『どこにも書けないこと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
こんな気持ちで書き殴ろうと
する言葉には涙が含まれて
撥水加工の無情な世界では
すべてはじき返される
誰に見られてもかまわないと
壁に大きく書こうとしても
ここなら誰も見ていないと
紙に小さく書こうとしても
世界が眠った後の夜空に
こっそり指で書いてみても
一字一句滑り落ちて
排水溝に流れ落ちて
処理場で削ぎ落とされる
やがて澄んだ海になり
そして純白の雲になり
今日みたいな雨になり
世界が潤いに満ちていく
湿った土や作物からは
嗚咽のニオイがすこし
「どこにも書けないこと」
2023/2/8
念入りにシミュレーションをして記憶する。
(どこにも書けないことだし)
概要さえも露見したらとてつもなくまずい。なので計画は細部にいたるまで頭の中にきっちり叩き込んでおくのだ。紙面にはメモ書き、走り書き程度すら残さない。まして殺人計画表なんて絶対作らない。
どこにも書けないこと
この感情。私の中にあるもの。
言葉に表すことができない、
そんなものはどうしたって書けやしない。
よかった。形にできなくて。
私は愛想笑いばかりを浮かべる自分自身に辟易していたのだろう。笑顔の中にねっとりとした泥が混ざって、誰もいない空間で表情を削ぎ落とす。嫌わないように誰に対しても当たり障りなく振る舞いながら、求められた言葉を吐き出す。
周囲に対する同調と表面的な笑顔を積み重ねは、否定されることの恐怖が根にこびりついていた結果だった。
幼少期を私は情緒不安定に暴れ出す母に怯えて過ごしていた。暫くすると落ち着き始めて、バツが悪くなり猫撫で声で甘えながら特別な料理を作り始める。そのあとは決まって「私のこと好き?」と尋ねてくるのだ。私は震えそうになる声を抑えつけて「好きだよ」と血の気が引く思いで微笑む。満足な答えに柔らかな声で厨房に戻っていく姿が私をひどく安堵させて、機嫌をとるように望まれた言葉だけを吐き出すようになった。そしていつしか、擦り減っていく自分の気持ちが分からなくなった。
染み付いた言動は社会に出ても変わらずに私の一部となっている。敵をつくらないための生き方は、周囲の人間こそが私の敵そのものだったから。綱渡りのようで息苦しい。
本当は私が私らしくいられる居場所が欲しかった。何をしても赦されて、縛り付けるものがない。息苦しい自分を解き放てる、そんなものを。
一歩を踏み出すことに躊躇し続けていた普段なら何もしなかっただろう。けれどこのときは気持ちよく酒に酔っていたのだ。手近なものを探した。
机いっぱいに広がったレシートの山と一冊のノート。それに落書きのように日記を書くとこれが面白かったのだ。上司の愚痴と季節限定のコンビニスイーツを買い損ねた嘆き。
踊るようにさらさらとペンを動かすたびに胸に重くのしかかっていたものが軽くなる。爽やかな風が通っていったような清涼感があった。
この日を境に文具店に通い詰め、可愛らしいノートやマスキングテープを見かけるたびに欲望のままに買い漁った。お花のシールで飾られたページとは裏腹に書いてある内容が物騒だったけれど、眠った感情を一ピースずつ拾い集めている実感が堪らなく安心感を与えてくれた。
少しずつ、少しずつ。身動きの取れない疲弊したときははしっかりと休んで、体力があるときは多少つらくても書き出す。すっかりと慣れた頃には話のネタ探しに、旅行にも行くようになった。そして今日もまた、電車に身を委ねながら小な旅行へと出かける。窓の向こうは、重い雲がゆっくりと流れていた。雨の玉がきらきらと光を反射させて落ちていく。以前なら陰鬱と捉えていたのに、川の流れのように穏やかだ。私は緩い微笑みで鞄に眠っている日記帳をそっと撫でた。
/ どこにも書けない
