね。
勉強が出来て、スポーツも得意で、イケメンで、優しくて。
同じ人間なのに、どうしてこうも違う?っていう…。
それが俺の兄貴。
俺とは真逆の存在。
比べられて嫌になる、って話を、最近仲良くなった奴にしたら、
「俺の兄貴なんか、札付きのワルで落ちこぼれ。周りからの評判は最悪だし、両親もとうにサジを投げてる。お前みたいに、自慢の兄貴がいるのが羨ましいけどな」
と、言われた。
なるほど、自慢の兄貴か。
確かに、自分の兄貴の悪評ばかり聞かされるのは、なかなかキツイことかもしれない。
兄弟の話は我がことのように聞こえたりする。
どーしよーもない兄貴を持った彼の不満も、推して知るべし、だ。
「だけどさ、そんなどーしよーもない兄貴だけど、俺には優しくてさ。ホントに困ってる時、自分のこと放り出して力になってくれた。俺にとっては、自慢の兄貴だったんだ」
彼は遠い目をして言う。
「去年の冬に、ヤバイ奴に絡まれた俺を救おうとして死んじまった。兄貴にもう一度会いたいよ」
…しばらく、何も言えなかった。
そこに、これまた最近仲良くなった友達がやって来て、
「え、何、何の話?兄貴の話?ああ、お前ら二人とも兄貴がいるんだ。いいなー、俺なんか姉貴だぜ。口も聞きやしない。兄貴欲しいなー、一緒にゲームしたいなー」
こんな能天気な弟を持った姉も、それはそれで羨ましい。
帰り道、家に帰ったら、久し振りに兄貴とゲームでもやってみよーかなー、でもあいつ、ゲームもやたら上手くて、結局いつも俺が負けてバカにされるんだよなー、やめとこうかなー、とかいろいろ考えて、自然に口元が綻んでゆくのを感じていた。
ないものねだりしないの! と、母は言う。
世の中のほとんどはないものを手に入れるために、お金を稼ぐのにも拘らず。
ないものを自分にねだらなければ、何もできない人間になりやしないだろうか。
まぁ、所詮は屁理屈だけれど。
ないものねだり
自分の持ってないものは羨ましくなる。
それはお互いさまなのかもしれない。
ないものねだりやめたよ
得るものも無いのにしんどいからね
私がしたい、おねだり。
あなたにだけする、おねだり。
そんなことがあるわけがない。そんなことはわかってる。
でも。それでも。
あなたからの好意、愛情、恋愛感情。
彼氏を持ってる、あなたの気持ち。
そんなことはありえないって、わかってる。
これが私の、ないものねだり。
最初で最後の、ないものねだり。
「ないものねだり」
ないものだからねだる
あるものだからねだる
ないものだから探す
あるものだから欲しがる
一刻も誰よりも早く手に入れて
〇〇ヤーによる
「ないものねだり」の競争
『まるときどきさんかく』
まるときどきさんかく ばってんじゃないけど きもちがとがる とがってしまってへこんでね またたいらになるんだよ いつもまあるくみえるあのひとも
あんがいそうかもしれないね
ないものねだり―無いものをねだるということは、少なくとも求めるものが手に入る可能性があるということ。結局手に入らないのかもしれないが、それを望める立場にあるということは十分恵まれている証拠だ。
【ないものねだり】
手に入らないと分かっていても
私では無理だと分かっていても
貴方ではないと分かっていても
ないものねだり
【ないものねだり】
ふたりの関係が、まさにそれで。
互いに『ないものねだり』をしている。
きっとデコボコで歪な形をしているのだろう。
だから、上手にくっつきたいと想うし、多少歪んでいてもくっついてしまうのだろう。
「キレイな色、良いなぁ。」
色素の薄い特異な髪と瞳の色。
「…こっちは、羨ましいわ。」
皆と違う事で要らぬ苦労を強いられたと、あなたは嘆く。
「個性なさ過ぎて、逆にイヤ。見分けつかないの、最悪だし。好きな人とお揃いなら良いけど、そうじゃないし!」
染めたいとボヤいて、唇をアヒルのように尖らせる。
「烏の濡羽色…。すごく綺麗だから、そのままで居て欲しい。」
唇を啄むように、あなたはキスをくれた。
ないものねだり。
ないものねだりは
ない?
