『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ふと
もう十月か
そんなことを思った
夏を振り返り
春を振り返った
一番、大きいのは
やっぱりコロナの5類だった
5類になって
色々と変わったのに
病院や高齢者施設は変わらない
そこに
つい黄昏てしまった
家族としては
一番変わって欲しいところなのに
(2023.10.01/たそがれ)
夕暮れに黄昏れる。
この世で一人しかいないかのように。
猫だって たそがれたい時があるのよ。
まあるい小さな背中から
そう聞こえた気がした。
太陽の光が日いちにちとやわらいで
そっと二の腕を撫でる風は心地よく
ガラス越しの西陽が床を暖かく照らす
レトロな景色に全てが変わっていく
そんな優しい時間
「たそがれ」
#223
翌日彼は行動に出る。
具体的な目標はないが、ただただ外の世界に
踏み出していく。一歩一歩何かを探すように
ただひたすら進んでいく。
辺りはもう黄昏時。
彼は何も見つけられなかった絶望感と共に、
一歩を踏み出せた勇気に少しの喜びを感じ、
帰路につく。
たそがれ空がとても綺麗だと気付いたのは、彼の視線の行く先を辿ったからだった。
日誌をわざと書かずにいた。先生から頼まれていた仕事を、放課後になるまで忘れたフリをしていた。
優しい彼はきっと付き合ってくれると分かっていたから。
オレンジ色の光を一直線に見つめる彼はとても綺麗で、今にもその光に吸い込まれて消えていってしまいそうだった。
わたしが好きになってしまった彼は、時折とても儚い表情をする。ここにはいない誰かを、ここの景色と重ねて、愛おしそうに眺めている。けれど、わたしから見える彼の瞳にはこの景色しか映っていない。空はたくさんの色が混ざっていて、それでもわたし達に届くのはオレンジ色だけ。彼は、そんなこの景色と、誰を重ねているのだろうか。
「ごめんね、色々忘れちゃってて。」
彼がここにはいない誰かを見つめていることに嫉妬して、わたしは声をかけた。数秒してから、彼の瞳がわたしを捉えた。
「ううん、大丈夫。そういうこともあるよ。」
彼の声はとても聞き心地がいい。ふかふかの布団にくるまれているような気持ちよさを味わえる。
わたしに向ける視線もあたたかい。笑顔もやわらかくて、カメラを持っていたらシャッターを切っただろうな、なんて思う。
彼の声も視線も笑顔も、彼の全部をわたしが独占できたらいいのに。
ああ、彼と隣の席になれたあの日から、わたしはワガママになりすぎている。
彼の顔にオレンジ色の光が差して、影ができる。その美しさをいつまでも、わたしが独り占めできたらいいのに。
彼の持つシャーペンは淀みなくスラスラと動いている。
日誌は未だ真っ白のままだ。
帳を引っ掻いておろした
薄暗いなか月明かりくらいに
照度落とした好意
抱えて眠るだけで
夜明けに失うのを
願ってやまない
誰だろう? このお兄さん。
なんだか、少し怖い人に見えるけど。
オレが戸惑っていると、金髪のお兄さんは、優しく頭を撫でた。
ああ、なんだ。この人は、信頼出来る。
オレは、笑顔を向けて、知らないお兄さんに自己紹介した。
「たそがれ」
たそがれ時夕日を見ながら考える
太陽は終わるときさえ輝き誰かを照らす
私は私さえ照らせない
『たそがれ』
たそがれてる背中
たそがれてる人生
たそがれてる空
たそがれてる神
たそがれてる赤ん坊
たそがれてるアイス
…たそがれてるって何?