実は何も言葉になんてなっていないから、音にもならないし別にそれでいいよと思うから、波になんて別に乗れなくたって、滝なんて登れなくたっていいのだと思う、ただ心の内にしまったまま、いいよ、いいよね、と言い合うだけ
『どこにも書けないこと』
どこにも書けないことは、ここにも書けない。
考えてみたけど、うまく思い付かなかった。
ただ、セクシーな話とか惚気とか、二人だけの秘密っていうのはあると思う。
でもやっぱり、ここには書けないな。
『どこにも書けないこと』
確かにその時々にあったんだよ。
誰にも言えないこと、どこにも書けないこと。
その時は本気で悩んでいたはずなのに。
でも今、今書けないということは、
その程度のことだったと思うより、その時のワタクシ頑張ってたんだなと褒めてあげたいなって密かに思ってる。
子どもを迎えにいく途中に
このまま 1人で どこか遠くに車を走らせる
そんな妄想を している自分を
不思議な気持ちで 俯瞰している自分
あーめんどくさい
と声に出してみて
駅から湧き出てくる人たちの中に
家では見せない顔をして
音楽なんか聴いている我が子を見つけると
誇らしいような
黙って乗り込む息子に
ただいま ありがとうくらい言いなさいよと
そっけなくしてしまうけれど
これぞ家族なのかな
昨夜は 大げんかしたんだけどなぁ
どこにも書けないこと
…は、ここにも書けないかな。
だからこの「書いて」に辿り着いた。
ひとつのお題に対して自分の想いを書く。
本当に書きたいことは、きっと誰にも受け入れられない。他のアプリで一度、書きたい事を書いてみたけど、何となく虚しさを感じただけだった。
みんな「今」を生きている人ばかりで、立ち止まっている僕には見向きもしないみたいに。何だかみんな、忙しそうだったな。
そうして、彷徨ってここに来た。
ここは、何か書けば共感のハートが励ましてくれる。
文章を読んで、気に入った人はお気に入りに追加してくれて、また読みに来てくれるかもしれない。
文章を読んで、気に入らない人はハートを押さないし、通りすがりみたいな感じ。それが丁度良い。
ここには鍵が掛からないのも、いいのかも。
僕が居なくなったとき、何を想いながら過ごしていたのか、スマホを見つけた誰かさんがこれを見るかもしれないから。
でもあの人は、僕の想いになんて興味がないだろうから、きっと気が付かないかもね。
ここに書いておこうかな?
あの漫画みたいな名台詞を。
愛してくれてありがとう。
どこにも書けない
誰にも言えない
言葉を得たことで秘密は増える
言えない苦しさ
書けない苦しさ
人間だけがそれを背負った
知能や文明がしあわせなのかと
君に問われても答えられない
その真っ直ぐな眼差しに
目を逸らした回数は数え切れない
【どこにも書けないこと】
夜の帷に隠した秘め事。
わたしとあなただけのひみつ。
一回書いてみたけど、投稿前に消した。
そういうことだ。
【どこにも書けないこと】
どこにも書けないこと
それは醜い自分のこと
嫉妬深くて
我儘で
冷酷で
それなのに愛を求める
そんな余りに歪んだ自分
そんな余りに愚かな自分
誰にも知られてはいけないから
自分でも見たくなんてないから
だから静かに蓋をしているけれど
偶に大波となって溢れてしまう
貴女にだけは知られたくない
だって、貴女といる時だけは
本当の私だから
だって、本当の私が笑える
唯一の人だから
どこにも書けないこと
自分の内面のこと、たとえば物事の考え方とか、見方とか、どういう経緯でそう思うのかは、人と話す機会があまり多くなくて、こうして文字の海に流し込んでいる。
些細な出来事に対して、深く考えることが好き。
でも、あまり分かってくれる人はいない。そこまで考える?と言われるのがおち。
書けないというか、言えないこと。
私は自分のことを知られたくないと思っている。
