秋風を感じることもめっきり減った。
夏の暑さに嘆いていたのはつい先日のことなのに、気付けば冬の寒さに震えている。
俺らのアイドル、最推しの秋はどこへ行ってしまったのか。
文句ばかりを頭の中で言いながら、コートを引っ張り出して、漫画のようにドタバタと音を立てながら部屋を出る。
それから最寄りの駅に着く寒空の下、布団から出ただけで手当をくれる会社があればいいのにと無駄な夢を見続けていたのは秘密だ。
「言いたいことがあるなら言って欲しい」
君はいつも言っていたけど
何度だって言葉にしてたよ
何度も何度も言葉にしたけど
結局君には何一つ届かなくて
もうこれ以上は言葉にできないって
限界を感じたのに…
最後の「さよなら」が、君に届いた
愛で溢れる世界ならば平和かと問われれば難しいと思う、というのが僕の答えだ。
愛する人がいるからこそ、守りたいもの、譲れないものがある。
それぞれの守りたいもの、譲れないもののために起こる争いもありだろう。
もちろん誰も傷つけないのが1番ではあるし、それを最低条件にしたい。
それでも思い通りにいかないのが人だ。
愛と平和は、隣り合わせでいるはずなのに、時々非情にも背中合わせに遠ざかってしまう。
君は話すのが得意じゃない。
慌てて焦って、いつも肝心なことが抜けてしまうから。
それなのに…。
君は文字で話すと別人のようだ。
細かな心理描写まで、まるで自分自身の想いかと思うほどに。
だからこれが君が伝えたい事なのか、私が思っている事なのか、分からなくなる。
"Love you"
君に聞けば答えは分かるだろうか?
いつものように慌てて焦って、結局何も分からなくなってしまうのは少し勿体無いから。
夕焼けに染まった君の横顔をもう少しだけ眺めていよう。
手にした短い文字のぬくもりを添えて。
10年後の私から届いた手紙
封はされたまま
この手紙には
明るい未来が書かれているかもしれない
だけどそこにあるのが絶望なら?
そこにあるのが別れなら?
怖がりな私には
この手紙を開ける勇気がない
きっとこの手紙を開けるのは
10年後