No.293『好きだよ』
「好きだよ」の一言すら言うことを許されない僕。
だって僕はもうすぐ死ぬんだ。
こんな人間に好意を伝えられたって彼女は迷惑に思うだろう。
だからこの想いは墓場まで持っていく。
たとえ彼女の想いが僕と同じものであろうとも絶対に言ってはいけない。
だって僕が願うのは、僕の想いが叶うことじゃなくて、彼女が幸せでいてくれることなんだから。
さあ、僕のことは忘れて、君は新たに大切な人を見つけて幸せになって。
…声に出すことが許されなくても心の中で言うのは許されるよね?
ねえ、好きだよ──。
No.292『桜』
今日は学校の入学式があるらしい。
外を見ると晴れの空と風に舞う桜の花びら。
なんでかは分からないけど…卒業式とか入学式に桜が咲いてたらちょっと嬉しいよね。
入学式に参加してる人もそう思ってるといいな。
No.291『君と』
君といられればなんでも良かった。
これは僕のたった一つのわがままだった。
君といたい。それだけが僕が神に望んだこと。
他には何もいらない。
全部全部誰かに奪われたっていい。
君といられればそれだけで……。
それなのに現実は残酷だ。
僕のたった一つの願いすら叶えてくれない。
ああ、もういい…もういいよ。はなからこの世界に期待なんかしてない。
この世界が僕と君を引き裂くなら自分で君の元に行って君を離さないようにしっかり手を繋いでいるだけだから。
じゃあ、さようなら、世界。もう二度とこんなくそみたいな世界に生まれ変わりませんようにっ!!!!
No.290『空に向かって』
意気地なしでごめん。
君からの愛を当然だと思って、僕からは愛の言葉なんて気恥ずかしさから伝えられなくて。
でも……
「っこれからもずっと愛してる!!」
空に向かって叫ぶ。
どうか…どうか天国まで届いてくれ。
No.289『はじめまして』
生きている限り「はじめまして」は必ずやってくる。
そして、その「はじめまして」の分だけ別れも必ず訪れる。
それはきっと生きている者の定めだ。
私は時々考えることがある。
最後の別れは笑顔で迎えればいいのか、涙で迎えればいいのか。
私はなるべく笑顔で迎えたい。だって、最後に見せる顔が泣き顔なんてカッコ悪いから。私はもう大丈夫だってちゃんと生きていけるんだって示すために笑顔で別れたい。
と、まあここまでいろいろ言ってきたけど私は多分泣いちゃうんだ。どんなにカッコつけたくても、やっぱりお別れは寂しいし悲しいから。
ねえ、みんなはどう思う?