『ところにより雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私の心にはところにより雨
それは決して悪いことではない
なぜなら、太陽みたいな彼は雨が好きだ
それが彼と私の唯一の共通点で
他は彼がいっつも上
勉強
スポーツ
面白さ
彼はいっつも輝いている
勇気なくて
LINEでしか話せない彼を
そっと彼を雨の中から見つめていようか
「雨だ」
そう誰かが呟いた気がする。
周りを見れば降り始めた雨を避けるように近くのコンビニや建物に駆け込んでいく人達。天気予報はところにより雨、だっただろうか。
ともかく俺も同じように家へ帰る足を少し早めた。
「おかえり、あれ雨だったの?」
帰宅すれば同棲中の彼女がパタパタと駆け寄ってきてタオルを渡してくれる。濡れたスーツジャケットの水滴を払いそっと持っていくので感謝を込めて頭をそっと撫でた。
「ん?」
そう不思議そうに見上げてくる彼女を見つめていれば満面の笑顔を向けてくれたので俺はこう呟いた。
「ところにより晴れだな」
お題【ところにより雨】
あなたを想う
郷の帰り道
足取り重く
暗い気持ちを胸に抱いて
強く
逞しく
生きる
そんな毎日が
太陽に
照らされるように
顔を上げて
前に進もう
また一歩
お題《ところにより雨》
涙をなくした君に雨を届けにいく。
夜明けに降る雨は優しく、君の元にふる。
――ほら。
笑顔が咲いた。
ところにより雨
「なんかどっちつかずじゃない?」
「何が?」
唐突にそう言い出した友人に話の主語がよくわからなくて、スマホから顔を上げて問いかける。
「天気予報」
「なに? 雨でも降るって?」
「いや、ところにより雨だって」
「ふーん」
「ふーんって、もう少し興味持ってよー」
むりー、と軽く言いながらスマホに目線を戻す。
たしかに先ほどから空は雲に覆われて、なんだか暗いし、雨が降ってもないもおかしなことはない。
それなのに、友人はむー、と唇を尖らせながら曇り空を見上げる。
「降るならちゃんと降ってほしいって思わない? 降るのかどうかわからない感じがどっちつかずだし、降るってわかってるなら色々用意できるけどさ、降らないかもしれないって思ったら……」
「思ったら? 新しい靴は履いてこなかったって?」
「うん、そう。……え、気づいてたの?」
「そりゃわかるでしょ。下手くそなスキップしてたし」
「下手じゃありませーん」
「ごめん、ごめん。スキップじゃなかった。よくわかんない不規則に飛び上がる歩き方だったね」
「バカにしてるでしょ」
「んふ、ごめん」
「まったく……」
「まぁ、空もそんな気分なんでしょ」
「え?」
「ところにより雨ってことはさ、降る予報の範囲より狭い範囲で降るってことでしょ? たまには空も大泣きするより一筋涙を流したくもなるんだよ」
「そういうもん?」
「そういうもん」
そう強引に納得させて、帰る準備をする。どうせ降らないよ、と傘はあえて置いていくことにした。
降ったところできっと、その雨は涙みたいに優しいから。
《テーマ》ところにより雨
出かける間は降らないで欲しい
晴れてるところが多い
雨に濡れた姿が好きでした。
濡れたあなたの姿に心を奪われたから、もう一度見れば、心と共に取り戻してしまった正気もまた失えると思いました。
《山沿いの地域は、ところにより雨が降るでしょう》
用意周到なあなたでしたが、ここは山沿いではないので油断しましたね。傘を持っていなかった私とあなたは突然降り始めた生温かい雨に濡れることになった。
淡いグレーの陰に包まれた街を、真っ直ぐ落ちてくる雨粒を蹴りながら走っていた時。期待で私の胸は高鳴っていました。前を行くシャツの張り付いた背中の向こう側には、あの日見た美しいあなたが変わらずあると思っていました。
置いていかれても、またあの姿を見ればもう一度好きになれると思っていました。
嘘。本当はなんとなくわかっていたんです。
やはりダメですね。
思い出が美化され過ぎてしまっていたのかも。
飛び込んだ地下鉄に降りる階段のところで、「ちっ」て聞こえたでしょう?
