【二人ぼっち】
「ねぇ、君」
いつも通りお弁当を食べていると、綺麗な声が聞こえた。
「一人?」
「……はい」
「一緒に食べていい?」
制服の名札を見ると、一つ上の学年。
僕がうなずくのを待たずに隣に座る。
「いつもここで食べてるの?」
「……文句ありますか」
人目につかない階段の踊り場。
彼のようにきらきらした人には分からないだろう。
イラついて、つい突っかかる。
「ないない。これからも、来ていい?」
「え?」
「二人ぼっち、ってことで」
fin.
【胸が高鳴る】
1番になりたい。
他の誰にも邪魔されない、1番になりたい。
恋心と言うより独占欲のようなそれに、ため息をつく。
縛り付けたいわけではない。
ただ、私のそばで笑っていてほしい。
隣で眠る彼にそっとキスをした。
fin.
【泣かないよ】
迷子になったような不安げな顔をするから、泣いているあいつの顔は苦手だ。
慌てて目をそらしたくなって、でもそんな逃げている自分が嫌になる。
きっとあいつの中でも言語化できていないようなもやもやが抱えきれなくなって、それがぽろぽろと涙になって溢れる。
不器用だな、と言ってしまえばそれまでで、そんなところがどこか愛おしくもあった。
「泣かないよ」
fin.
【10年後の私から届いた手紙】
生きていますか。
頑張って、生きていますか。
だらっとした毎日を過ごして、お笑いで笑って。
ぼんやりとした将来の不安と不満。
そんなものの中で漂いながら、でもそんな自分が好きで大切だった日々。
忘れたくても、忘れられない。
どうやって、生きていくんでしょう。
まぁ、楽しみにしておいてください。
「できるだけ早く死にたい」
そう言うのが口癖なあなたは、案外死にたくても死ねないものです。
【誰もがみんな】
生きてていいんだよ、たぶん。