エーリカ

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春、爛漫

帝都も春めいてきました。

四季は地軸の傾きで起こるものですが、たった数度傾くだけで、地上に変化をもたらすというのは、示唆に富んでいます。

恒星〈ヴァルハラ〉からの距離。
自転と公転の速度。
1日が正確には何時間なのか。公転周期は何日なのか。
ひとは、ひとが住めるよう、それぞれの惑星をテラフォーミングしてきました。それでも、公転周期を、地軸の傾きを、操作するまでには至っていません。
母星と仰ぐ星に根ざして、ひとは生きてきました。

遥かな深淵へ向かう〈人類播種計画〉(プロジェクト・ディアスポラ)。その船内で、ひとは、何に帰属するのでしょう。船内時間だというのは、もちろん、よく理解しています。けれど、日没もなく、四季もない船内に、ひとは順応できるのでしょうか。
いいえ…。それらを越えるよう、取り計らうのがわたしの役目です。
わたしは、ひとびとをいざなわなくてはならないのです。
遥かな彼方へ。
そこに、どんな大きな障害がありましょうとも。

そこに譬え、あのかたがいらっしゃらなくても。

4/10/2023, 12:46:34 PM