あなたがいたから、私は色んなことを学ぶことが出来た。
色んなものを手に入れた。
その分、失ったものもきっとあったけど。
それなのに、あなたがいなくなったら、私の手には何が残るのでしょう。
出会いには、別れは付き物。
でも、別れるべき人は、あなたでは無いってずっと思ってたのに。
あなたがいたから、当たり前が当たり前じゃないことに気づけた。
今更気づいても遅い。
私は1人で、あなたと共に歩いた道を、寂しくとぼとぼと歩むのです。
『約1時間後に雨は止むでしょう』
スマホの画面にはそう書かれている横に、雲と雨のマークが書かれている。雨が降るのは夜だと聞いていたから、私は傘を持っていない。
1人、教室の隅っこの席で時間を潰していると、その隣の席に1人の女子が座ってきた。
「どうしたの、今日は部活ないんじゃないの?」
ニヤニヤしながらそう言うこの人は、私の友達。多分、私が傘を持っていないということを分かっていて、わざと聞いてきたんだろう。
「別に。そっちこそ、まだ帰ってなかったの?」
「部活あったんだけど、顧問が用事あるらしくて部活なくなってさ。今から帰ろうとしたら、貴方がいた訳」
「ふぅん……」
「で、私に何か言うことあるでしょー?」
いやらしくそういう貴方は、とても可愛らしくて、どこか憎めない。
「傘を貸してください」
「しょうがないなー!じゃあ今日は相合傘だね!」
「小学生じゃないんだから……」
「えー?私は相合傘好きだけどなぁ。青春って感じがするじゃん」
「意味わかんないし。ほら帰ろ」
私はすぐに立ち上がって、荷物を持って教室を後にした。彼女は待ってー!と言いながら後ろから着いてくる。
彼女の手には、私とお揃いで買った色違いの、水玉模様の傘が握られていた。
ずっと上昇していくのって、とても難しい。
「今の私は落下してるっぽい」
「何かあったの?」
「なんか、頑張るのがバカバカしくなってきた」
彼女は吹奏楽部をやっていて、コンクールに向けてたくさんの練習を積み上げてきた。
結果は、ダメ金という、金賞は取れたけど、上の大会にはいけない賞を貰ったらしい。
「あんなに頑張ったのに。やっぱ、私には無理だったのかな」
私は知ってる。彼女がどれだけ頑張ってきたのかを。
無理なわけがないことを。
「今は、休憩期間なだけだよ」
「でも、飛ぶのを辞めたら地面に落ちちゃう」
「違うよ。さらに高く飛ぶために、力を貯める期間なの。今は」
「そうなのかなぁ」
貴方の気持ちも落下気味なのかも。
落下するのは、悪いことだけじゃない。
未来って、不確かなもの。
「貴方は自分の未来に希望を持ってたりする?」
「いいや、全然」
意外だと思った。
いつもポジティブで、前向きな貴方が、未来に希望を持っていないわけが無いと、どこかで勝手に思っていたから。
「どうして?」
「この先何が起こるかわからないから。急に、貴方が居なくなってしまうかもって、思うから」
そんなこと言ったって、私が貴方の前から消えることなんかないのに。そんなこと心配しなくたっていいのに。
でも、未来という不確かなものを前にしたら、そんなこと言ってられないかもしれない。
私は未来に対して、無頓着だったのかもしれない。
「欲しいものは全て手に入れてしまったから、もうあとは、失うだけ……そんな未来は嫌いだけど、しょうがないよね」
悲しそうに笑う貴方、今日はあまりお酒が減っていないようです。
1年前、新しい環境にビクビクと怯えてた。
友達が近くにいたけど、それでも怖かった。
でも、今は怖くない。
友達は近くにいないし、部活仲間もクラスにいないけど、何とかやっていけてる。
1年前より、成長したかな。
スマホを変えたので、新しくアカウントを作りました。
引き継ぎが上手く出来なかったのです……。
By.ここ