突然の別れ
きっかけはなんだったか。
疲労が爆発した際、物を捨てることで発散をしていた。
突然やってくるそれを「その時」と呼び、制御することをせず、心を放し飼いにし、安寧を保っていた。
物はなんでも良いのだ。
好きな人に渡せなかった贈り物、中学だったか部活を引退する時に後輩から贈られた色紙のような思い出の品、いつか取り組むと思われるやりたいことリスト、など
自虐行為に近かったが、身の回りの整頓は心の調整に最適であった。
ある時、「その時」がやってきた。
心は乱れ、涙は止まらなく…など、疲労の爆発である。
ゆっくり息を吸い、呼吸を止め、吐き出し、それを繰り返し、
よし、捨てを、するか、と前を向いた先にあったのは鏡。
目の座っただらしない自分、の、腹が映っていた。
素っ裸で荒れていたようだ。
そういえば自分の物や思い出、魂と呼べるような生き甲斐すら捨ててここまで来たが、自分の体を捨てたことはなかった。
体…。体かあ…。この感情の爆発、勢いでできること…
……………
……………走るか………。
それ以降、筋トレに目覚めた。
きっかけはなんだったか。
ふとした思いつきで走っただけだった。
マッチョになった自分の姿を見て、育て上げた筋肉がささやく。
君が努力をしたから今の僕がある
そのきっかけを産むために捨てられた君の思い出も
きっと無駄ではなかったんだよ
筋肉が、体力となって自分に言い聞かせてくる。
もう突然自分の身を削る行動は、しないように。
自分の身を自分で傷つけるのではなく、守れるように。
突然の別れ
恋物語
昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが山に住んでおりました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました
するとどうでしょう、おじいさんの元に1匹の大きい牡鹿が現れ喋り始めました
自分の恋人が流されてしまった、一緒に探してくれないかと
一方、川で洗濯をしているおばあさんの元に、どんぶらこと桃の船に乗った1匹の小さい牝鹿が流れてきました
優しいおばあさんは、桃を掬い上げ牝鹿を助けようとしました
しかし牝鹿が喋り始めました
恋人から逃げたいのだと 旅に出たいのだと
おばあさんはふと今までの人生を振り返り、諭そうと思いましたがやめました
人生は色々な選択があります
種族が違えど、男女にはいろいろあるのでしょう
牝鹿の検討を祈り、桃を見送ることにしました
しばらくしておじいさんと牡鹿がやって来ました
「自分の恋人を知らないか?」
先ほど会った牝鹿のことだと分かりましたが、おばあさんはこう答えました
「知らない」
後日、おじいさんとおばあさんの家の前に1匹の鹿の死体が置かれていました
これが何を意味するのか分かりませんが日当たりがいい山へ埋葬しました
そういえば数日前に鹿に話しかけられた気がする
牝鹿だったか牡鹿だったか
本人たちは一生懸命な物語も
周りの人からしたらどうでもいいのです
恋物語