NoName.

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5/6/2024, 11:52:33 AM

明日世界が終わるなら

ねぇ、今日はずっと起きてようよ。

えぇ?眠い?まぁそうだよな、夜だもんな。
でもさー、あと二十数時間しかないんだぜ??
だったら徹夜してでも起きてようぜー

まだ見てなかったアニメとか映画とかドラマとかあったろ??ねー、夜通しでもいいからみよーよー
あいてっ、枕投げんなよー

……あ、じゃあさじゃあさ、今から車乗ってドライブ?いこうぜ、日の出見に行く奴!!!エモくね??
え、お前免許持ってないだろって?
……それも、そうか………

……ねぇ、これでいいの?あと少しの時間の使い方これでいいの???もっとやりたいこととか、なんかこう……
……『終わりかけの時に、慌ててやるのは夏休みの宿題で十分』???

いつも通りに過ごしたいってこと、か。
変わらない自分たちで過ごす方がしあわせかぁ
そうかぁ。わかった。

じゃあ、明日起きたらいつも通り会社に……
え、それは行きたくない??
そっか。

なら家ですごそーな。映画見よーぜ!!!

5/1/2024, 5:39:43 PM

カラフル

まずは青を使う。
下地に仕込ませるのがよく効くんだ。
知ってる?人の肌って奥が深いんだ。
肌の下には筋肉があって、その下には骨があるだろ?
肌自体は細胞が固まってできてて、
それぞれに色があって。
それが重なって肌って色になってる。
自分の肌を観察しながら色を作って塗っていくのって、とても楽しいんだよ。
単純じゃないんだって発見があるから。

絵画もそうだね。
美術館に飾られているような絵画だとかはわかりやすいかも。
緑の森を塗るだけなのに、
赤色だとかオレンジ色を使ったりする。
近くでみると気づくけど一歩引いてみるとその色が、周りの色と馴染んで完成された絵画になってたりする。
それが不思議でさ、ボクは好きなんだ。
彼らには、他人には、
どんな色に世界は見えてるんだろう。

キミも興味あったら観察してみるといいよ。
空の色、カラスの羽の色、草木の茂みの色、コンクリートの色、とかとか、
周りでよくみるものを改めてみてみるんだ。
おもしろいよー1色で形作られているものはないからさ。

世界は色で溢れてる、とはよく言ったものだね。
もしやってみたら、どんな色があったか教えてくれる?他人がどういう色が見えているのか、興味あるんだ。

3/25/2024, 1:39:12 AM

ところにより雨


「ーーところにより雨になるでしょう」


いつもこうだ。
自分のお祝いごとの日には必ずと言っていいほど雨が降る。
入学式、卒業式、自分の生まれた日まで雨が降っていたと母親が言っていた。

神様が泣いているから、お祝い事の時に雨が降るのだろうか。
神様まで祝ってくれてんならうれしいねぇ。

だけど、一張羅を濡らすのだけはやめてほしいかな。

2/2/2024, 5:03:09 AM

ブランコ


キィ、キィ

油が取れているからか、金属同士が擦れ、音がする。
甲高い音が、耳に嫌に反響して背筋がざわつく。

まただ。あの公園のブランコはいつもそう。
風もないのにキィ、キィ揺れるのだ。

私はいつも気がつかなければよかったと思いながら通り過ぎる。
不思議なものは触らないに越したことはない。

キィ、キィ

ほらまた呼んでいる。
気になるという好奇心を抑えつけ、
通り過ぎなければならない。

視線をブランコから逸らし、前を向く。
キィ、キィ。音はまだ、止まない。

足早に公園の外側の道路を通り過ぎる。
キィ、キィ。嫌な金属音は、聞こえない。


聞こえない。そう。聞こえないんだ。
こんなことあったか?ブランコはどうなっているんだ?
安心感を得るためか、揺れていないであろうブランコを見ようと、私は足を止め振り返ろうとした。

まて、本当に振り返っていいのか。
押してダメならというやつなのではないか。
そんな疑心暗鬼が心に住む。

考えても仕方がない、ブランコのことは考えず、家に帰ろう。
私は振り返ろうと止めてた足を家へと進める。

キィ、キィ。

私を待っていたかのように、あのブランコはまた、軋み始めた。

2/1/2024, 4:41:23 PM

旅路の果てに


キミのことをわかった気がした。

ボクとキミは種族が違う。
同じ人型だけど、疎まれるボクと好かれるキミ
長く生きるボクと短く生きるキミ。

ボクは人に似た異形で、キミは花から生まれた人。
どうしてボクと共にいてくれるのだろうか。ボクが死ぬ場所を探してる冒険だったのに、いつのまにかキミと生きる冒険になってた。

キミは死ぬ時に花の種を作って亡くなる。
その種を植えるとキミが生まれる。だから、ある意味ボクより長生きなのかもしれない。

でも、そんな冒険ももうおわり。
ボクは疲れてしまった。何度も何度もキミと会って、何度も何度も別れて、その度に色々な冒険して、とても、たのしかった。

ボクの手の中にいるキミは知らないだろうけど。
…寂しくないように、いてくれてありがとう。

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