初めて会う人や話す人、みんな、なんであんなにスムーズに会話ができるのかが不思議で仕方ない。
職業も、年齢も、趣味も、普通の会話の話題。それが私は苦痛。
これを仕事にしてるんだ、何歳なんだ、こういうのが好きなんだ。
そんなので自分をジャッチされそうで怖い。
自意識過剰な愚かな私、だから、生きづらい。
誰にも知られなくない。
私という人を知って欲しいのに、知られくないなんて矛盾してるよね。
SNSの中でさえ、私は自分を隠したがる。
このアカウントが私だと知られたらどうしよう、私という人が知られたら。
好きなものを好きと言えない。嫌いなものも嫌いと言えず、体裁だけ整えて、それっぽいこと、万人ウケするものでなんとなく誤魔化している時間は胸が痛い。
でも、収めている気持ちを胸の中だけでしまっておくのは、少しつらい。
私は自分の内面的な考えや感じたことを書くのが大好き。
今は誰の目も気にせず、インターネットの海に流すことができる。
だって、ここは匿名で、ハートを稼いだり、誰かの求めることを書いたりしなくてもいい。すべての人が素晴らしいと謳っているから。
こんな書き殴りの文章でも、いいんだ。
文章の中では、私は何にでもなれる。
「私」と「私」の対話の場。
気分のままに、私は、「あたし」にも、「僕」にも、「彼」にも「彼女」にでもなれる。
自分のためだけに、自由に心を解放することができる。
どこにも書けない気持ちも、思いも、すべて書いていい。
しがらみも思い込みも固定観念も偏見も、すべて書いていい。
誰にも理解されないような些細なことでも、現実の世界で口に出すのが躊躇われる言葉も、すべて書いていい。
書きたくないことは書かなくていい。
どこにも書けないことは、自分の胸の中に閉まっておけばいい。
そして出したくなったら、またここへやってくればいい。
私が書いた誰宛てでもないメッセージボトルがどこかの岸にたどり着いてるのかと思うと、不思議な気持ち。
届いて読んでくれた人、本当にありがとう。
どこにも書けない
どこにも書けないことをここにも書けない私
生きるのに疲れたということ
助けてもらえないのはわかってるのに
助けてほしいと願ってること
ここから出してほしいということ
助けて。
①
私の頭は図書館。
沢山の情報が詰まってる。
でもどこを探しても自分のことは書いてないんだ。
昨日の晩御飯はカレーだったとか、
明日のテストはどの教科だとか、
そういうことの、本しかない。
きっと書けないんだ。
自分じゃ自分を。
「どこにも書けないこと」
②
ねえ、ご飯しっかり食べてる?
ちゃんと寝ないと明日仕事行けないよ!
私はあなたに伝えたい。
ごみ捨て行ってくれたの?ありがとう!
ごめん…それ忘れてたわ…ほんとごめん…
私はあなたに伝えたい。
でももうできないんだ。
ごめんね、帰ってこれなくて。
もう、伝えられないんだ。
私は、どこにも、書けないんだ。
「どこにも書けないこと」
どこにも書けないこと誰にも言えないことが私には、沢山ある。
多分、それは誰にも打ち明ける事ができないだろうから
墓場まで持っていくことにする。
どこにも書けないことなのだから、ここにも書けるわけが無いだろう、と思うのだが、考えてみれば、私はどこにも書けないほどの大層な秘密は持ち合わせていないように思う。
そりゃあ、恥ずかしいことや、人に知られると引かれそうなことや…、30年生きてきた分、色々な過去が無いわけではない、かもしれない。
だがそれは、人と比べてみて特異なものであるか?と考えてみると、さして変わったものでもないと思う。
人間、それぞれ違った人生を送っている。
だが、言わないだけで、知らないだけで、色々な過去や思いを抱えている。
…その点については、皆同じなのではないか。
そう思うのだ。
「どこにも書けないこと」
青春の頃に書いた
乙女心たっぷりの創作物