【心と心】
見えない線 消えない線
心と心が 結ばれている
絡まって 雁字搦め
fin.
【何でもないフリ】
朝日が眩しくて、目が覚めた。
隣には、見知った、いや、もう知りすぎた顔がある。
変わらない顔を見ると、なぜか安心する。
当たり前にいるから、いないのが想像できない。
何でもないフリで、もう一度目を閉じた。
fin.
【ありがとう、ごめんね】
「一緒にいて、よかった?俺と組んで」
「当たり前。これだけ一緒にやってきたんだから。…ごめんね、巻き込んで」
「巻き込まれたなんて思ってない。俺が自分で選んだ道だから」
強い言葉を使いながら、自信はまったくなかった。
それすらも見破られているような気がする。
でも、罪悪感はもってて欲しくない。
「一人で死ぬ勇気なんてないからさ」
「それは、俺もだよ」
「じゃあ、一緒に死ぬ運命だったのかもね」
薄く笑いながら躊躇なくつぶやく。
運命なんて言葉は嫌いだけど、それしかないような感覚が呪いみたいで気持ち悪かった。
「僕のこと刺してよ」
「後悔、しない?」
「しないよ。するわけない。自分が後悔すると思うなら、やめてほしい。それに、僕が後悔するって思うのもやめて」
「…わかってる。わかってる、けど」
言葉が詰まった。
止めたいのに止められない。
より自分が助長しているような。死への階段を二人で駆け下りて行くような。
無力さに沈みそうだった。
「…ためらわなくていい。僕自身がいいって言ってるんだから」
「…じゃあ、いくよ」
「今までありがとう。…ごめんね」
振り上げられた刃物を見上げて、目を閉じた。
fin.
【部屋の片隅で】
Dom/Subユニバースです。
わからない人ごめんなさい。
Corner・・・部屋の隅を向いて座る
Sh・・・静かに
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ごめんなさい…」
「ハァ〜…」
僕が悪いのはわかってるのに怖い。
「"Corner"」
彼の声が冷たく響いた。
びくりと肩が震える。
「なんで…」
「"Sh"聞こえなかった?」
ゆっくりと足が部屋の隅に動く。
体育座りで固まると、冷たい声が飛んでくる。
「15分」
不安で不安でたまらなくなる。
優しい声だけを楽しみにして、壁を見つめ続けた。
fin
【逆さま】
「一緒に、飛んでくれる?」
「飛ぶ?逃げるってこと?」
「ううん。こーいうこと」
そう言いながら、人差し指を逆さまにして上から下へ動かした。
「飛ぶって物理的に?」
「そう。飛んでくれる?」
「悩んでることあるの?僕じゃ解決できない?」
「…わかんない」
「最終手段なら一緒に飛べるけど、まだできることあるなら飛べない」
「やっぱり。お前ならそう言うと思ってた」
向けられた顔にはうっすらと諦観が混じっていた。
「やっぱりってなに?僕はまだ一緒に居たいよ」
「わかってる」
「じゃあ、いなくなんないでよ?」
「俺も一人で飛ぶのは怖い。だから、お前と一緒なら飛べるかなって」
「どうしようもなくなったら、一緒に飛べる。もうちょっとがんばろうよ」
チクリと痛そうに顔をしかめた。
「…うん」
fin.