ある物を
いつも
探してるから。
ないものねだりするほど
悔しくないのかも?
自分に足りないと不安
だから
無いものをほしがる
足り過ぎたら
それも不安
人間は
欲深い
ただ、だいすきな2人みたいに
仲良しがほしかった。
2人がそれぞれの仲良しと過ごしてるのを
見てるととても羨ましい。
いいないいな。
ちょっと寂しい。とても寂しい。
なかよしがいても、2人は相変わらずなかよくしてくれる。
でも、やっぱり1番楽しかったあの時ほどの距離感でもない。
なかよしがいたら、そっちにもいっちゃう。
あたりまえのことが、とてもさみしく感じちゃう。
ちょっとした嫉妬。
だいすきな2人を独り占めしたい。
2人からの気持ちいっぱいもらっててもまだたりない。
ないものねだり。だいすきなんだ。
あとちょっとだけ。
ないものねだりをする妹。
あれもっ!これもっ!…と永遠に言っている。
子供と接するのはもう、うんざり…
邪魔なんだよね。でもね、大切な妹ではあるから
愛情込めて『殺してあげル♡』
Episode.39 ないものねだり
ないものねだりって何でしょうか。
今はないけど遠く先の未来で自分が掴んでいるのなら、ないものではなく、あるものになるのではないでしょうか。
人間は不思議ですね、すぐに未来に縋るのですから。
未来に縋ることが悪だとは思いませんが…縋り過ぎた結果として、目の前のものにすら手が付けられない状態まで落ちぶれているのです。
実に面白い。
人間というのは己の欲望を糧として生きているのです。
…え?内容がよく分からない、ゴチャゴチャだって?
ああ、すみません…私は文才がないものでしてね。
それこそ、私に文才があれば良かったのかもしれませんね、ふふ。
さ、私は彼らのようにはなりたくないので、次の仕事へ移るとします。
ないものねだりをしたならば、それを叶える努力をしなくてはなりませんから…ね。
私は才能もなにも無い。
特別強い訳でもなくて
特別運動が得意な訳でもない
友達が多いって訳でもないし
頭も悪い。
でも初めて出来た好きな人が
「俺、運動出来る子が好きなんだよね」
って言ってたんだ
私は運動を始めたいと思った
何も無い所から沢山走って沢山転んで
沢山辛かった。だけどその人のためなら頑張れた
何か自分に物足りないとかんじてしまった
もっと早く走りたい。
もっと早く。
好きな人のおかげで
運動が好きになれたよ。ありがとうね
欲望だらけの人生を送っている。
楽してお金が欲しい。
仕事なんて休みたい。
そういえばあれを買いたい。
満足するまで寝たい。
好きなものだけ食べていたい。
叶わぬことを願うのが「ないものねだり」だなんて言うなら、
試しに一度、すべてを与えてみてほしい。
そうしたら更に「ないもの」を欲するのかな。
それとも、得られたものを蔑ろにするだろうか。
どちらも正解だろうね。
それほど満たされてない自分でも、何となくわかる。
周囲の人の優しさにだけは恵まれた自分は、
我ながら流石にどうなのかと思うくらい人間に関心がない。
自分の世界に閉じ籠って買い漁った趣味の品は、
手に入れた側から見向きもせずに部屋で埃を積らせる。
