星空の下で、あなたが話してくれたおとぎ話。
自作だったから毎回内容が変わって、リクエ
ストしない限り同じ話が出てくることはまず
ありえなかった。
宙を舞うティアラに、踊り出すポット。触れ
るたび色が変わる虹色きのこだって出てきた。
けれど、その奇妙キテレツな物語を締めくく
るのはいつも陰鬱なピエロで、それが変わる
ことだけは絶対になかった。
全ての物には、決まって終わりがある。今は
煌めき囁く星だって、いつかは死ぬ。
あなたは不思議な人だったけど、やっぱり、
その決まりからは逃れられなかった。
今の私は、あなたの行動をなぞっている。
砂漠で会った少女に、自作の物語を聞かせて
やった。
真っ黒い瞳を輝かせて、もっと話せと急かし
てくる。
その少女は物語にいちいち質問を投げかけて
くるから、話がちっとも進まない。
あなたと過ごした一ヶ月。聞いたおとぎ話の
数は三十話。
私がその話数を話し終えるまで、何ヶ月かか
ることか…。
お題『星空の下で』
4/5/2024, 1:20:59 PM