『この場所で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
先の未来
毎日会う友達。
これには出会いがあって、もちろん別れもある。
反対に、別れもあれば出会いもある。
出会いの時は、不安で緊張する。
別れの時は、悲しくて苦しくなる。
そして、別れの時に泣いてしまうのは、それほど
相手のことが好きだったと気付いた時。
「今日は、私と一緒に遊んでくれてありがとう。
明日もこの場所で一緒に遊ぼうね!」
「うん…。」
今でも覚えている。一人ぼっちだった私に声をかけてくれて一緒に遊んでくれたこと。
「明日は私の友達も誘うね!」
「うん…。」
うんしか答えられなかったけど、とても嬉しかった。
だけど、次の日その子は来なかった。
交通事故だったらしい。昨日の夕方、横断歩道を渡っていた時にトラックに轢かれて亡くなってしまったと。
私は信じられなかった。
もう一度、一緒に遊びたかったな。
毎朝同じ電車で会う彼。
同じ時間、同じ車両、同じ席。
たまに違うこともあるけど、だいたいいつも同じ。
電車に乗り込む時、真っ先に彼を探す。
今日も会えた。嬉しい。
そして座る彼の前をキープ。
彼の前は絶対に譲りたくない。
2駅先で降りる彼を、今日もこの場所で待つ。
小高い丘の上に立つ一本の木。
太い幹にもたれかかり、空を仰いだ。
青々とした葉の隙間から降り注ぐ光の粒に目を細める。
あの時も、こんな風にここで君を待っていた。
約束などしていない。
君が嫌うから。
―――そんなものなくたって、僕たちは出会えるんだよ。
まるで当然のように言う。
だから、私も当然のように感じてしまう。
「ほらね」
懐かしい声に、頬が緩んだ。
「僕たちはちゃんと出会えるんだよ」
君が勝ち誇ったように笑うから、私は幸福に包まれる。
「この場所で」
あの日のこと覚えてる?
あれは資格試験の直前
冬の寒空の中、
わざわざエンピツを届けにきてくれたね。
一緒に食べたお汁粉
他愛もない会話だったと思うけれど
心底温まったよ
あれから10年後
こうして父と母と
また今日冬の寒空の中この場所で
他愛もない会話と土鍋の湯気が私を温める
ショコラ
この場所で言った、
「僕と付き合ってください...」
この場所で約束した、
「高校が別でも浮気は絶対にしないことっ!」
この場所で再開した
「久しぶりっ!元気にしてたぁ?笑」
この場所で勇気を出した
「僕と...結婚してくださいっ!」
この場所で誓った
「病める時も健やかなる時も君を愛し、君を慰め、助け、この命ある限り真心を尽くすよ...。」
この場所で絆を育んだ
「パパ、ママ見てみてお花見つけたのっ!」
「おぉ、綺麗だなぁ」「そうねー、ほんとに綺麗」
この場所で成長を知った
「あいつももう大人かぁー、」「早いものですね...」「いい親でいられたかなー...」
クスッ「えぇきっと。」
この場所で...別れた
「最後まで一緒に居れなくてごめんな、」
「っ、えぇっ、もっと...あなたと一緒に...
居たかったわっ...」
この場所が僕の人生だった。
この場所で
この場所で
どこでもいいけど
ここに出会って良かった
なんとなく続いていて
それとなく毎日、書いてる
ここだから出会う言葉
この場所はこの場所でいい
とりあえず今日も書いてみる
そんな挑戦、習慣になっている
たまたまこの場所があって
たまたま出会って
たまたま続いている
それは誰かのお陰である
こんなこと、それほどはない
だけど沢山の場所がある
たまたまってのは
この場所が継続してたから
だから偶然に出会えた
あなた達もそんな賜物の一部
この場所で生きていく。
そう決めたから、私は今日も戦う。
もう後には引けないから、どんなことだって乗り越えてみせる。
この人と生きていく。
そう決めたから、私は持てる全てで守り抜く。
この暖かい居場所は失くせない。
この一生を、私は生ききる。
居心地のいい
この場所で
居心地の悪い
あの場所へ
もう一度思いを馳せる
《この場所で》
この場所で
色々な感情を知った
色々な思い出ができた
それがいいことなのか
悪いことなのかは、わからない
しかし、ここで成し得てきたことや
できた多くの人たちとの縁
その全てが悪だとは思えなくて
しかし同時に苦しみ
多くの感情を持て余し
いつしか感情が涙として溢れるようになった
そんなこの頃
会えますように 会えますように
祈ったわたしに奇跡をくれた
大きな椎の木 太いしめ縄
通るたびに ありがとう
「この場所で」
#329
この場所
この場所、思い出の場所。
私はここにくると元気がでる。
落ち込んだらくるようにしてる。
この場所で君と出会ったこと。
この場所で君と笑ったこと。
この場所で君と約束したこと。
この場所で君と朝日を見たこと。
もう君はいないけど、僕はずっと覚えてるよ。
大好きな君とたくさん話した場所。
君との思い出がこの場所に溢れてる。
『この場所で』
もっと違う場所で、違う自分で、違う人生を生きたかった
こんなしょぼくれた人生じゃなく
…なんて思ったりするけど、それは無理な話
気に入らなくても、この自分で、この場所で生きていくしかないんだ
いつか、ここでよかったと思えるような、そんなささやかな出来事が起こることを願って、今夜も眠りにつこう
この場所に
生きているから
出会えた奇跡。
サヨナラの時はもうすぐかもしれないけど
きっとこのご縁は続いていく
そう信じたい。
#この場所で
突然の辞令だった。
でも良いタイミングだとも思った。
この場所で一からやり直そうって腹を括った。
はずだった。
出張と称して彼女は自分の前に現れたのだ。
「久しぶりだね。元気にしてる?」
***
同期入社の彼女。
面接の頃から意気投合し、励まし合い、よく飲みにも行った。
頑張り屋で前向きな彼女に惚れるのに時間はかからなかった。
お互いが居たから頑張れたと言い合った日もあった。
趣味の映画鑑賞でも話しが合い、あの映画気になるよね!となれば2人で休みの日に観に行ったりした。
帰りにカフェで感想話し合うのも楽しかった。
彼女の誕生日、欲しかったと話していたプレゼントも用意した。
意を決して告白したのだ。
でも返事は
「ごめんなさい」
「実は大学の頃から同棲している恋人がいるの」
嘘だろ??
