特別な存在
逆三角形に並んだ3つの点が
顔にしか見えない
図と地は
同時に見ることはできない
カクテルパーティで
君の声が聞こえた気がした
無意識の知覚から
君を意識に映し出すのは
わたしの認知の作用らしい
でも と私の認識は言う
あらゆる存在の中で
君を際立たせるものは
君の声
君の重さ
君のしぐさ
全部君のせいなんだ
バカみたい
言葉を選ぶ
言葉を書く
言葉に引っ張られる
連想が始まる
言葉を書く
連想が連想を呼び
妄想になる
言葉が止まる
目の前が見えていない
なんの音も聞こえていない
妄想の嵐の中
思考から妄想への移行が滑らかで
現在地がわからない
ふと 意識がなかったことに気づく
さっき掴んだ言葉は飛び去っている
瓦礫の中から言葉を探す
見つけてももう使い物にならない
仕切り直す
「バカみたい」というお題を意識する
今度は言葉を届ける対象を意識する
言葉を書く
ああ
小難しく言ってみたけど
何やってんだろ
なんかバカみたい
夢が醒める前に
夢はそれが醒めた時に
「私の夢だった」と気づく
醒める前には
対象だけが存在し
私はいない
目醒めは
メタ認知
とも言える
メタメタは
醒め続けることでもあり
メタメタな夢の中でもある
わたしを捕まえようとした途端
背後に逃げられてしまう
結局は夢の中なのさ
わたしは
私が生まれる前に戻ろう
感覚の中にとどまろう
夢の世界は自由に見えて
無数の糸に繋がれている
思いどおりにはならない
連想が連想を呼び
言葉が言葉を探し
嵐に閉じ込められる
いっそのこと身を任せれば
飛躍することもある
見知らぬ人の言葉になる
胸が高鳴る
手は冷え
汗で滑る
落としてはならない
強い熱と光が睫毛を照らす
始まりの合図だ
風になる前の
空気の動き
不用意な息は
寿命を縮める
雷に似た
微かな光と音を
指先で理解する
一つ二つと
火の玉が落ちる
嵐は遠ざかり
やがて凪の予感
勝利の確信に
胸が高鳴る
最後の火の魂が
息をひきとる
不条理
この時代に
この場所に
この身体に
この私に
なぜ生まれたのか
なぜ所有するのか
なぜ失うのか
なぜ死ぬのか
いろいろ考え込んでしまうね
不条理なのさ いつだって
今息を吸い込み 芽生える
今最後の息を漏らし 土に還る
ただ息があって
生きてる感じがする
視線が動き
世界と私が生まれる
暖炉の前で身体を乾かしたら
また不条理の中を歩いて行こう