『ずっと隣で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「誰だって緊張はするよ?」
君はいつもそう言ってくれた。
緊張するぼくに、優しく囁きかけてくれた。
「WBCいつも見てたじゃん。ほら、あんな一流の選手だって時には成績が振るわない時があるもんなんだよ」
スーパースターとも言えよう選手が、成績不振。
周囲からかかるプレッシャーは計り知れない。
「大丈夫。君は出来る」
自信をつけてくれる。
「ここまで頑張って来たじゃん」
嗚呼そうだ、その努力を忘れてはいけない。
「私は見てた。ずっと隣で」
自分を分かっているのは自分の様で、その隣にいる人がよく見ているのかもしれない。
大事な試験。大事な試合。大事な面接。大事な発表。この時期には色んな事があるけれど……きっと大丈夫。
自信は努力の裏付けだ。
さあ、頑張ろう。ぼく。
ずっと隣で
自分は死にたがりだった。
とにかく何もなくても死ぬことばかり考えていた。
長生きしないで死ぬと思っていたし、事故で死ぬ、病気で死ぬ、自殺で死ぬとばかり思って生きてきた。
高校生でうつ病らしき症状をあらわし始めてから、死にたがるのは最良のストレス解消法になっていた。安易に破壊的な想像力を働かせることができるので、お手軽で、0秒で、現実を破壊したような気分になれてとても良かった。
いまも、ややもすると死にたくなる。
けれど、万葉集にあるような、「自分の命は惜しくはないが、あなたのために長い命がほしいのです」という気持ちに変わった。
自殺未遂を起こしたとき。
兄は救急車を呼び、妹はむせび泣いた。
そうして、意識を取り戻したあと、ふたりは生還を温かく喜んでくれた。
ああ、自分はなんということをしたのかと…そう思った。
こんなにも自分の命を尊んでくれる人がいる。自分が死に面した時、こんなにも感情を波立たせてくれる人がいる。
どうして、自分には愛してくれる人などいないなどと思っていたのか。
あまりにも周りが見えない、そんな自分の身勝手な思い込みに、またふたりの悲しみと喜びに打たれた。
深い愛を体現した存在が、こんなにも近くにいたではないか。
生きるということ。
それは過去に足を引っ張られ、絶望に溺れそうになること。
愛するということ。
それらすべてを包み込んで許し、解放された温かさを手にするということ。
これからも生きようと思う。
愛する人が、ずっと隣りにいてくれる限り。
ずっと隣で
不思議だよね
全く違った二人が
こうしてここに
いることが
どうやって
ここまて来たのか
自分だけなら
辿らないけど
二人の軌跡なら
知ってみたいよ
なんでだろう?
たぶんこうしてる
当たり前のような
時間が愛しくて
それでもお互い
違っていて
こうなることが
奇跡だよね
そうして思える
ずっと隣で
いつも近くに
いたいと
言えることを
一緒に居ることが難しかった
私と貴方は違いすぎた
でもこれからは一緒
私が貴方の眠りを守るから
私が枯れるまで
『樹木と人間』
お題 ずっと隣で
「お父さん、おやつ」
縁側でたまと一緒にくつろぐ夫に呼びかける。
「…今日はなんだ」
「とらやのどら焼きと緑茶よ。」
相変わらずの仏頂面だが、頬に僅かに寄った皺を私は見逃さない。
「たまも一緒におやつにしましょ。」
ぶなぁと鳴き、自然と私たちの間に挟まるたま。
おやつのチュールもお盆に乗せ、縁側へ向かう。
何十年経っても変わらぬ、お茶の時間。
この先も、貴方たちとずっと隣で。
いちめんのあをくさ
みどりのにほひ
なのはなのきいろ
つめくさのしろ
ちょうちょのやうなまめのはな
かぜはまだすこしつめたひけれど
ひのひかりはやはらかくあたたかだ
とおくにはつくしをとるひと
ひろびろとした三がつののはら
おがわのきらめき
しろっぽくかすむそら
はなあぶのかすかなうなり
やまばとがいさましくさえずっている
おうい みんな はるだぞう
ねえ、いつまでも傍にいてよ、離れないでよ
あんなに愛してるって言ったくせに
これから先、あなたに依存してた分
いったいなにで穴を埋めたらいいのかわからなくて苦しいよ
前みたいにすきって言って、いいこだって頭撫でて
私が泣いたら抱き締めて
ねえ、どこみてるの
私はそっちにいないでしょ
#7 ずっと隣で
『ずっと隣で』
君が笑ってくれたなら
少しはマシな人間になれたろうか
とうとうここまで来たね
とうとうここまで来たね
明日の朝どちらか召されてるかもしれない
明日の朝どちらか召されてるかもしれない
そんな年頃になっちゃった
そんな年頃になっちゃった
人生なんて永遠に続くもんだと
人生なんて永遠に続くもんだと
偕老同穴って言葉、知ってる?
