「何気ないふり」
「こうしなさい」
と言われたら
そのとおりにする
相手も命令だと分かっているから
「こっちの方がいいんじゃない?」
と言われたら
何気ないふりをして
自分で選んだふうを装う
相手はアドバイスだと思ってるから
「好きなようにしなさい」
と言われたら
何気ないふりをして
自分で望んだように見せ
顔色を伺い正解を探る
相手は命令だと気づいていないから
そしていつしか
何気ないふりは
自分を欺く
「自ら望んでいる」
と思い込む
相手の望みが
自分の望みに
すり替わり
気づかない
「ハッピーエンド」
物語には終わりがある
ハッピーエンド
バッドエンド
見た人によって違うこともある
物語の終わりを知るのは
まだ生きている
観客であるわたし
人生にも終わりがある
おそらく それはわたしの消滅
物語と違うのは
終わりを見届ける
わたしがいないこと
それならやっぱり
人生は終わりが見えない
かもしれない
ある人は言う
もしあなたが生きたまま
あなたの消滅を目撃したら
やっと人生を終えることができると
なるほど解脱こそが
ハッピーエンド
なのかもしれない
「見つめられると」
ただひたすらに見つめる
光の輪郭
境界線の内側
薄く透ける血液
骨の構造
肉の下の凹凸
大腿骨の支え
奥にある感情は
期待と憂いの色
影の表情
筋繊維の向き
腱の付け根
ふくらはぎの隆起
全体と部分の繰り返し
フラクタルな構造
私はバラバラにされ
理解されてしまう
あなたを見つめ返すのは
受容へのささやかな抵抗
「My Heart」
朝日にある 全ての色
透けた体 風が過ぎてく
冷えた肌 山が見える
樹の影が 夕日に映えて
今も聞こえるあなたの声
今も感じるあなたの香り
呼んでほしくて
包んでほしくて
My Heart
あなたの欠けら探して
揺れる電車 胸の鼓動
グミをひとつ 手のひらへ
揺れるボート 触れる肩
気づかない フリしてる
今も浮かぶあなたの姿
今も感じるあなたの温度
見ててほしくて
話してほしくて
My Heart
あなたの欠けら探して
ところにより雨
静寂の雨には
ところどころで出会う
独り駅のホーム
歯磨き
コピー機の前
湯沸室
更衣ロッカー
運転席
電子レンジ
シャワー
長い廊下
ふと訪れたその静雨は
鎧のつなぎ目へ落ち
死にたい気持ちが流れ出す
自分を守るシャボン玉は
パチンと弾けて
死への渇望を潤す
死を露わにし
死を鎮めもする