『約1時間後に雨は止むでしょう』
スマホの画面にはそう書かれている横に、雲と雨のマークが書かれている。雨が降るのは夜だと聞いていたから、私は傘を持っていない。
1人、教室の隅っこの席で時間を潰していると、その隣の席に1人の女子が座ってきた。
「どうしたの、今日は部活ないんじゃないの?」
ニヤニヤしながらそう言うこの人は、私の友達。多分、私が傘を持っていないということを分かっていて、わざと聞いてきたんだろう。
「別に。そっちこそ、まだ帰ってなかったの?」
「部活あったんだけど、顧問が用事あるらしくて部活なくなってさ。今から帰ろうとしたら、貴方がいた訳」
「ふぅん……」
「で、私に何か言うことあるでしょー?」
いやらしくそういう貴方は、とても可愛らしくて、どこか憎めない。
「傘を貸してください」
「しょうがないなー!じゃあ今日は相合傘だね!」
「小学生じゃないんだから……」
「えー?私は相合傘好きだけどなぁ。青春って感じがするじゃん」
「意味わかんないし。ほら帰ろ」
私はすぐに立ち上がって、荷物を持って教室を後にした。彼女は待ってー!と言いながら後ろから着いてくる。
彼女の手には、私とお揃いで買った色違いの、水玉模様の傘が握られていた。
6/19/2024, 12:27:09 PM