ずっと隣で
どうしようもないくらいネガティブな気持ちが脳からとめどなく湧き出てきてしまうこの私でも、密かに隠している夢がある。
世の中を常に否定的に、疑いの目を持って見ているこの目にもそれでも見たいと思ってしまう景色がある。
それは、あたたかい家族の未来だ。
優しさ、思いやり、信頼、尊敬、そんな言葉が似合う
家族の未来。
「将来の夢はなに?」
小さい頃からよく聞くこの質問にずっと上手く答えられなかった。
周りの子達が、看護師や教師や、CAやモデルになりたいという中、私はどれもピンとこなかった。
どれになっても私は幸せになれないとわかっていたからだ。
そんなものよりも、欲しい未来があった。
それは、穏やかな家庭を持つことだった。
当時私の家庭は、喧嘩や暴力や差別、虐め、悪口や怒鳴り声、泣き声が毎日を黒く染めていた。
あたりまえの日常だった。
ドラマや映画の中の家族が、笑顔で手を繋いで旅行に行ったりしている風景を見て、私の中のあたりまえが、あたりまえじゃないことにそこで初めて気がついた。
あたたかくてふわふわして優しいその世界を夢見た。
いつかそうなれるんじゃないか、いつか家族全員がみんなを大好きになれたら、と願っていた。
それでも結局、私たち家族が信じあって思いやりを持って互いを尊重し合うことなんて到底不可能だった。
やっぱりおとぎ話なのだろうか、テレビの中に出てくるあの家族は嘘で作り上げられたものなのだろうかと、絶望した。
それでもまだ、一つの光を信じて生きてみたいと思っている自分がいる。
私がこの手で未来を作ることが出来るのならば、全てをかけて、最大の優しさやあたたかさで夢を実現してみたい。
そんな世界も本当にあったんだよ、と当時の私に伝えてあげたい。
そして、一緒に同じ夢へと歩いてくれるパートナーに出会えたなら、支え合い助け合い生きて欲しいと思う。
奇跡を信じるのなら私は1番に願っている。
あたたかくて、優しくて、ずっと隣で支えたいと思える家族に出会えることを。
3/14/2023, 3:42:21 AM