私を待つあなたを見た時に、思わず舌打ちしちゃったんですよ。
あはは。
思ってたより、全然ダメで。
私が変わっちゃったのかなあ。
ごめんなさい。
悲しんでいるあの娘の側で
わたしも一緒に泣いている
渇いた心に沁み込むように
優しい空の色に染め上げる
静かに降る雨は気まぐれに
『ところにより雨』
お題「ところにより雨」
君の頬が濡れているのは、きっと雨の所為だ。
雨が降っている。
ベッドの上から出窓に頬杖をつく。膝の上には大きなぬいぐるみを起いて、しとしと、しとしと、空から地面に落ちていく細切りの雫を眺めていた。濡れた窓ガラスが景色を歪ませ、斑点のような水滴の中では世界が裏返る。自身の重みに耐えかねた小さな世界は窓ガラスを伝い、窓の桟にぶつかってあっけなく潰れた。
ねむい。
感慨もなく、そう思う。
雨の日は全てが億劫だった。頭の中の遠くの方で痛みを感じるし、薄暗い空は意識の覚醒を妨げる。予報外れの雨ならもっと最悪だ。たまった洗濯物は処理できず、向こう1週間の食材を手に入れることすら一苦労。こうなったら全てを放り投げて、ただベッドの上に大の字に倒れ二度寝を決め込むことしか至福の時間は訪れないだろう。
ぱたぱたと、外に誘うように窓が鳴る程に、意欲の扉は閉じていく。もう本当に今日という生活を捨ててしまおうかな。そう思ってかろうじて伸びていた上半身をスプリングの海に擲ったところで。
「にぁ~」
肩の力が抜ける、ずいぶんと愛らしい呼び声が耳に飛び込んだ。突っ伏していた顔を横に流せば、にゃ、と小さな音を放つ口がすぐ目の前にある。
「こはく」
いつの間に傍に来ていたのか、真っ白い毛並みが視界に広がる。ほっぺがつつかれるように冷たいのは、ふんふんと匂いを嗅いでいる猫の鼻先が触れているからだろう。その子は一通り嗅いで満足したのか顔を話すと、白い毛並みをすっと引いて、みぁ~と間延びする声を上げた。おすまし顔でしゃんと座る我が家の白猫様は、声に似合わず随分とエレガントだ。
「あ~、ご飯か……。………………あとちょっと待ってくれないかな」
頭をベッドにつけてしまったら、億劫さに磨きがかかってしまった。今日は連勤後の休日だし、あと5分の睡眠時間の延長を許してもらえないだろうか。そう、アディショナルタイムといったところだ。
しかし、自分に与えられたアディショナルタイムは、たったの10秒程度だった。
「あて、いててて、待って待ってこはく、ちょ、いたいって」
起きろと言わんばかりに、ぷにぷにの肉球が瞼をぐりぐりと押した。目を覆う薄い皮を持ち上げるように頑張りすぎて、ほんのりと出た爪がぷすりと瞼を刺す。流石に痛くて顔を持ち上げて逃げれば、視界が少しばかり滲んでいた。どうやらこの我儘猫のせいで、自分の視界まで雨もようになったらしい。
「まったくもう、しょうがないなぁ」
はぁ、とため息の後、伸びをする。ようやくベッドから足を下ろせば、満足そうな鳴き声が部屋に響いた。そのまま走って出ていく白い毛玉の後を追う。
今日の天気は雨。だけれど、自分の瞳を覆っていた雨粒は晴れ、気持ちを覆っていた雲も少しばかり晴れた。寧ろ、雨が降っているのは窓の外だけだ。お陰様で、ちょっとした家事くらいは穏やかにできそうだ。
我が家の愛猫様々だな、なんて呟いて、感謝の気持ちから餌やりに急いだ。
【ところにより雨】
あなたがあの人と一緒にいるのを
道の反対側から見てしまった
知らない笑顔
今日はいい天気だけれど
私の心の中だけ、ところにより雨
テーマ:ところにより雨 #132
「〇〇の地域に、ところにより雨が降るでしょう」
テレビを見ているとアナウンサーが言った。
