No.305『物語の始まり』
物語の始まりが怖かった。
だってその物語を面白くするにはいつだってその主人公が不幸にならないといけなかったから。
最後が幸せで終わる物語であっても、その途中で起きたこと…自分の心に深く刻まれたであろう傷は消えないはずなのに主人公はいつだって最後に笑ってた。
それを見るたびに私はこんな人間になれないんだと思い知らされる。
私はどんな人間になりたいかさえも分からなくなっていくんだ。
No.304『静かな情熱』
情熱は移り変わってしまう。
仕方ないとは思うけど完全に情熱を捨ててしまうのは嫌で、私は静かに情熱を燃やす。
それを何度も繰り返していたら、私は本当に好きなものが分からなくなってしまった。
No.303『春恋』
新たな年度の始まり。
入学、入社、クラス替え。
様々な出会いがまた始まった。
出会って別れてを繰り返して、いつか私を愛してくれる人を見つけられるといいなぁ。
No.302『未来図』
学校の先生たちは「自分だけの未来図を描きなさい」と言う。
大学のランクなんて関係ない、大事なのは自分がその大学で何を学びたいかだ。
なんてことも言う。
私もそうやって大学を選びたいよ。
だけど、大学のランクが低いことを世間が許してくれないじゃない。
自分で選んだ道は「低学歴」なんて言われて自分の足枷になるんでしょ?
じゃあ、自分で選ぶってなんなんだよ。
誰の言ってることが正解で、私は誰を信じればいいの?
いやだよ、こんな矛盾しかない世界。
No.301『ひとひら』
私が人生を一言で表すなら「ひとひら」のようなものだと思う。
些細なことで壊れて消えていってしまう、薄くて平らなもの。
この人生をどうやったら彩れるだろう。
こんなことを考える私は「ひとひら」でいることを否定しているんだ。
納得できても肯定することはできない。
ほんと、面倒くさい人生だな。