『たくさんの想い出』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【〇〇高校 卒業アルバム】
そう大きく印された、分厚い本。私はページを捲った。
「懐かしいな〜。」
初めに目に付くのは、生真面目に制服を着る生徒の姿。こういう写真って、何で不細工に写るのだろうか。数ページ捲ると、私の元クラスのページになった。そこには、忘れられない想い出の顔が並んでいる。
「昔は、こんな顔してたっけ?」
自分の写真を、指でなぞる。今よりも幼く、芋っぽい顔。
「あれ?この子、こんな名前だっけ?」
名前も朧気なクラスメイト達。懐かしいな。名前を忘れても、顔は忘れない。忘れる事は出来ない。
高校三年間、一人で過ごした。そんな私に友人が出来た。彼女となら親友になれる、そう信じていた。しかし、現実は甘くなかった。夏休みが明ける頃には、私たちの関係は友人から主人と奴隷になっていた。あんなに優しかった彼女は、私の事を虐め始めた。時間が過ぎるにつれ、虐めに加担する人数は増していった。見て見ぬふりをする先生にクラスメイト。彼らは憐れむのではなく、私を見下した。そして安堵した。憎たらしかった。消えてほしかった。
だから、殺したんだ。
卒業式が終わった次の日から、私は一人ずつ殺していった。原型を留めていない私の顔は、彼らにとってさぞ畏怖のものだっだろうか。幸運な事に警察には捕まらなかった。何故かって?私の家がヤクザだからだ。警官だって人間だ。危ない橋は渡りたくないだろう。こういう時には、あの役立たずの親も使える。
私は自室に置いてある鏡を見つめた。そこには卒業アルバムに載っている時よりも、綺麗な顔が映る。整形をして、なるべく元通りにした。それでも、薄く傷は残っている。私はその傷をそっと撫で、小さく微笑んだ。
私はベランダに出て、ライターを取り出した。そして、アルバムに火をつけた。
「じゃあね。」
たくさんの想い出もたくさんの呪と共に消えていった。
海
キャンプ
船旅に
イルミネーション
居酒屋
カラオケ。
綺麗なままで終わりたいね。
しばらくの間、自分史の記録に残るほどの出来事が起きていない。このままのっぺりと死んでいくのだろう。とはいえ以前にも書いた通り、リスクを示されたら逃げる人間なので、せめて事件にならないほどの小さい思い出を出来る限り取りこぼさずアルバムに貼り付けていきたい。
たくさんの想い出 11.19
これまでたくさんの想い出あったね。
ここですべて焼き払うように、忘れようか
さよなら。
いままでの私にお別れを
私はSky星を紡ぐ子供たちをやっている
そして、明日長年やってきたSkyデータを全部消す。
沢山の思い出、想い出。たくさんある。寂しさも。
でもそれと同時に、新しいSkyで初めている私のことを想像するとワクワクして仕方がない。
2024/11/19『想い出』
人の脳とは便利なもの、
その時の情景を映像のように映す。
記憶も再生もお手の物、
しかし限界は常に見えている。
君のノートは不便なもの、
覚えるにも一苦労かかる。
見せたくないことも見られてしまう、
だけど嬉しいことも共有できる。
「どっちがいいの?」
「どっちもいいんだ」
見えない美しさは否定しない。
でも、見える嬉しさもね。
――サメの言うことにゃ、
たくさんの想い出
今日は調子が良い。
顔のコンディションもばっちり。そりゃそうだ、この日のために毎日努力してきて、最高の自分に仕上げてきたんだから。
この日のためのメイクをして、この日のための服を着て、この日のためのヘアセットをする。
今日は半年ぶりに彼に会う日。
開場よりも早めに着いたら、まずは長い列の後ろへ。
