ななせ

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4/7/2024, 12:35:41 PM

君だけを一生愛してる
いや
駄目だ
俺がそんな事を言ってはいけない
今までだって
証明できなかった
それを言う資格は無い
やめろ
好きだ好きだ
あっちへ行け
あっちへ行ってしまえ
もう俺へ近寄るな 
そうだそのまま 
二度と振り向くな
もうやめろ
夕日のような髪を見るのは辛いんだ
どうせ夕日なら
沈んでしまえ
沈んでくれ
頼むから朝日になって上らないでくれ
どうせいなくなるのなら
初めからいない方が


お題『沈む夕日』

4/6/2024, 1:29:44 PM

僕は君の目が好きだ。
冬の湖みたいに冷たい、氷の瞳。
友達は恐ろしいと言っているけれど、僕はあの瞳が好きだ。
君は中身も氷みたいで、堅くて冷ややかな癖に触れると溶けてしまいそうなくらい弱い。
けれど、芯は強い。
そんなアンバランスさに、僕は惹かれたんだ。
ああ、でも、あいつを眺めると、君の目は氷じゃなくなるんだ。そう、例えば春の空みたいに暖かく優しく包み込む、聖母のような眼差し。
その目を見ると、僕の心は氷の破片が刺さったようにチクリと痛む。
君のその目が、何かの間違いでこちらに向けられたら良いのに。
そんな事を考えながら、今日も君を見つめている。


お題『君の目を見つめると』

4/5/2024, 1:20:59 PM


   星空の下で、あなたが話してくれたおとぎ話。
   自作だったから毎回内容が変わって、リクエ
   ストしない限り同じ話が出てくることはまず
   ありえなかった。
   宙を舞うティアラに、踊り出すポット。触れ
   るたび色が変わる虹色きのこだって出てきた。
   けれど、その奇妙キテレツな物語を締めくく
   るのはいつも陰鬱なピエロで、それが変わる
   ことだけは絶対になかった。
   全ての物には、決まって終わりがある。今は
   煌めき囁く星だって、いつかは死ぬ。
   あなたは不思議な人だったけど、やっぱり、
   その決まりからは逃れられなかった。
   今の私は、あなたの行動をなぞっている。
   砂漠で会った少女に、自作の物語を聞かせて
   やった。
   真っ黒い瞳を輝かせて、もっと話せと急かし
   てくる。
   その少女は物語にいちいち質問を投げかけて
   くるから、話がちっとも進まない。
   あなたと過ごした一ヶ月。聞いたおとぎ話の
   数は三十話。
   私がその話数を話し終えるまで、何ヶ月かか
   ることか…。


         お題『星空の下で』

4/4/2024, 1:03:59 PM

愚かな子供は可愛いねえ
私が教えてあげるから
うん
勉強もさせてあげる
おいしい料理も食べさせてあげる
子供の作り方も教えてあげる
可愛いねえ可愛いねえ
私が正しいんだから
この世で一番正しいんだから
お前はただ雛鳥のようにしていなさい
そうよそれでいいの
そうしていれば餌を貰えるのよ
お前の姉さんは賢かったから
だからいないのよ
あれはもういないのよ
お前は愚かだから
私とここで暮らすのよ
嬉しいねえ
誰よりも大好きな私と一緒
分かったらさっさと泣き止みなさい
私が次来る時までそのままだったら
お前も姉さんのようにしてやるから


お題『それでいい』

4/3/2024, 1:36:55 PM

    何でも一つだけ貰えるなら、わたし、
    あなたの心臓が欲しいわ
    綺麗なリボンを解いて、きらきらした
    包装をゆっくり外して、そこから出て
    きたドクドク脈打つ拳大の内蔵にキス
    するの
    あなたの心臓はね、いつまでも暖かい
    ままなの
    太陽よりも熱くって、月よりも優しい
    あなたの心臓
    宝石箱に入れたら、きっと綺麗でしょ
    うね
    赤と青の血脈がぴくぴくして、私の心
    臓も横に並べてくれって訴えるのよ
    でも、まだあげないわ
    私の心臓はあなたと違って、すぐに止
    まっちゃうんだもの
    どうせすぐにあげるんだから、寿命が
    尽きるその日まで堪能させてね


        お題『一つだけ』

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