【誰かしら?】
「帰りたい」
学校でも、
「帰りたい」
家でも、
口癖のように止まらなかった。
「そんなに家好きなのかよ」
と、友達に笑われても、
「どこに?」
と、親に不審な目を向けられても、
消えなかった。
どこに、誰が、帰りたいのだろう。
fin.
【あの日の温もり】
『暗愁』
「なんでこんなことしてるの」
赤く染まった彼の手首を見て、頭が真っ白になった。思わず言葉が口を突いて出た。
「ねぇ、なんで」
「…なんで、気づいちゃうかなぁ」
意味がわからなかった。顔色一つ変えない彼にも、自分を傷つける彼にも。
「いつもは、ちゃんと隠してるんですけど」
「そういうことじゃなくて」
ぱっと顔が上がった。やっと目が合う。指先が小さく震えていた。
「…怒ってます?」
「怒ってるよ」
「ごめんなさい」
自分の伝えたいことが半分も伝わっていないようで、ひどくもどかしかった。
「そうでもなくて…」
ため息を吐く。言いたいことはたくさんあったのに、何を言ったらいいのかわからない。
fin.
【cute!】
かわいくて頭の切れる、目を離せない人がいる。
毎週最悪を更新してくれて、逃げようかとも思った。
でも、彼の持つ人柄と未来を見通す鋭さに留まることを決めた。
信じて待ってみたいと思わせてくれた。
大丈夫だよ、って声が聞こえてくる気がした。
どの判断も正しいかはわからないし、後で後悔するかもしれない。
怖くてしょうがない。
【記録】
書いている記録を作り続けられていることが嬉しい。
これからも書き続けたいと思う。
二言、三言普遍的なことを並べて、
それを公開する度に思う。
こんな文章で、誰が心を動かされるのだろう。
きっと誰の心も動かせてはいないのだろう、と。
自分の紡ぐ言葉は嫌いではない。
でも、たまに言葉を紡ぐ自分が嫌いになる。
嫌いだ、やっぱり。