子供の頃は、難しいことなんてよく分からなかった。
嫌なことがあって泣いたら、みんなが助けてくれた。
自分を最優先に考えることができた。
自分の意見を恐れずに言うことができた。
未来に不安なんてなかった。
怖いものなんてお化けぐらいしかなかった。
そんな無敵な自分に酔いしれてる、今の弱い自分が大嫌いだ。
もう生きていたくないほどに。
変わらない世界。変われない私。
どうなってしまうのかなんて…わかってる。
好きな色は?
そう聞かれた時、私はこう答えることにしている。
「…オレンジ色かな」
本当は黒色が好き。
だけど、色の好みでなんとなく性格が分かってしまうって聞いたことがあるから、私はそうはいわない。
私は相手に、明るいと思われたい。
だからオレンジ色と答える。
まぁ、偏見だけど…。
あなたがいたから私はこんなに汚れてしまった。
あなたがいたから私はこんな感情を知ってしまった。
あなたがいたから私は…。
全部あなたのせい。
あなたがいたから私は殺人犯になってしまった。
そんなつもりなかったのに。
あなたが悪いのよ。
全部…全部。
好きな人と親友の相合傘が黒板に書かれていた。
教室内が温まっていく中、気温が下がっていくのを感じる。
そして間も無くして、その好きな人と親友は付き合うことになった。
私の方が先に好きだったのに。
私の方がもっと大切にできるのに。
そんな気持ちが膨らんでいく。
でもそんな私を置いて、二人は幸せそうに前へ進んでいく。
それが許せなかった。
だから殺したの。
…ごめんなさい。
昔から、少しでも良いことがあると怖くなる。
そしてその理由はちゃんと分かってる。
今が幸せだと、これからはただ落下していくだけだって思ってしまうからだ。
けど実際そうでしょ?
良いことなんてあったら幸せを知ってしまう。
ずっと不幸でいれば…なにも感じずに済む。
だから幸せなんていらないんだ。
そう…いらないから…だから…殺して。