こんな事ってあるのか??
半年以上時間あって、たくさん色んな話したけどそんな話出てこなかったじゃないか。
他の同期や女性社員からもそれとなく話も聞いてもらったのに。
意図せず無理やり誘って迷惑掛けてたら嫌だったし。
人間不信とはこの事だ。
だから、転勤も渡りに船だったのだ。
***
「不慣れながらも何とかやっているよ。そっちは?」
何とか平静を装って返す。
「私、あなたに頼りきっていたみたい。でも、心配掛けないように頑張るわね!」
変わらないな、と思いつつ苦笑する。
実は、他の人からも話を聞いている。
周りに俺との話しが回っていて少し居心地悪いらしい。
飲みに行くのも遊びに行くのも特に周りに隠していなかったし、俺の好意はバレバレだったみたいだからな...
「まあ、お互い頑張ろうな」
あっさり流すくらいには、気持ちは吹っ切れたはずだ。
この場所から、前に進むんだ。
[この場所で]
あなたと一緒に過ごした場所、
成長できた場所、
思い出がたくさんあるから、離れたくない。
ずっと、この場所にいたい。
いつまでもあなたとずっと一緒にいたい。
#この場所で
積み重ねた
出逢いと別れが残したもの
要らないと捨て去ってもの
消したくても消せない記憶
心を揺さぶる言葉
私の生きてる場所は
めまぐるしく色やかたちを変えながら
私を変えていく
与えられた場所に
生きる意味を探しながら
あるべき自分を見つけたいと…
長い長い時間の中で
まだこれ以上何を探すのかと
虚空を見つめる日もあるけれど
この場所で笑い
この場所で悲しみ
自分を抱きしめていく
生きるということに
怯えながらも
この場所で
『10年後!また、この場所で会おう!』
そう言った君は、10年後になった時も、20年経った今も、この場所にはいない。
君は、どこに行ってしまったの?
あの時の約束は、どうなったの?
君がいない春がやってくる。きっと、来年も、再来年も、10年後も。この場所には、一人の春が訪れる。
俺は、何をしているのだろう。そりゃ、10年前の約束なんて、覚えてないだろうし、もっとたってしまった今、君がくるはずもない。
「何、やってんのかな。俺…」
目の前に咲く満開の桜。なんでも、樹齢500年を超えるらしい。
立派に咲く恋色の花を見上げる。さぁ…と、風が吹き抜けて、花弁を運んでいく。
君の元へ届くかな…なんて、考えながら、ぼーっと、眺める。
隣に誰かがやってきた。
「綺麗ですよねぇ、この桜」
話しかけてきた人は、懐かしそうな目で桜を見ている。
「えぇ、本当に。ここで、20年も前の約束のために、毎年やってきてるんですよ。馬鹿ですよね、俺も」
いつまで経ってもやってこない君を思いながら、そんなことを呟く。
「えぇ、本当に。馬鹿ね、あなたも。約束を守るところなんて、変わらないんだから」
泣きそうな声で、馬鹿だと言われたが、彼女の発した言葉に反応して、勢いよく隣にある顔を見る。
そこには、20年前とは大人びて、変わってしまった顔が、20年前と変わらない子供っぽい笑顔を浮かべて、笑いかけていた。
【この場所で】
貴方は覚えているかな
この場所で初めて出会ったこと。
貴方は覚えているかな
この場所で初めて恋をしたこと。
【この場所で】
幼い頃家の前にある小さな池が大好きだった
アメンボなんかが浮いていて
雨の日はどんよりとし黒く染まってしまうけれど
朝起きると雲ひとつ無くて
何より、まだ雨が乾ききっていない中
水面に映る青い空が好きだった
からっとした夏を思わせるようで
この青い空はどこまで続くんだろうとか
なんだか私たちが住む街だけ丸く囲まれているようだなとか
大学生になり私はこの家を離れていた
新幹線で3時間かかる場所にある新しい家は
少し古くさい築50年の家で木の匂いが鼻を掠めた
幼い私が思っていたより空は広く続いていて、
どこまでも広く広く私たちを覆っていて
それでいてどこか寂しい気持ちにさせた
あれから何年経っただろうか
意見の食い違いで父と酷く言い争い、
あの家には帰らなくなってしまった
まだあの家の池にはアメンボはいるだろうか
まだ広く青い空を水面に映してくれているだろうか
あの町は、
もう私の知らない景色になってしまっているのだろうか
帰ろう、あの場所へ
3時間の新幹線で流れゆく景色は
鮮明に、だけれどどこか曖昧で
溢れ出すほどの記憶を思い出させた
ただいま、私の大好きなこの場所でまた会えてよかった