テーマ:たそがれ #322
たそがれ時の空を見上げ
君と最後に話したときのことを思い出す。
あの時俺が。
はっきり言っていれば未来は変わっただろうか。
君がまだ俺の隣りにいてくれただろうか。
この空を2人で見上げる世界線は存在しただろうか。
たそがれ時の空を見ていると切なくなる。
黄昏時。
あの独特の空気感と切なさが、少し好きだったりする。
ずっと続けばなぁなんて思うけれど。
きっと刹那的なものであるからこそ、良いものなんだろうな。
〝たそがれ〟
黄昏時の通学路
堤防の上に
猫が寝転がってた
夕日を浴びて黄金色に輝いていた
撫でようとしたら「にゃ〜」って堤防から飛び降りちゃった
残念な気持ちで歩き出したらまた猫を見つけた
黄昏時は猫が多い気がする。
触れたことないけどね
「たそがれ」
沈む夕日を目の前に、僕はただ一点に窓の外を見つめる
「何見てるのー?」
「夕日だよ。この時間帯は夕日がとても綺麗で好きなんだ」
「本当だ!綺麗!私も一緒に見てもいい?」
「…もちろんだよ」
実は夕日が好きなんじゃなく、夕日を見つめる君の瞳が好きだなんて、口が裂けても言えないな笑
みんながワイワイ騒ぐ輪から1人抜け出して、ベランダから静かに沈む夕日を眺める。「何たそがれてんだよ」すぐ後ろで声がする。振り向かなくても誰だかわかる。「久しぶりだな、皆んなで集まるのは」「だな」2人の長い影が消えて、1番星が輝くまで文字通りたそがれた。
マジックアワーたそがれ
夕凪が目に染みる。
夜に近づいた海は、生ぬるい塩分の匂いだった。
宿から少し行くと、すぐ、海岸になる。
この辺りは、海と近い街だった。
私は近くの防波堤に座り込む。そこからは、10月の、赤く染まった海原がよく見えた。
ひどく穏やかな海に、私は一時の迷いを覚えた。
幼くして捨てられた私を拾い、育ててくれたボスに恨みなど無い。
しかし、ボスを裏切り、組織を抜けた朝ほど、清々しかったことも無かった。
組織に雁字搦めな生活に、いつの間にかプレッシャーを感じていたのだ。
若い頃はそれが分からず、迷惑をかけたものだった。
今更、思い出す必要など無い、過去の記憶なのだ。
私は、コートの内ポケットから、手紙を出した。
昔馴染みの店に、届いた手紙らしかった。私の行き先が分からなかった組織が、苦肉の策でそうしたのだろう。
今朝、久しぶりに店に行くと、直々に渡されたのだ。
封筒には、半年前の消印が押されている。
中から便箋を取り出す。
ボスの容態が悪化している。そう簡素な文で書かれた手紙だった。私は暫く、それを眺めていた。
組織の連中が用意した、私を誘き出す罠であることは判りきっている。
昔から、よく使われる手口なのだ。
私は、手紙をもう一度読んでから、コートへと戻した。
夕凪はとうに止み、秋風が吹いていた。
後ろから気配が近づいてくる。
私は、何事かと思い振り返った。
私のいる防波堤の影から、ヒナが顔を出す。
「こんなところにいらしたら、身体に障りますよ」
宿の若女将は、随分と世話焼きな娘だった。
2年前の私は、身分を偽り、転々と職を変え、一つのところに落ち着かなかった。そんな私を、迎え入れたのはヒナの父親が営む宿だったのだ。
なんとかこの街で仕事を見つけた私の、世話をしてくれたのも、ヒナだった。
「晩ごはんが出来ましたから、早く帰ってくださいな」
それだけを言いに来たようだ。ヒナは、ほほ笑み、手を降って宿の方へと戻って行く。
海の方を見る。
水平線の赤が、まもなく、消えようとしていた。
私はその彼方を見つめた。
日が暮れる。内ポケットには手紙があった。それを捨てられないまま、私は佇んでいる。
『たそがれ』
あの日、君は言った。
「生きてね。」
その言葉が僕を苦しめるんだ。
だって、こんなにも長く僕を縛るのだから。
たそがれ/
昼休み窓の外を眺める君
あぁまただ
誰のこと考えてるの
私の問いに
_ _ 先輩
そう答える君
海沿いを1人で歩く
海風が気持ちよく
ずっと歩いていられる
たそがれ時に見える景色が
特にお気に入り
さて明日からもまた頑張ろう
たそがれ
黄昏て
君は
帰っていくんだね
君の偽りの家へ
夕飯?
そう尋ねても
何も言わない
細くしなやかな身体と烏の艶を纏った黒髪から
放ったほのかな香りに僕は何も言えず
本当に夕飯を食べに帰るんだよね?
その一言を言いたかった。
違うよね?
君が消えて行ったのは
君の家と真逆の寂しい繁華街
寂しいよ
きっと君もそう言いたかったはず
同じ気持ち交わらず
君が汚れていくだけ。
そう、僕は何も言えず。