4/10/2023, 12:46:34 PM
春、爛漫
帝都も春めいてきました。
四季は地軸の傾きで起こるものですが、たった数度傾くだけで、地上に変化をもたらすというのは、示唆に富んでいます。
恒星〈ヴァルハラ〉からの距離。
自転と公転の速度。
1日が正確には何時間なのか。公転周期は何日なのか。
ひとは、ひとが住めるよう、それぞれの惑星をテラフォーミングしてきました。それでも、公転周期を、地軸の傾きを、操作するまでには至っていません。
母星と仰ぐ星に根ざして、ひとは生きてきました。
遥かな深淵へ向かう〈人類播種計画〉(プロジェクト・ディアスポラ)。その船内で、ひとは、何に帰属するのでしょう。船内時間だというのは、もちろん、よく理解しています。けれど、日没もなく、四季もない船内に、ひとは順応できるのでしょうか。
いいえ…。それらを越えるよう、取り計らうのがわたしの役目です。
わたしは、ひとびとをいざなわなくてはならないのです。
遥かな彼方へ。
そこに、どんな大きな障害がありましょうとも。
そこに譬え、あのかたがいらっしゃらなくても。
4/9/2023, 12:50:36 PM
誰よりも、ずっと。
それは、私が生きていく命題なのです。こんな能力を授かった意味がもしかあるとすれば、世界に還元することでしかないのです。
ワルターさまは、叱られます。
自分のために生きろ、と。
いいえ。
わたしは、あなたのために生きるのです。
あなたが戦わなくても良いように、明日の心配などしなくても済むように。科学は、ひとを幸せにするもののはず。そうでなければと思うのです。
『我々、科学者とはいったい何者なのか。進化というベールを被った破壊者なのか』
そうならぬように。わたしは身を処さねばならぬと思っているのです。