君だけを一生愛してる
いや
駄目だ
俺がそんな事を言ってはいけない
今までだって
証明できなかった
それを言う資格は無い
やめろ
好きだ好きだ
あっちへ行け
あっちへ行ってしまえ
もう俺へ近寄るな
そうだそのまま
二度と振り向くな
もうやめろ
夕日のような髪を見るのは辛いんだ
どうせ夕日なら
沈んでしまえ
沈んでくれ
頼むから朝日になって上らないでくれ
どうせいなくなるのなら
初めからいない方が
お題『沈む夕日』
僕は君の目が好きだ。
冬の湖みたいに冷たい、氷の瞳。
友達は恐ろしいと言っているけれど、僕はあの瞳が好きだ。
君は中身も氷みたいで、堅くて冷ややかな癖に触れると溶けてしまいそうなくらい弱い。
けれど、芯は強い。
そんなアンバランスさに、僕は惹かれたんだ。
ああ、でも、あいつを眺めると、君の目は氷じゃなくなるんだ。そう、例えば春の空みたいに暖かく優しく包み込む、聖母のような眼差し。
その目を見ると、僕の心は氷の破片が刺さったようにチクリと痛む。
君のその目が、何かの間違いでこちらに向けられたら良いのに。
そんな事を考えながら、今日も君を見つめている。
お題『君の目を見つめると』
星空の下で、あなたが話してくれたおとぎ話。
自作だったから毎回内容が変わって、リクエ
ストしない限り同じ話が出てくることはまず
ありえなかった。
宙を舞うティアラに、踊り出すポット。触れ
るたび色が変わる虹色きのこだって出てきた。
けれど、その奇妙キテレツな物語を締めくく
るのはいつも陰鬱なピエロで、それが変わる
ことだけは絶対になかった。
全ての物には、決まって終わりがある。今は
煌めき囁く星だって、いつかは死ぬ。
あなたは不思議な人だったけど、やっぱり、
その決まりからは逃れられなかった。
今の私は、あなたの行動をなぞっている。
砂漠で会った少女に、自作の物語を聞かせて
やった。
真っ黒い瞳を輝かせて、もっと話せと急かし
てくる。
その少女は物語にいちいち質問を投げかけて
くるから、話がちっとも進まない。
あなたと過ごした一ヶ月。聞いたおとぎ話の
数は三十話。
私がその話数を話し終えるまで、何ヶ月かか
ることか…。
お題『星空の下で』
愚かな子供は可愛いねえ
私が教えてあげるから
うん
勉強もさせてあげる
おいしい料理も食べさせてあげる
子供の作り方も教えてあげる
可愛いねえ可愛いねえ
私が正しいんだから
この世で一番正しいんだから
お前はただ雛鳥のようにしていなさい
そうよそれでいいの
そうしていれば餌を貰えるのよ
お前の姉さんは賢かったから
だからいないのよ
あれはもういないのよ
お前は愚かだから
私とここで暮らすのよ
嬉しいねえ
誰よりも大好きな私と一緒
分かったらさっさと泣き止みなさい
私が次来る時までそのままだったら
お前も姉さんのようにしてやるから
お題『それでいい』
何でも一つだけ貰えるなら、わたし、
あなたの心臓が欲しいわ
綺麗なリボンを解いて、きらきらした
包装をゆっくり外して、そこから出て
きたドクドク脈打つ拳大の内蔵にキス
するの
あなたの心臓はね、いつまでも暖かい
ままなの
太陽よりも熱くって、月よりも優しい
あなたの心臓
宝石箱に入れたら、きっと綺麗でしょ
うね
赤と青の血脈がぴくぴくして、私の心
臓も横に並べてくれって訴えるのよ
でも、まだあげないわ
私の心臓はあなたと違って、すぐに止
まっちゃうんだもの
どうせすぐにあげるんだから、寿命が
尽きるその日まで堪能させてね
お題『一つだけ』