『ベルの音』
キーンコーンカーンコーン
きりーつ
れーい
ちゃくせーき
12年間聞いてきたこの号令とチャイム。
もうすぐ、ほとんど耳にすることがなくなる。
もうすぐみんなとガヤガヤすることも、
先生に怒られることも、
黒板を消して制服が白くなることも、
ない。
あぁ、もう卒業なんだな。
そう実感した。
『寂しさ』
冬休み彼氏に会えない。
寂しい。
電車も止まってるせいで会いにも行けない。
行けたところで家に帰れない。
あーあ、早く同棲したいなあ、
すきだよ。
『とりとめのない話』
私はたべるのがすきです。
僕は運動がすきだよ!
私は運動きらい。
僕は食べるのもすきだよ!
なにがすき?
うーん、おすしがすき!
私はおにくかなあ、
お肉もいいよね!
小さい頃、君とこんな話したなぁ。
今はもう聞いてすらくれないや。
僕はこの時のワクワク感が好きだったのに。
とりとめのない話の意味
「取り留め」は、話の結論やまとまりのこと。 「あの人の話には取り留めが無い」などと言う場合は、否定的な意味で使われるが、「取り留めの無い話」と言う場合は、「特に重要ではない単なるおしゃべり」といった意味合いで使われることが多い。
『風邪』
晴れの日。
君と2人で帰ってるとき。
夕立に襲われた。
びしょ濡れになりながら、近くの公園の滑り台の下に隠れた。
「濡れちゃったあ」
風邪ひいちゃうね、と君は苦笑いした。
くしゅんっ
君がくしゃみをした。
「これ使って。」
自分のコートを渡す。
君はえへへ、ありがとうと言う。
「いいよ別に。」
風邪を引いて熱いのか、恋と自覚して暑いのか、
当時の僕はまだ何も知らない。
『イルミネーション』
つい最近まで紅葉色だった街が真白に染まって。
葉がついていた木は枯れ落ち、ピカピカと光るライトが付く。
19時まで落ちなかった太陽は18時には月が昇っていた。
「今日、夜会える?」
最近仲良くしてくれる隣のクラスのあの子。
委員会で一緒になって。趣味も似ていて。
家が近いのもあり、よく放課後に商店街のゲーセンに行ったりしていた。
「いいよ。」
と、返事を送ると、直ぐに返信が来た。
「やった!じゃあ19時に商店街の広場に来てね☺️」
了解、と返事をして、早速準備を進める。
いつものパーカーとは違って、
クラスの奴に教えてもらった垢抜けコーデにした。
髪もネットでよく見る感じにセットした。
ドキドキが止まらず、10分も早く着いた。
(なんの用だろう。)
そう考えていると、彼女がやってきた。
黒のスカートにクリーム色のニットカーディガン。
女子って感じの服だった。
「ごめん、まった?」
「全然。大丈夫だよ」
「そっか。ありがと」
夕飯はどちらも食べてこなかったので、良さげなレストランに入った。
レストランを出て、クリスマス仕様の広場へ戻る。
彼女が口を開く。
「私ね。彼氏が出来たの。」
唖然としてしまった。
毎日のように話していたから。
「そう、なんだ、」
「うん、言わなくてごめん。」
「彼氏に男は切れって言われたから」
「今日で最後にしようって思って。」
そう言って彼女は微笑んだ。
でも、どこか寂しそうな表情だった。
「楽しかったよ。」
「今日も。今までも。ありがとう。」
「それじゃ。」
彼女は踵を返して歩いていってしまった。
ガヤガヤとイルミネーションを見に来た人達を見て。
静かに涙をこぼしていた。