その「ところにより」がこの地域なのが憂鬱になる。
雨は嫌いだ。
ジメジメしているし。
雨の音は集中力を切らしてくる。
おまけに外に出ると濡れるし、
そんな外で遊ぼうと言ってくる友達もいない。
「ところにより晴れ」にしてほしいなんて、僕は思う。
そんな僕には変わった友達がいた。
『雨降ってるね〜』
なんてわざわざわかりきったことを、連絡してくるやつだ。さらに
『雨、好きなんだよね〜』
などと言ってくる。
勘弁してくれよ。共感できないことを……。
ただでさえ天気悪くてだるいのによ……。
そんな僕のことを察していないのか続ける。
『雨の音ってきれいだよね』
ただの集中力を切らす音じゃないか。
僕はそう思い、思ったとおりに返すと秒で返事が来る。
『雨だからってマイナスに思っているからそういうことを思うんだよ。雨だって晴れに負けじと魅力的よ』
そんなことを言われてもなぁ…。
『だって、傘に当たる雨音と窓に当たる雨音って違うじゃない? そうじゃなくても風の吹き方や雨の強さだって違う。そういう自然の音が好きなんだよ』
ふーんと思いながら、ベランダの方へいき雨を見る。
面白くもなんともない雨が降っている。
でも確かにいろんな音が耳を澄ませば、聞こえてくる気がする。変わったやつだが、コイツといてつまらんことはないんだよな。
降り続く雨音を聞き、案外悪くないかもなと思っている自分がいた。
ところにより雨となるでしょうみたいな予報で雨にあたったことがないし、大体雨が降ってても私が出かける時には晴れるのでまあまあ晴れ女感はあるけど個人的には土砂降りの雨の中、傘ささないで帰宅するのが大好きだったりする。
ところにより雨
雨のところ見つけにいこう。
雨は新鮮な感じがする
冷たいし、音なるし、暗くなるし、
虹が見えたらラッキーだよね
それから、ナメクジ好きだから
見つけられたら嬉しいな。
ゆっくりゆっくり歩いてんの
めちゃかわいい
あと湿って足あとつくところもかわいい
まわり雨降ってるのに
雨降らないお花畑とかあったら
幻想的だよね
スマホから
流れる予報
きみの声
『ところにより雨』
振るなら降って
【ところにより雨】
思えば、晴れている時の方が少なかった。
燦々と輝く太陽が顔を出していたのは、ほんの少しの間で。
それ以外は、いつだって曇っていた。
それなら、それだけなら良かったんだけどね。
どうしたって、嵐が来ることだってある。
どしゃ降りの雨があったこともある。
猛吹雪に見舞われて、途方に暮れたことだって。
けれど、どうにも現実味がないままで。
晴れ、雨、曇り、雪、霙、雷雨……。
表す言葉はいくらでもあるのに、全部、全部、”ところにより雨”でしかなかったんだろう。
ところにより雨
日本列島は細長い。
あるところでは、満開近い桜を散らす花散らしの雨。
あるところでは、まだ桜も咲かず快晴。
花に嵐のたとえもあるぞ。
桜前線。
ところにより雨。
ところにより雨ということは
ところにより雨ではないということ
心も晴れている時もあれば、ブルーな時もある。
いつかは晴れるのだから、落ち込まずに
自分だけの人生を謳歌しよう。
雨の振り次ぐ中で、雑踏の中で目を見開いてもたいした痛みは伴わなかった
水くさい匂いに塗れたとき、まぶしい夏が胸のそばに今さら溢れかえり、ふと我に返った
君の好意を受け止めきれないことただそれがわたしの背負う罪で汚点で痛みだった
「ところにより雨」
そんなニュースが流れる
「気にすることないぜ」
そう。苦笑いする彼
「そ、そうだよね」
私も苦笑いをする
私たちは
この人の感情なのだから