目が覚めると、私は鳥かごの中にいた。
びっくりしたけど、自由になれた気がして嬉しかった。
だけど三日くらいここにいて気付いたんだ。
餌…もらってないなって。
このままじゃ死んでしまう。
だから一生懸命叫んだ。泣いた。
だけど誰も来てくれなかった。
所詮は鳥かごの中の小鳥。
生きるか死ぬかも、決定権は人間。
今一番欲しいものは?
…と聞かれたら、私は迷わずに愛を選ぶだろう。
私は愛を知らないから。
ただの恋愛ごっこがしたいんじゃない。
本物の愛を全身で感じてみたい。
だけど、愛なんて望んだら望んだだけ遠ざかっていくものであると、感覚で分かる。
だから私は敢えて、こう答えた。
『…お金、かな』
熱を出して学校を休んだ日、私は夢を見た。
視線の先には、楽しそうな二人。
私抜きで楽しそうにしている。
まるで私なんて最初からいなかったかのようなその態度に少しの苛立ちと、寂しさを覚える。
私がいなくても世界は回る。
そんなことは分かりきっている。
今日私が学校を休んだことで困った人はいたのだろうか。
寂しいと思ってくれた人はいたのだろうか?
きっとそんな人はいない。
そんな残酷な夢を見たあと、私はもう一度眠りについた。
1件のLINEが来た。
彼氏からだった。
「別れよう」と書いてあった。
「了解」と返した。
1件のLINEが来た。
親友からだった。
「友達やめよう」と書いてあった。
「了解」と返した。
1件のLINEが来た。
私からだった。
「死ね」と書いてあった。
「了解」と返した。
そして、二度とLINEが来ることはなかった。
日差しが強い日は、基本的に傘をさしている。
そして、雨が降った日は傘をささないでおく。
これが私の傘の使い方。
日差しは嫌い。
暑いし、泣いたらバレちゃう。
雨は好き。
泣いてもバレないし、濡れるのは心地良い。
けど、こんなことしてたらみんなに嫌われる。
変人だって、笑われる。
そんな日の、暑い暑い夏だった。