既にそこにあるものや自ら手に入れたものは、
「欲しいもの」ではなくなってしまうのだな。
何かを大切にするという心が欠けている自分は、
何かをほしがるには、まだあまりにも未熟な存在のようだ。
「愛しあう関係性が欲しい」とは感じない性格でよかった。
いざ、目の前に理想の人が現れて都合よく愛されたとしても、
きっと自分はその人に悲しい思いをさせて傷つけるから。
お題:ないものねだり
ないものねだり
書いていた手を止め、こちらを見た。
「そんなに考えなくていいんだよ」
「え……なんのこと?」
「君が今やっている課題のことさ」
あまりにも頭を捻らせるものだから君の首が折れてしまうんじゃないかと心配だったよ、と彼は微笑した。
「君は頭がいいからそんな言葉を言えるんだね」
「僕はそんな優秀な人じゃないよ」
「……事実だから」
不服そうに息を吐いた僕に、彼は視線を寄越す。
彼は少し前のめりになって、「あのね」と続きを口にした。
僕らは図書館にいた。
横には友人の彼がいて、ノートを広げて勉強をしている。
それは僕自身も例外ではなく、本を読んでいた僕を“勉強会”と言い寮に押しかけて来て、無理矢理連れてこられた次第だ。
彼とは特に親しいわけもなく、正直なんで僕と友達のような真似ごとをするのかわからない。
けれど何かとある度に僕を引き連れてくるものだから僕は必然と彼といる時間が多くなった。
彼は頭が良くて、人気者で、お人好しの人格者。
これでもかと高品質な材料を詰め込んだんじゃないかと思うほどに完璧だ。
「妬ましいか」と聞かれればそうでもない。
優しい性格だからこそ、相手を憎ませない彼の才能であるんだと勝手に納得した。
「そんなに考えなくていいんだよ」
「え……なんのこと?」
「君が今やっている課題のことさ」
あまりにも頭を捻らせるものだから君の首が折れてしまうんじゃないかと心配だったよ、と彼は微笑した。
手元のノートを見ると、それはもう白紙に近い。
長い間、課題に悩む僕を心配して声をかけたんだとすぐにわかった。
「少し、考え事をしていたんだ。この問題のことは関係ないよ。それに……」
「それに?」
と、彼が繰り返した。
文字を書いていたペンを止めて、僕の方を真剣に見つめる彼の足が前に出される。
『君のことを考えていた』なんて口が腐っても言えない。
僕は咄嗟に思いついた嘘を吐き、話題を変えた。
彼は僕の言葉をけろっと信じたらしく、「そう」とだけ言い残すとペンを握り直した。
トントン、と小さな音がする。
何だ?と音の行方を探すと、彼が片手を暇そうにして、膝の上を叩いていることに気づいた。
手を膝に置いたのかと思うと、滑らかに手を滑らせ親指と中指を交互に押している。
「君ってピアノが弾けるの?」
「少しならね」
「……ごめん、癖で。うるさかった?」
気まずそうに彼が僕に聞いた。
「いや、大丈夫」
と、僕は答えた。
あれからどのくらい時間が経ったのだろうか。
君といて、初めて居心地が悪いと感じた。
「ねぇ」と君が一言言えば周囲の人間が振り返ること?何を言われようが悩みなんて一つもない、って笑顔を返すところ?