「生きてはともに年をとり、死んではいっしょに葬られる。」っていう意味なんだって
私達、誕生日が一緒で、同い年で、小さい頃から仲良しで
だから、この先もずっと一緒だよって、そう思ってたのに
でもいいの。そっちは仕方がないわ。
でも、もう半分は手にしてみせる
今からそっちにいくね
ー容疑者の自宅から発見された遺書ー
ずっと隣で
毎朝 乗ってるバスがある
時間も席もいつも一緒だ
いつも通りにバスが来て
いつもの席に座る
そして
いつもと同じに座ってる彼女
おはよと
微笑んでくれる彼女に
会いたくて早起きを頑張ってきた
でも
もうすぐ2人とも卒業する
あぁ
このままずっと 隣で
彼女と過ごしていたい
ずっと隣で
どうしようもないくらいネガティブな気持ちが脳からとめどなく湧き出てきてしまうこの私でも、密かに隠している夢がある。
世の中を常に否定的に、疑いの目を持って見ているこの目にもそれでも見たいと思ってしまう景色がある。
それは、あたたかい家族の未来だ。
優しさ、思いやり、信頼、尊敬、そんな言葉が似合う
家族の未来。
「将来の夢はなに?」
小さい頃からよく聞くこの質問にずっと上手く答えられなかった。
周りの子達が、看護師や教師や、CAやモデルになりたいという中、私はどれもピンとこなかった。
どれになっても私は幸せになれないとわかっていたからだ。
そんなものよりも、欲しい未来があった。
それは、穏やかな家庭を持つことだった。
当時私の家庭は、喧嘩や暴力や差別、虐め、悪口や怒鳴り声、泣き声が毎日を黒く染めていた。
あたりまえの日常だった。
ドラマや映画の中の家族が、笑顔で手を繋いで旅行に行ったりしている風景を見て、私の中のあたりまえが、あたりまえじゃないことにそこで初めて気がついた。
あたたかくてふわふわして優しいその世界を夢見た。
いつかそうなれるんじゃないか、いつか家族全員がみんなを大好きになれたら、と願っていた。
それでも結局、私たち家族が信じあって思いやりを持って互いを尊重し合うことなんて到底不可能だった。
やっぱりおとぎ話なのだろうか、テレビの中に出てくるあの家族は嘘で作り上げられたものなのだろうかと、絶望した。
それでもまだ、一つの光を信じて生きてみたいと思っている自分がいる。
私がこの手で未来を作ることが出来るのならば、全てをかけて、最大の優しさやあたたかさで夢を実現してみたい。
そんな世界も本当にあったんだよ、と当時の私に伝えてあげたい。
そして、一緒に同じ夢へと歩いてくれるパートナーに出会えたなら、支え合い助け合い生きて欲しいと思う。
奇跡を信じるのなら私は1番に願っている。
あたたかくて、優しくて、ずっと隣で支えたいと思える家族に出会えることを。
#ずっと隣で
夏祭り、あの人と花火を見に出掛けた。
ほんの一瞬に咲いて消えていく
長い、長い時間をかけて作り出し
残るのはほんの一瞬
けれども私はあの人と見た花火を忘れないと思う
この一瞬は永遠に残る一瞬
かけがえのない思い出
空に咲く花火を
私はあの人とずっと隣で観ていた。
🕊️卒業が
近づくにつれ
教室の
すべての画鋲の
背が光り出す
ユキノ進✨
ずっと隣で
私はずっと過ごしていた男の子がいた。
ある日突然いなくなってしまった。
隣には、空白の席で私は嫌だった。
その空白を埋めるために、その人を必死に探した
でも…見つかることはなかった。
私は空白の席に何か意味があると
考えた結果、素晴らしい出会いが待っている!と
そう思うと、ワクワクしてきた!
