街
この街には、黒く蠢く無数の何かがいる。
夏の夜の商店街。今日みたいな日は気配が強くなる。
今まで数多くの町を旅してきた。
閑静な行楽地もあれば、自然豊かな山の道も。
その中でもこの土地は、形容し難い恐ろしさを感じる。
なにもなけばいいのだが。
ハッと気配がし、振り返る。
なんということだ。
この街でそいつは、飛ぶ。
泣き叫びたい衝動に駆られながら、逃げようとしたものの
唐突な恐怖は体をこわばらせた。
どうか、ぶつかりませんように。祈る他なかった。
そんなとき唐突に現れた一台の飛ぶ車
時速80kmでそいつを轢き去っていった
車にはおそらく見えていないだろうし気づきもしていないだろう
とりあえず、救われたことに関して感謝するのであった
おわり
岐路
帰り道がわからない。
8歳、1人山で迷ってしまった時も
12歳、塾帰り、家に帰りたくなくなった時も
16歳、今も。
「俺と付き合って欲しい」
帰り道がわからない。何で答えれば良いのだ。
地図がない。正しい道は、どれだ。
この告白を受け止めて、どうなるというのだ。
断る方が楽だ。いや、今後のためにならないかもしれない。
もしかしたら結婚まで行く縁かもしれない。
ここでの回答が、人生の最大の岐路かもしれない。
「か、考えさせて……」かろうじて絞り出した言葉であった。
実際、人生最大の岐路なわけがない。
運命なんてものは存在しない。
友達だ恋人だなんて結局は他人であり、ただ自分が築いてきたもののみ、手元に残る。
分かっているのだが。告白されたという事実が、価値観を狂わせてくる。未知のものだ。
一生懸命考え、答えを出す。
その時間、葛藤、はきっと、のちの自分を導いてくれるはずだ。
たぶん。
おわり
世界の終わりに君と
ぬん
↑
(後日追記)
いただけるハートって「他の人に観覧された回数」なのでは疑惑を抱いたためこんな誤送信風に送ってみた
いただいたハート数 2ハート
………どうなんだろね!?
失恋
推しという言葉を使うことで、失恋してないと思い込もうとしている。
梅雨
あなたは頑張っている。
下を向いてるサラリーマン。
赤いシートと本を持つ学生。
杖をついている老人。
この梅雨の気怠い湿気のなか、懸命に生きている。
あなたがたのことを何も知らないが
あなたたちは頑張っている。
私も負けないでいたい。
おわり