奈緒

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『イルミネーション』



つい最近まで紅葉色だった街が真白に染まって。


葉がついていた木は枯れ落ち、ピカピカと光るライトが付く。


19時まで落ちなかった太陽は18時には月が昇っていた。


「今日、夜会える?」


最近仲良くしてくれる隣のクラスのあの子。


委員会で一緒になって。趣味も似ていて。


家が近いのもあり、よく放課後に商店街のゲーセンに行ったりしていた。


「いいよ。」


と、返事を送ると、直ぐに返信が来た。


「やった!じゃあ19時に商店街の広場に来てね☺️」


了解、と返事をして、早速準備を進める。


いつものパーカーとは違って、


クラスの奴に教えてもらった垢抜けコーデにした。


髪もネットでよく見る感じにセットした。




ドキドキが止まらず、10分も早く着いた。


(なんの用だろう。)


そう考えていると、彼女がやってきた。


黒のスカートにクリーム色のニットカーディガン。


女子って感じの服だった。


「ごめん、まった?」


「全然。大丈夫だよ」


「そっか。ありがと」


夕飯はどちらも食べてこなかったので、良さげなレストランに入った。


レストランを出て、クリスマス仕様の広場へ戻る。


彼女が口を開く。


「私ね。彼氏が出来たの。」


唖然としてしまった。


毎日のように話していたから。


「そう、なんだ、」


「うん、言わなくてごめん。」


「彼氏に男は切れって言われたから」


「今日で最後にしようって思って。」


そう言って彼女は微笑んだ。


でも、どこか寂しそうな表情だった。


「楽しかったよ。」


「今日も。今までも。ありがとう。」


「それじゃ。」


彼女は踵を返して歩いていってしまった。


ガヤガヤとイルミネーションを見に来た人達を見て。


静かに涙をこぼしていた。

12/15/2022, 9:23:42 AM