「 ふぅ。」そう深呼吸をし、目を開く。
空は怖いほど青く澄み、レースのカーテンが心地よく揺れている。
「それでは。開始。」
その声とともに一斉に紙捲る音が鳴り響く。
勉強しようとして寝てしまった私。
範囲も知らない。課題もやっていない。この状況で何処まで行けるのか。
もう一度深く深呼吸をし、問に向かってゆっくりと剣を抜いた。
「心の深呼吸」ўциа
友達とご飯を食べに行くことになった今日。
色は茶色くよどみ、雑音にしか聞こえなかった落ち葉の道を歩く私。
全てを諦め心の淵でしゃがみ込んだ私に、なんの躊躇いもなく手を伸ばしてくれたあなた達。
3人で永く永く話し、空にあった淡い碧を含んだ月は橙色に鋭く輝く弓張月へ変わっていた。
周囲は色を失い暗闇に染る中。帰りの落ち葉だけは、月光に照らされ朱、橙、黄と淡く輝いていた。
この淡光はあなたたちが差し伸べてくれた慈しい灯り。
「枯れ葉の道」ўциа
虹色の炎を纏ったイノシシ。水光を背に受け、深海へと誘う50mの鯨。湖の真ん中で沈んだ学校。水晶を隠した古いレンガの図書館。美しい夜空の下、都市の真ん中に佇んだお菓子屋さん。湿地の先にある朝霧に包まれた緑鮮やかな谷の城。
まだ見ぬ場所を夜、鍵で開けて旅することが私の日常だった。
あそこに行くことが私の全てでずっと続くことだと思ってた。
でもいつからか私はその鍵を使えなくなってしまった。いくら開けようとドアを叩いても、その後に待つのは朝の光だけだった。
いつからあそこへ行く鍵をなくしてしまったんだろう。
いつからあの世界に拒絶されてしまったんだろ。
私にはもうあそこへ行ける鍵を持ち合わせていない。
まだ私はあなたたちといたいのに。
「君が隠した鍵」 ўциа