「 星座 」 / 実話です。
夕暮れ時、高校生の私は塾の帰り道を泣きながら帰っていた。模試の結果が中々伸びず 、塾の先生に厳しい事を言われてしまった。周りの友達はどんどん実力を伸ばしている中、自分だけが取り残されているような気がして、胸が苦しくなる。
「 どうして私はこんなに出来ないんだろう...。」
私は、足元を見つめながら、涙をこぼした。頭の中で「ダメな自分」と、「もっと頑張らなきゃ」との声が交互に響き、ますます気持ちが沈んでいく。私は、自分の弱さを痛感し、情けない思いでいっぱいだった。
その時、ふと顔をあげると空には無数の星々が輝いていた。いつもは気にも留めなかった星座が、今夜は特に鮮やかに見えた。
小さな頃、父と一緒に星座を見上げた時のことを思い出した。父が、「星座は色々な物語を持っているんだよ。」と教えてくれた言葉が蘇る。「オリオン座は、勇気を持って挑戦する人の象徴なんだよ。失敗しても、また立ち上がる事が大切なんだよ。」 私は目を凝らし、オリオン座を探した。そして、ついにその三つの星が一直線に並んでいるのを見つけた。父の言葉が心に響く。「失敗は、星座のように自分の一部。全てが繋がっているから、次に進むための道しるべになる。」
涙を拭き、少しずつ気持ちが軽くなっていくのを感じた。失敗は恥ずかしいことではなく、成長の一部であり、何度でも立ち上がる力を与えてくれる。
「明日からもっと頑張る」と心の中で決意し、私は再び歩き始めた。星空を見上げながら、自分もいつかは輝く星座の一つになれることを信じて。私の胸には、今まで感じたことのない強い希望が宿っていた。
「 巡り会えたら。」 / 実話です。
高校一年生の夏、私は彼に一目惚れした。教室で友達と楽しそうに話している彼の姿に、なぜか目が離せなかった。優しい雰囲気と、勉強している時に、時折見せる真剣な表情が胸を打つ。そんな私の想いは、心の奥にそっと閉まっておくつもりだった。誰にも打ち明けられず、ただ彼を遠くから見ているだけで幸せだった。
それから1年後、修学旅行へ沖縄に行くことになった。青く広がる海、透き通った空気、友達と過ごす時間。けれど、私の心はずっと彼を探していた。最終日の夜、浜辺でふと1人になる時間があった。波音が静かに耳を包み、砂浜に足を埋めながら歩いていると、彼が私を見つけて声をかけてきた。
「 この景色、綺麗だね。でも俺、もっと綺麗なもの見つけた。」
彼の言葉に戸惑いながらも、心臓が激しく鼓動を打っているのを感じた。
「 実は、ずっと君のことが気になってたんだ。好きです。俺と付き合ってください。」
その瞬間、夢のような時間が私を包んだ。彼が私を好きでいてくれていたなんて、信じられなかったけれど、心の中ではずっとこの言葉を待っていた。私たちは、その夜から付き合い始めた。
しかし、幸せな日々は長くは続かなかった。私の幼なじみが、彼の事を好きだと知ったのは、それからすぐの事だった。彼女はずっと、私にとって大切な友達だった。けれど、彼女は私が彼と付き合い始めた事を知ると、態度が急に冷たくなった。
最初は無視されるだけだった。けれど、教室で私の席にものを置かれたり、嘘の噂を流されたりされた。私が彼に話せば解決出来るかもしれないと何度も思った。でも、彼女との長い友情が壊れるのが怖かったし、彼に迷惑をかけたくなかった。私はただ、耐えるしかなかった。
耐えられなくなったのは、ある放課後のことだった。私が静かに泣いているのを見つけた彼が心配して駆け寄ってきてくれた。
「 どうしたの?なんかあった?最近元気ないし心配だよ。」
でも、私は言えなかった。彼を巻き込みたくないし、自分の弱さが、彼との関係を蝕んでいる気がしてならなかった。
「 ごめんね。私たちもう別れよう。」
私は彼にそう告げた。彼は驚き、何か言おうとしたけれど、私は振り切って走り去った。両思いなのにどうしても一緒にいられない。それがどれだけ辛いことか、身に染みて感じた。