恋物語
昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが山に住んでおりました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました
するとどうでしょう、おじいさんの元に1匹の大きい牡鹿が現れ喋り始めました
自分の恋人が流されてしまった、一緒に探してくれないかと
一方、川で洗濯をしているおばあさんの元に、どんぶらこと桃の船に乗った1匹の小さい牝鹿が流れてきました
優しいおばあさんは、桃を掬い上げ牝鹿を助けようとしました
しかし牝鹿が喋り始めました
恋人から逃げたいのだと 旅に出たいのだと
おばあさんはふと今までの人生を振り返り、諭そうと思いましたがやめました
人生は色々な選択があります
種族が違えど、男女にはいろいろあるのでしょう
牝鹿の検討を祈り、桃を見送ることにしました
しばらくしておじいさんと牡鹿がやって来ました
「自分の恋人を知らないか?」
先ほど会った牝鹿のことだと分かりましたが、おばあさんはこう答えました
「知らない」
後日、おじいさんとおばあさんの家の前に1匹の鹿の死体が置かれていました
これが何を意味するのか分かりませんが日当たりがいい山へ埋葬しました
そういえば数日前に鹿に話しかけられた気がする
牝鹿だったか牡鹿だったか
本人たちは一生懸命な物語も
周りの人からしたらどうでもいいのです
恋物語
5/18/2024, 11:31:23 AM