明日世界が終わるなら
ねぇ、今日はずっと起きてようよ。
えぇ?眠い?まぁそうだよな、夜だもんな。
でもさー、あと二十数時間しかないんだぜ??
だったら徹夜してでも起きてようぜー
まだ見てなかったアニメとか映画とかドラマとかあったろ??ねー、夜通しでもいいからみよーよー
あいてっ、枕投げんなよー
……あ、じゃあさじゃあさ、今から車乗ってドライブ?いこうぜ、日の出見に行く奴!!!エモくね??
え、お前免許持ってないだろって?
……それも、そうか………
……ねぇ、これでいいの?あと少しの時間の使い方これでいいの???もっとやりたいこととか、なんかこう……
……『終わりかけの時に、慌ててやるのは夏休みの宿題で十分』???
いつも通りに過ごしたいってこと、か。
変わらない自分たちで過ごす方がしあわせかぁ
そうかぁ。わかった。
じゃあ、明日起きたらいつも通り会社に……
え、それは行きたくない??
そっか。
なら家ですごそーな。映画見よーぜ!!!
カラフル
まずは青を使う。
下地に仕込ませるのがよく効くんだ。
知ってる?人の肌って奥が深いんだ。
肌の下には筋肉があって、その下には骨があるだろ?
肌自体は細胞が固まってできてて、
それぞれに色があって。
それが重なって肌って色になってる。
自分の肌を観察しながら色を作って塗っていくのって、とても楽しいんだよ。
単純じゃないんだって発見があるから。
絵画もそうだね。
美術館に飾られているような絵画だとかはわかりやすいかも。
緑の森を塗るだけなのに、
赤色だとかオレンジ色を使ったりする。
近くでみると気づくけど一歩引いてみるとその色が、周りの色と馴染んで完成された絵画になってたりする。
それが不思議でさ、ボクは好きなんだ。
彼らには、他人には、
どんな色に世界は見えてるんだろう。
キミも興味あったら観察してみるといいよ。
空の色、カラスの羽の色、草木の茂みの色、コンクリートの色、とかとか、
周りでよくみるものを改めてみてみるんだ。
おもしろいよー1色で形作られているものはないからさ。
世界は色で溢れてる、とはよく言ったものだね。
もしやってみたら、どんな色があったか教えてくれる?他人がどういう色が見えているのか、興味あるんだ。
ところにより雨
「ーーところにより雨になるでしょう」
いつもこうだ。
自分のお祝いごとの日には必ずと言っていいほど雨が降る。
入学式、卒業式、自分の生まれた日まで雨が降っていたと母親が言っていた。
神様が泣いているから、お祝い事の時に雨が降るのだろうか。
神様まで祝ってくれてんならうれしいねぇ。
だけど、一張羅を濡らすのだけはやめてほしいかな。
ブランコ
キィ、キィ
油が取れているからか、金属同士が擦れ、音がする。
甲高い音が、耳に嫌に反響して背筋がざわつく。
まただ。あの公園のブランコはいつもそう。
風もないのにキィ、キィ揺れるのだ。
私はいつも気がつかなければよかったと思いながら通り過ぎる。
不思議なものは触らないに越したことはない。
キィ、キィ
ほらまた呼んでいる。
気になるという好奇心を抑えつけ、
通り過ぎなければならない。
視線をブランコから逸らし、前を向く。
キィ、キィ。音はまだ、止まない。
足早に公園の外側の道路を通り過ぎる。
キィ、キィ。嫌な金属音は、聞こえない。
聞こえない。そう。聞こえないんだ。
こんなことあったか?ブランコはどうなっているんだ?
安心感を得るためか、揺れていないであろうブランコを見ようと、私は足を止め振り返ろうとした。
まて、本当に振り返っていいのか。
押してダメならというやつなのではないか。
そんな疑心暗鬼が心に住む。
考えても仕方がない、ブランコのことは考えず、家に帰ろう。
私は振り返ろうと止めてた足を家へと進める。
キィ、キィ。
私を待っていたかのように、あのブランコはまた、軋み始めた。
旅路の果てに
キミのことをわかった気がした。
ボクとキミは種族が違う。
同じ人型だけど、疎まれるボクと好かれるキミ
長く生きるボクと短く生きるキミ。
ボクは人に似た異形で、キミは花から生まれた人。
どうしてボクと共にいてくれるのだろうか。ボクが死ぬ場所を探してる冒険だったのに、いつのまにかキミと生きる冒険になってた。
キミは死ぬ時に花の種を作って亡くなる。
その種を植えるとキミが生まれる。だから、ある意味ボクより長生きなのかもしれない。
でも、そんな冒険ももうおわり。
ボクは疲れてしまった。何度も何度もキミと会って、何度も何度も別れて、その度に色々な冒険して、とても、たのしかった。
ボクの手の中にいるキミは知らないだろうけど。
…寂しくないように、いてくれてありがとう。