どんな風が来ようとも、君は顔を歪ませない。
それを見ていると、あぁ本当に死んだんだなって嫌でも実感してしまう。
こんなに冷静でいられるのは、君が静止画のように儚くて美しいから。
君は本当にどこまでも罪深い人だ。
僕に涙すら流させてはくれない。
そこら辺は生きている時と全く同じだ。
「泣いてる暇があるなら笑いなよ」
そう言っていた君の顔はなぜだか少し笑って見えた。
毎年私は一人でお祭りに行っている。
行く相手がいないとかそういうのじゃなくて、自分だけの特等席を誰にも知られたくないから。
誰もいなくて花火がよく見える…その場所を。
そして何より一番好きなのは花火を見ること。
それを見ながら目に涙を溜めると、綺麗な花火が幻みたいに見える。
だから私はお祭りが好き。
誰かのためになるならば、私はどんなことでもしよう。
自分の中で、とっくに殺した命。
今更どうなったっていい。
どんな罵声も暴力も、受け入れるだけの隙間が私の体には沢山ある。
一年も経たないうちに、私の体はもっと黒く染まるだろうけど。
そんな時は君に殺してほしいな。
私の命をあげるから、あなたの未来をちょうだい。
目が覚めると、私は鳥かごの中にいた。
びっくりしたけど、自由になれた気がして嬉しかった。
だけど三日くらいここにいて気付いたんだ。
餌…もらってないなって。
このままじゃ死んでしまう。
だから一生懸命叫んだ。泣いた。
だけど誰も来てくれなかった。
所詮は鳥かごの中の小鳥。
生きるか死ぬかも、決定権は人間。
今一番欲しいものは?
…と聞かれたら、私は迷わずに愛を選ぶだろう。
私は愛を知らないから。
ただの恋愛ごっこがしたいんじゃない。
本物の愛を全身で感じてみたい。
だけど、愛なんて望んだら望んだだけ遠ざかっていくものであると、感覚で分かる。
だから私は敢えて、こう答えた。
『…お金、かな』