ずっと隣で同じ景色を見られると思ってた
見てたものも考えてたことも
全部同じだった
驚くほどに、、、
でも最後の二文字だけが違っていた
好きです
好きでした
ずっと隣で見ていた景色
私はこれから始まる未来を、
あの人はこれから終える未来を、、、
ずっと隣で
ずっと隣に居られると思っていた。
それは、私の傲慢だったのかもしれない。
親友が離婚し、地元に帰ることになった。
今はLCCなんかもあるし、気軽に会えるよね、なんて笑って別れたのはもう去年のこと。
思い浮かびませんね!笑
基本、一人が気楽で好きです。誰かにずっと隣にいられたら緊張してしまいますし、疲れてしまいそうです。だから、ずっと隣にいたいとか、いて欲しいとかはあまり思いません
でも、ずっと1人は寂しい。誰かに隣にいて欲しい時があります
気難しい性格って思われてしまいそう。わがままって思われるかも。それも嫌だから、ちょっと我慢しています
でもやっぱりいてもいられなくなって、誰かと何かを共有したくて、綴るんです
たまにでいいので、心だけ、隣にいてください
ずっと隣で傍にいてね、とか言葉の拘束力ってほんとに怖いね
たん、とん、たん。
どこかの暗い舞台、真上から一点だけスポットライトの当たるそこ、真下にあるパイプ椅子。
ゴム対木材の断続的な接触を響かせながら、ひとり、物書きが歩いてきて、椅子に座る。
「朝っぱらに、ライブ扉ニュース見たんだ」
指を組み、視線を下げる姿勢は懺悔の様子。
「赤と緑のどんべー、具材、単品で発売らしいな」
言い終えて目を閉じると、首を小さく、左右に振り、
「……今回のお題『ずっと隣で』だったろう」
大きな、長いため息を、ひとつ、吐いた。
「腐ってんのかな俺……」
――――――
かつて物書き乙女であった、現概念アクセサリー職人たる社会人は、ローリングストックしている防災用非常食補充のため、スーパーマーケットに立ち寄り、
カップラーメンの売り場で、大きな衝撃に打たれた。
「新、商品……」
スーパーのオリジナルブランド、白のうどんに薄茶のそば、2種類だけだった麺類に、薄黄色のラーメンが参入したのである。
「わあぁ……」
その陳列が酷かった。元薔薇物語作家であった乙女を、その心を、一撃必倒のもとに打ち据えてしまった。なにもこんな並べ順にする必要は無かった。
ド真ん中である。横入りである。
ずっと隣同士片時も離れなかった白と薄茶、その間に薄黄色が、我が物顔で、堂々エントリーである。
社会人になって数年。二次創作からも離れて数年。
物書き乙女の薔薇が久方ぶりにごうと燃えた。
(駄目駄目駄目ダメだめ。今月余裕無い。ない)
白と薄茶と薄黄色の前に立ち尽くす彼女は、ふるふる小さく首を振った。脳内では金銭管理何するものぞと、創作欲求の火が盛っている。
白茶の主従に黄の理不尽か、白茶の親友に黄の誘惑か。そもそも敵か味方か三角関係もアリか。
じっと3種を見詰めて離さぬ乙女に、商品整理中の店員が、二重マスクに業務スマイルでとどめを刺した。
「おいしいですよ」
店員が言った。
「うどんのスープをアレンジしてるんです」
白(うどん)か。白(ひだり)の仲間なのか。
ずっと隣同士の白茶で、想うがゆえの白の苦悩を茶に言えず、黄が聞いて茶にそっと、白茶を壊さぬよう伝えるのか。おお、プラトニックな友情ロマンよ。
乙女の心はとうとう完全に打ち負かされ、唇を噛み締め、最終的に薄黄色を掴んだ。