6/26/2025, 11:51:11 AM
「離れないで……」
 それが彼女の最後の声。
 涙ながらに縋った彼女の左手に、自分の指を重ねた。
 永遠も、絶対も、その場限りの耳ざわりのいい言葉でしかないけれど。
 あなたを捕まえたその日から、その細い薬指に誓ったのだ。
「今さら離せないから」
 色めいた声に紛れた彼女の不安を少しでも拭たくて、役に立たなくなった思考は捨てる。
「ねえ。愛してる」
 彼女の桜色の唇を深く重ね、呼吸を奪った。
『最後の声』
6/25/2025, 10:58:12 AM
 真新しい靴が玄関に並んだ。
 俺たちの靴のサイズよりもずっと小さい。
「いつか、私よりも大きくなるのかなあ」
「ご飯いっぱい食べるからすぐかもね」
 小さな愛を積み重ねながら、目まぐるしい日々を過ごしていくのだろう。
 いつかかけがえのない日になることを願いながら。
『小さな愛』
6/24/2025, 2:09:39 PM
地上から見上げる空はこんなにも区画されているのに、自由だ。
『空はこんなにも』