お目当てのグッズを開ければ、ランダムで当たるお見送りに当選の文字がチラッと覗く。
今日はツイているみたい。
記憶が脳に定着するのは、大体3〜4歳頃からだと言われる。反対に、人間が死ぬのはだいたい80歳すぎが平均である。
つまり、人間の記憶というものは、ざっくり言って75年分の歴史が詰まっているということになる。
(認知症の方は、ここでは横に置いておく)
人間、それだけ生きればその分だけ、忘れたい記憶も積もっていくものである。
ただし、当然、忘れたくない記憶も募っていく。
そうして僕を紡いできた幾千幾万もの瞬間が、きっと、僕を僕のまま引っ付いて剥がさない強力な糊として機能している。
いつかの記憶の波に翻弄されて、「思い出せない」と「忘れたい」の感情の狭間に漂っている僕。人間の設計図のどこかにきっとある、想い出という名の器官。
無意識と意識を頻繁に飛び交いながら、やがて僕らのデータは色褪せ、或いは美しく変色し、引き出しの中に丁寧にしまわれてゆくのだ。
それはきっと、僕らの人生のエンドロールの中で、早送りの映画の一コマに過ぎないのだろう。
在りもしない記憶に煩悶し、うろたえる僕を置いていくようにして、時代は移り、変わってゆく。
そうして、いつか、人工知能が僕らに成り代わり、僕らのように歩き、話し、笑い、愛を叫ぶ日が来るのかもしれない。
いや、きっと来るだろう。
それでも、僕たちという灯火は絶対に消えない。いつまでも、いつまでも狂おしいほど懐かしい想い出の灯りに照らされている限り。
たくさんの想い出を背負って
たくさんの人からのプレッシャーを受け止めて
たくさんの傷をその心に負ったんでしょ
あんたみたいな人はきっといつか報われる
とか皆言ってるけど
実際、そんな都合がいい様にはならない
俺がそうだからだ
これは実体験だわさ
あんたもきっとそうや
地獄の業火を浴びながら落ちても尚
堕ち続けよう
保育園、小学校、中学校、高校、専門学校、職場。
それぞれに思い出すことはある。
思い出すことはあるけど、ハッキリ言って思い出したくない事の方が多い。
友人や先生の顔はぼんやりとしか浮かばないのに、その時の状況や言葉や、音、匂いなんかは何故かはっきり覚えている。
どれもこれも不快で、うるさくて、臭くて、思い出しただけで嘔吐きそうになる。
ふとしたきっかけでそれらを思い出してしまうと、頭の片隅や胸の奥にずっとそれがこびりついて、数日は離れない。
せめて一つくらい、いい思い出があればいいのに。
END
「たくさんの思い出」
『眼鏡』
たくさんの想い出が詰まっているものと聞いて何を思い浮かべるだろうか。写真がたくさん詰まったアルバム、或いはその写真を撮り続けたカメラ。長年乗り続けて様々な場所をドライブした愛車だと言う人も居るだろう。
私にとってたくさんの想い出が詰まったものは、小学生の頃からかけ続けている眼鏡だ。
私は小学生の頃から目が悪い。今となっては裸眼では視力検査の一番大きいランドルト環すら怪しい始末。
そんな私が文学を読んで感動し、たくさんのゲームを楽しみ、綺麗な景色を見て旅情に浸ることができたのはひとえにこの眼鏡があったからこそだ。
もしこの眼鏡がなければ、文学を読むのは億劫で、ゲームなんて楽しむ余裕も無く、綺麗な景色はいくつかの色がただ無造作に塗りたくられただけの絵とも言えない何かにしか見えなかっただろう。
朝起きたら付けて、夜寝る前に外す。最早何も考えずとも無意識のうちに行うルーティンと化した行為。他人から見てみればただ眼鏡をつけ外ししているだけ、本当にただそれだけなのだが、見方を変えればこれは想い出を作るための行為と言えるのだ。