別に、ピアノが弾ける彼に嫉妬したわけじゃない。
なぜかって、彼が今勉強しているのは一学年上の内容だったからだ。
彼のノートを見ても何を書いているのかわからない。
理解できないんだ。
これまでの行動が、すべて僕を煽っているようで君の“良い所”を見せつけているようにしか見えなかった。
「どこいくの?ねぇ、」
突然席を立った僕に彼は問い詰める。
離れようとしても、力強い彼に腕を握られて動けない。
「帰る」
「鞄も置いて?」
多分、今僕は物凄く気の抜けたな顔をしているんだろう。
『離して』というと瞬時に駄目だと言われ、抵抗すればするほど、僕の腕を握る彼の手が更に強くなる。
徐々に、二の腕が本当に痛くなってきて動くのをやめた。
「……僕が何かした?なら、ごめん」
「君に何があったのか教えて欲しい、言ってくれないと、わからないから」
僕は黙り込んだ。
君は、何も言わない僕のことをジッと見つめて、君は僕が口を開くことを待っている。
「君は……頭がいいからそんな言葉を言えるんだね」
「今は頭の良さは関係ないだろう?一体何を……」
「なら嫌がらせか。どっちにしろ、天才の君には理解できないだろうね」
「僕はそんな優秀な人じゃないよ」
「……事実だから」
と、僕は言った。
不服そうに息を吐いた僕に、彼は視線を寄越す。
彼は少し前のめりになって、「あのね」と続きを口にした。
「なに、」
と、言う暇もなく君は食い気味に言う。
「僕も、君がうらやましいよ」
俯いていた僕の顔を上げて、腰を引き寄せた。
唇で無理矢理に口を開かれて、彼の柔らかい舌が差し込んでくる。
咄嗟のことで、何も反応できず、そのまま机に追いやられた。
彼の胸を押すけれど、ぴくりたりとも動かない。
僕は息を、酸素を吸うけれど、その度に彼に引き寄せられ、何が何だかわからないまま、記憶を失った。
ねぇ、機嫌を直してくれないか。と君が言う。
さきほどまでの余裕はどこへ行ったのか、後ろで小さくなりながら何度も僕を説得していた。
「そうだね。たまたま通りかかったアルバイトの人が、こっちを見て目を見開いていたのは覚えてるよ」
「ごめん」
申し訳なさそうに、下を向く。
君は、壊れたあかべこのように僕の言う全ての言葉に頷いた。
「随分と返事が早いね。僕にこう言われるのも想定してた?」
「うん……」
素直に認める彼が可笑しくて、僕は笑った。
君にとっては当たり前のことなんだろうけど、普通はもっと取り繕うとするはずなんだけどな。
「わかった。許すけど、許可はしてないから。暫くは近づかないでね」
はい、と小さく君が答える。
少し二人で歩いた後、僕は問う。
僕が羨ましい、っていうのはどういうこと?
先程から、ずっと気になっていた言葉を投げかけた。
彼はあっさりと、僕のことを“羨ましい”とだけ言う。
質問を質問で返す、彼にしては頭の悪い返答で困惑する。
「え、……理由は?」
例えば、顔がいいとか。
いや、それはないか。
じゃあ、人望があるとか?
いや、ないな。
他には……
どれを投げかけても彼はううん、と首を横に振る。
「ただ単に、羨ましいって思ったんだ」
「スポーツができるとか、頭が良いだとか、綺麗な容姿を持ってるとか何があるのかは関係ないよ」
「多分、理由なんてないんだと思う」
ただ、一つ上げるとすれば
彼は口を開く。
その様子が、酷く長く思えて僕は息を呑んだ。
「君の、すべてかも」
翌日、僕たちはいつも通り図書館へ向かった。
翌週に小テストがあるのだとか、クラスで2番目に可愛い子が先輩と付き合っただとか、僕たちは他愛もないことを話し合った。
君の持っていたペンは机に置かれる。
僕の固い本も開かれることなく、隅へと追いやられていた。
君と話す時間も悪くないのだけれど、どうせなら部屋で本を読んでいたかった。
最近発売された、新作の本があったというのに。
「声に出ていたよ」
思わず僕は口に手を当てる。
もう遅かったようで彼は「あはは」と口を開けて笑った。
「知ってるよ、全部」
ないものをほしいと思う心。
多分それはヘラヘラと笑う、目の前の彼。
才能があるからその余裕があるのか。悪気はなかったけれど、羨ましいと思ってしまった僕。
情けない君が、少し好きだよ。というのは言わないでおく。
君は、その言葉をないものねだりすると思うから。
「ないものねだり」
.
.
.
「あれも欲しい」「これも欲しい」
欲しいものは買える範囲で買った。
でも、いざ自分のものになると
そんなに使わなかったり、そこら辺に放置してしまう。
勿体ないのは分かっているけれど
後悔したくなくて、つい買ってしまう。
「あー、あれ持ってないから欲しいな」
「使えそうなものだから欲しいなぁ」
今日も私は、ないものねだり。