No.333『届いて……』
先週の土曜日、祖父が亡くなった。
私たちがお見舞いにいった一時間後に亡くなった。
私はこれまでにたくさんの「死」を題材に書いてきたけど、実際に失うのは初めてのことで、失う辛さ、苦しみ、痛み、悲しみのどれもが理解できていなかったことを知った。
今日はお葬式の日で、祖父の顔を見ることができる最後の日で、すでに亡くなっているおじいちゃんに届くように必死に手を合わせて、必死に今までの感謝を心の中で伝えた。
……ちゃんと届いたかなあ…?私、お見舞いにいった時、思ってた以上の変わりきったおじいちゃんの姿に泣かないようにするのに必死で声もかけてあげられなかった。でも、今度はちゃんと届いたかなあ…?
『最後の声』
君の最後の声を覚えてる。
………恨んでくれればよかったのに
No.331『空はこんなにも』
下ばかり向いて歩いてた私はふと上を向いてみた。
雲ひとつない晴天。
ああ、綺麗だなあ。
また次の日も同じことをした。
曇り空。
灰色……でも、なんだか綺麗だなあ。
他にもたくさんの空が見たくなって何度も見上げた。
雨、晴れ、夕暮れ、夜明け、夜空。
空は全てが綺麗だった。
空はこんなにも綺麗なのだから、明日はどんな天気になるのかを楽しみに生きていこうかな…。
No.330『子供の頃の夢』
子供の頃の夢は大人になったら消えてしまう。
夢を捨てないと大人にはなれないから。
夢を捨てないと生きるのが難しくなるから。
……でもきっと夢を持っていたあの頃の方が私は輝いていたと思う。
おかしい世界だよね。夢を持ち続けていたら生きづらい世界のくせに、夢を持った人が輝いて見えるんだから。
夢って、何なんだろうね?
No.329『届かないのに』
なんで私は絶対に届かないって分かってるのに手を伸ばしてしまうんだろう。
…しょうがない。それが私の性分だから。
だっていつかは届くかもしれない。
私は未来だって分からなければ、すぐに来る明日すら何があるのか分からないのだから、絶対なんて私には分からない。
この手を伸ばし続ける限り、可能性は一ミリくらいはある。
もし、一ミリしかないと思ってそこでやめるなら私が届かないと思っていたものは私にとって大したものじゃなかったということだ。
でも、その一ミリにかけて頑張ろうとするなら、私はお前を応援してやる。
だから、諦めるなよ、私。