ほとんどの時間眼鏡をかけているからか自分の目は元々こんなにも視力が良かったかのような錯覚を覚えるが、私が今までに想い出を積み重ね、そしてこれからも作り続けて行くために必要なもの。
写真が詰まったアルバムは私の目で、その写真を撮るためのカメラがこの眼鏡。そして長年使い続けてどこに行くにも一緒だった。
だから、私にとってたくさんの想い出が詰まっているものと問われれば、それはこの眼鏡だ、と胸を張って答えられる。
──お題:たくさんの想い出──
『たくさんの想い出』
――私には、たくさんの想い出がある。小さな頃から、私は両親から愛されていた。可愛い服を買ってもらったり、旅行に連れて行ってくれたり、外食をしてくれたり。両親のあたたかい愛を、私はたーくさん貰った。
「……いーち」
――次の愛は、恋人から。恋人は、私の頭の中をふわふわにさせるくらい、甘やかした。遊園地デートに行ったり、キスをしたり、朝まで過ごしたり。恋人のまっすぐな愛を、私はたぁーくさん貰った。
「……にーぃ」
――最後の愛は、子どもから。子どもがくれるのは、無邪気な心から溢れる、優しい気持ち。私の似顔絵を書いてくれたり、抱きしめてくれたり、褒めてくれたり。子どものやわらかい愛を、私はたぁーっくさん貰った。
「……さぁーん」
私ね、たくさん愛を貰ったの。両親から、恋人から、子どもから。だからね、私は幸せなの。ずっとずーっと、幸せなのよ。
「うふふふふ。あはははは。んふふふふ……」
「あの。この人のご家族の方って」
「あぁ……その人、いないのよ。ご両親から全く愛されなかったうえ、交際していた恋人からは無理やりの行為をされ、生まれた子どもにも嫌われたって。それで精神が狂ってしまって……結果、自分は幸せな生活をしていると、大人になった今でも妄想しているのよ」
「そんな……助けてくれる人とかいなかったんですか?」
「残念ながら。彼女の頭の中には、今もずっと、【架空】の想い出しかないのよ」
「あはははは……うふふふふ……」
想い出を彩る君の喜怒哀楽
ここから「喜」と「楽」を増やしたい
#たくさんの想い出
【たくさんの想い出】
クローゼットを開けて
日の光が待ち侘びたように入り込む
トランクに詰まった新しい想い出を
大切な宝箱に移してく
日に焼けないように
色褪せないように
あの時のまま思い起こせるように
大切に仕舞い込んで
自分の糧になっていくのを感じながら
そろそろ飾りきれないくらい
たくさんになったそれらを満足気に見つめて
またねと扉を閉めていく
2024-11-18
あ、みつけた。空の星。
遠くにあればあるほど光は薄く弱くなっていく、記憶の欠片。
それでも数え切れない瞬きがあって、消えることだけは永遠にない。
ふと見上げた瞬間、手を伸ばして、また、かき集めてみたくなる。
もう、届きはしないとわかっていても。
ふとした拍子に、幼稚園生とか小学校低学年の頃の思い出が蘇ることがあるんだけど、思い出すことが無いまま十数年が経っていても、きちんと頭の中には残ってるなんて面白いなあって思う。きっとまだ頭の中にはたくさんの思い出が眠ってるんだろう。
たくさんの想い出
一人でもいいじゃない
どこにでも行こう
想い出作ろう
写真に残そう
愛らしい茱萸の実小さな思い出
勇気生まれる可愛いたまご
夕焼けに小さな君を見つけてたんだ
シルエットモカブラウン
♯たくさんの思い出
有り余るほどの
溢れおちるほどの
貴方との記憶
季節が流れる度に
言葉を聞く度に
そこを見るたびに
私の心は貴方とのを思い出す。
けれどもそれは今とは違う、
消せない思いは
ありすぎて、私をここに留める
いつになれば
想い出になってくれますか?
─たくさんの想い出
たくさんの思い出
少しずつ色褪せても
遠い場所でくっきりと光る
マーブル模様の向こう側